プラダー‐ウィリー症候群は、15番染色体の一部が喪失しているか正常に機能しない染色体欠失症候群です。
(染色体異常症と遺伝子疾患の概要も参照のこと。)
プラダー‐ウィリー症候群の人の約70%では、15番染色体の一部に欠失がみられます。この症候群の人の約25%では、15番染色体の機能に問題がみられます。
プラダー‐ウィリー症候群の症状
プラダー‐ウィリー症候群の症状の多くは、小児の年齢によって幅がみられます。
この症候群の新生児は筋肉の緊張が弱く、哺乳が不良で、体重増加のペースが遅いです。最終的にこれらの症状は治まります。
その後、1歳から6歳にかけて食欲が増していき、しばしば極めて旺盛になります。食事の摂取が厳密にコントロールされなければ、小児は急速に体重が増えていきます。強迫症に類似した行動を起こすことがあり、例えば食物に強い執着があり、常に食物を求めます。
手足は小さく、身長は低いままです。顔面の異常として、アーモンドのような形をした眼や、上唇が薄く、口角が下がった口などがあります。骨の病気(脊柱側弯症や脊柱後弯症など)がみられます。
知的能力障害もよくみられます。
ホルモンの異常がよくみられ、生殖器の機能が男女ともに異常に低く、そのため成長と性的な発達が制限されます。男児では停留精巣(潜伏精巣)や陰茎と陰嚢の発達不全が起こります。女児にも性器発育不全があります。
体重増加が成人になるまで続くことが多く、また過剰になることで、肥満など他の健康上の問題が起こります。胃バイパス術が必要になるほどの重度の肥満になることもあります。
プラダー‐ウィリー症候群の診断
出生前、胎児の超音波検査、およびときに非侵襲的出生前スクリーニングまたは羊水穿刺もしくは絨毛採取
出生後、乳児の外見と高度な染色体検査
出生前の段階では、胎児の超音波検査で認められた異常から、プラダー‐ウィリー症候群が疑われることがあります。母親の血液中に含まれる胎児のDNA(デオキシリボ核酸)を検出する検査を行うこともでき、そのDNAを分析して、プラダー‐ウィリー症候群のリスクが高いかどうかを判断することもできます。この検査は非侵襲的出生前スクリーニング(NIPS)やセルフリー胎児DNA分析と呼ばれています。胎盤の少量のサンプルを採取して検査するための絨毛採取、または胎児を取り囲む体液(羊水)のサンプルを採取して検査するための羊水穿刺を行うこともあります。これらの検査で診断を確定できます。
出生後、医師は新生児の外見に基づいてプラダー‐ウィリー症候群を診断します。DNAのインプリンティング(マーキング)について高度な染色体検査を行うことで、診断を確定できます。(次世代シークエンシング技術も参照のこと。)
プラダー‐ウィリー症候群の治療
成長ホルモン
性ホルモン補充療法
肥満の制御
プラダー‐ウィリー症候群には根治的な治療法がありませんが、この症候群と関連する具体的な症状や異常の一部は、治療することができます。例えば、必要であれば、骨の病気を外科的に修復します。
プラダー‐ウィリー症候群の患者には、身長の改善、筋肉の大きさの増加、筋力の増強を目的として、ヒト成長ホルモンを投与することがあります。
性ホルモンが低値の青年には、ホルモン補充療法を行うことがあります。思春期には、男児にテストステロンを投与し、女児にエストロゲンを投与します。この治療法は、男児は顔の毛や深い声、女児は乳房などの第二次性徴を発達させるのに役立ちます。
プラダー・ウィリー症候群患者の肥満管理の基礎は、生活習慣と行動の介入です。肥満をコントロールするには、食物摂取の厳重な監督、構造化された食事計画、冷蔵庫と食品保管庫の施錠、定期的な運動が重要です。
プラダー‐ウィリー症候群の人に対するケアの一貫として、家族に対する遺伝カウンセリング、社会的支援、および知的機能の水準に合わせた教育プログラムの作成を行うべきです(知的能力障害の治療を参照)。早期介入(例、理学療法、言語療法、行動療法)が、プラダー-ウィリー症候群の小児の機能と生活の質を改善します。
プラダー‐ウィリー症候群の小児と成人の予後(経過の見通し)を改善できる治療法を見つけるべく、研究が続けられています。



