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ハイリスク妊娠の危険因子

執筆者:

Raul Artal-Mittelmark

, MD, Saint Louis University School of Medicine

医学的にレビューされた 2020年 9月
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本ページのリソース

危険因子には妊娠前から存在するものがあり、そのような危険因子には以下のものがあります。

妊娠中に 手術 妊娠中の手術を要する疾患 妊娠中に手術を要するような病気にかかることがあります。大手術で特に腹部の手術の場合、 切迫早産のリスクが上昇するほか、 流産(特に妊娠早期の)の原因になることがあります。このため、通常、開腹手術は可能であれば延期します。しかし開腹手術が必要な場合には直ちに実施すべきで、たいていの場合は手術を行っても安全です。 妊娠中に 虫垂炎になった場合は、虫垂が破裂すると致死的になることがあるため、手術で早急に虫垂を取り除きます(虫垂切除術)。虫垂切... さらに読む (特に腹部手術)が必要になると、 切迫早産 切迫早産 妊娠37週以前に起こる陣痛は切迫早産とみなされます。 早産児として生まれた新生児には、深刻な健康上の問題が生じる可能性があります。 切迫早産の診断は通常明らかです。 安静にしたり、ときには薬剤を用いて、分娩を遅らせます。 抗菌薬やコルチコステロイドも必要な場合があります。 さらに読む 流産 流産 流産とは、妊娠20週までに人為的でない原因によって胎児が失われることです。 胎児側の問題(遺伝性疾患や先天異常など)によっても母体側の問題(生殖器の構造的異常、感染症、コカインの使用、飲酒、喫煙、けがなど)によっても流産が起こりますが、多くの場合、原因は不明です。 出血や筋けいれんが起こることがありますが、特に妊娠して週数が経過している場合にはよく起こります。 医師は子宮頸部を診察し、通常は超音波検査も行います。... さらに読む (特に妊娠早期の)のリスクが上昇します。このため、通常、開腹手術は可能であれば延期します。しかし開腹手術が必要な場合には直ちに実施すべきで、たいていの場合は手術を行っても安全です。

身体的な特徴

女性の以下の特徴は妊娠中のリスクに影響します。

年齢

青年期の妊娠は、全妊娠の約13%を占めています。これらの青年女子では、以下のリスクが高くなります。

これらのリスクの理由の一部に、青年期の女子は妊娠中に医療を受ける可能性が低いことがあります。そのため、青年期の妊婦は、妊娠にリスクをもたらす活動や行動(喫煙、飲酒、コンドームを使用しない性交など)を把握していない可能性があります。多くの青年が喫煙します。青年はまた、 性感染症 性感染症(STD)の概要 性感染症(性病)とは、例外はあるものの、一般的には性的接触によって人から人に感染する病気のことです。 性感染症を引き起こす病原体の種類としては、細菌、ウイルス、原虫などがあります。 キスや濃厚な体の接触を介して広がる感染症もあります。 感染が体の他の部分に広がり、ときには深刻な結果に至る場合もあります。... さらに読む 性感染症(STD)の概要 にかかるリスクも高い状態にあります。コンドームを使うことが性感染症を予防する助けになります。

35歳以上の女性の妊娠では、以下のリスクが高くなります。

体重

非常にやせている女性(BMI[ボディマスインデックス]が19.8以下—表「 BMI(ボディマスインデックス)の算出 顎骨壊死がくこつえし ほね(こつ)」とは、ほねのことです。「壊死えし」とは、細胞さいぼうぬことを意味いみする医学いがく言葉ことばです。... さらに読む 」を参照)と妊娠前の体重が45キログラム未満の女性では、以下の可能性が高くなります。

  • 胎児が小さく、低体重での出産

過体重の女性(妊娠前のBMIが25~29.9)や肥満女性(BMIが30を超える)では、以下の問題の可能性が高くなります。

医師は過体重の女性と肥満の女性に、少なくとも週に3回、1週間に合計で150分の運動を推奨します。このような女性は、どのような運動が適切かについて主治医に相談すべきです。より健康的な食事への変更が推奨されることがあります。

身長

身長が150センチメートル未満の女性は骨盤が小さい可能性が高く、分娩時に胎児が骨盤と腟(産道)を通過しにくくなる可能性があります。例えば、胎児の肩が母親の恥骨に引っかかることがあります。この合併症は 肩甲難産 肩甲難産 胎向とは、胎児が後ろ(母親の背中の方)を向いているか、前を向いているか(顔が上向きか)という胎児の向きのことです。 胎位とは、胎児の体のうち最初に産道を通る部分(先進部)を表します。通常、頭が先進しますが、ときに殿部や肩が下になることもあります。 最も一般的で安全な胎向と胎位の組合せは次のような状態です。 頭が下になっている(頭位) 胎児が後ろを向いている さらに読む と呼ばれます。身長の低い妊婦では、さらに 切迫早産 切迫早産 妊娠37週以前に起こる陣痛は切迫早産とみなされます。 早産児として生まれた新生児には、深刻な健康上の問題が生じる可能性があります。 切迫早産の診断は通常明らかです。 安静にしたり、ときには薬剤を用いて、分娩を遅らせます。 抗菌薬やコルチコステロイドも必要な場合があります。 さらに読む や低体重の子どもが生まれる(在胎不当過小 在胎不当過小(SGA:Small for Gestational Age)の新生児 同じ在胎期間で生まれた新生児の90%が占める体重分布よりも体重が軽い(10パーセンタイル未満)新生児は、在胎期間に比べて小さい(在胎不当過小)とみなされます。 両親が小柄である、胎盤が正常に機能しなかった、母親に病気がある、母親が薬を飲んでいる、母親が妊娠中に喫煙した、飲酒したなどの場合に、新生児の体重が小さくなります。 感染症や遺伝性疾患がない限り、在胎不当過小の新生児のほとんどは、ほかには症状がみられず健康です。... さらに読む )可能性も高くなります。

生殖器の異常

子宮または子宮頸部の構造的異常により、以下のリスクが上昇します。

構造的異常には、重複子宮(子宮が2つある異常)、 子宮筋腫 子宮筋腫 子宮筋腫は、筋肉組織と線維組織から構成される良性(がんではない)腫瘍で、子宮内に発生します。 子宮筋腫は痛み、異常な性器出血、便秘、繰り返す流産、頻尿や尿意切迫などの症状を引き起こします。 診断は内診のほか、通常は超音波検査によって確定されます。 筋腫により問題が起きている場合にのみ、治療が必要になります。... さらに読む 子宮筋腫 子宮頸管無力症 子宮頸管無力症 子宮頸管無力症は、痛みが生じることなく子宮頸管が開いてしまう状態であり、その結果、第2トリメスターに分娩となってしまいます(訳注:第2トリメスターは日本の妊娠中期にほぼ相当)。 出生時から認められる結合組織疾患や損傷により、子宮頸部の組織が脆弱になる場合があります。 子宮頸部が脆弱であると、早産になることがあります。 妊娠して初めて子宮頸管無力症であることが分かります。 早期に分娩が起こらないように子宮頸部を縫合することがあります(頸管... さらに読む 子宮頸管無力症 (子宮頸部が脆弱で胎児の成長につれて子宮口が開いてしまう異常)などが挙げられます。子宮筋腫があると、胎盤が異常な位置に付着したり(前置胎盤 前置胎盤 前置胎盤とは、胎盤が子宮上部ではなく子宮下部で子宮頸部の開口部を覆うよう付着することです。 妊娠の後期に、痛みを伴わない、ときに大量の出血が生じることがあります。 通常は超音波検査で診断を確定できます。 床上安静だけでよい場合もありますが、出血が続く場合や、胎児や妊婦に問題が生じた場合には、帝王切開が行われます。 前置胎盤などの妊娠合併症は、妊娠中だけに発生する問題です。母体に影響を及ぼすもの、胎児に影響を及ぼすもの、または母子ともに影... さらに読む 前置胎盤 )、陣痛の開始が早すぎたり(切迫早産 切迫早産 妊娠37週以前に起こる陣痛は切迫早産とみなされます。 早産児として生まれた新生児には、深刻な健康上の問題が生じる可能性があります。 切迫早産の診断は通常明らかです。 安静にしたり、ときには薬剤を用いて、分娩を遅らせます。 抗菌薬やコルチコステロイドも必要な場合があります。 さらに読む )、流産が起こったりすることがあります。子宮頸管無力症では、子どもを早すぎる時期に分娩する(早産)リスクが高まります。

社会的な特徴

未婚女性や社会経済的地位が低い女性では、妊娠中に問題が発生するリスクが高くなります。こうした特徴が妊娠のリスクを高める理由は明らかではありませんが、おそらくこれらの女性によくみられる他の特徴が関係していると考えられます。こうした女性においては、例えば喫煙している、健康的な食事をとっていない、無防備な性交を行っている、適切な医療を受けていないなどの可能性がより高くなります。

過去の妊娠時の問題

妊娠中に何らかの問題が発生したことのある女性では、それ以降の妊娠でも問題が起こる可能性が高く、その多くは過去と同じものになります。そうした問題には、以下のものがあります。

妊娠時に同じ問題を引き起こす傾向のある病気をもっていることもあります。例えば糖尿病の女性では、4500グラム以上の新生児を何度も出産する可能性が高くなります。

遺伝性疾患や先天異常のある子どもを出産したことのある女性では、それ以降の妊娠でも子どもが同様の問題をもつ可能性が高くなります。そのため次の妊娠を試みる前に、生まれた子ども(たとえ死産の場合でも)と両親を対象とした 遺伝子検査 遺伝子スクリーニング 遺伝子スクリーニングは、遺伝する遺伝性疾患をもつ子どもが生まれるリスクが高いかどうかを判断するために行う検査です。遺伝する遺伝性疾患とは、次の世代へ受け継がれる 染色体または遺伝子の病気です。 スクリーニングではカップルの家族歴を評価し、必要に応じて血液や組織のサンプル(頬の内側から採取した細胞など)を分析します。 すべてのカップルが遺伝子スクリーニングを受けることができますが、特に推奨されるのは以下の場合です。... さらに読む を受けることが適切な選択でしょう。このような女性が再度妊娠した場合は、高分解能 超音波検査 超音波検査 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む 絨毛採取 絨毛採取 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む 羊水穿刺 羊水穿刺 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む などの検査を行うことで、胎児の遺伝性疾患や先天異常の有無を確認できる場合があります。このような妊婦は専門医に紹介されることもあります。

妊娠を5回以上経験している女性では、陣痛が非常に急速に進み、分娩後に出血過多を起こすリスクが高くなります。

一度に2人以上の胎児を妊娠したことがある場合、以下のリスクが高くなります。

妊娠前から存在する病気

妊娠前から存在する病気により、妊娠中に問題が発生するリスクが上昇する場合があります。そのような病気には以下のものがあります。

これらの病気のいずれかがある女性は、医師と相談した上で、妊娠する前からできるだけ体調を整えておくべきです。妊娠後には、しばしば多分野の専門家で構成された集学的チームによる特別なケアが必要になります。こうしたチームは、産科医、問題の病気の専門医(産科医が兼ねる場合もある)、およびその他の医療従事者(栄養士など)で構成されます。

妊娠中に発生する病気

妊娠中に問題や病気が発生し、ハイリスク妊娠になることがあります。

妊娠合併症は、妊娠中に発生する問題です。母体に影響を及ぼすもの、胎児に影響を及ぼすもの、または母子ともに影響を及ぼすものがあり、妊娠中の様々な時期に発生する可能性があります。例えば、胎盤の位置の異常(前置胎盤 前置胎盤 前置胎盤とは、胎盤が子宮上部ではなく子宮下部で子宮頸部の開口部を覆うよう付着することです。 妊娠の後期に、痛みを伴わない、ときに大量の出血が生じることがあります。 通常は超音波検査で診断を確定できます。 床上安静だけでよい場合もありますが、出血が続く場合や、胎児や妊婦に問題が生じた場合には、帝王切開が行われます。 前置胎盤などの妊娠合併症は、妊娠中だけに発生する問題です。母体に影響を及ぼすもの、胎児に影響を及ぼすもの、または母子ともに影... さらに読む 前置胎盤 )や胎盤が早い時期に子宮から剥がれる(常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離とは、子宮壁の正常な位置に付着している胎盤が、通常は妊娠20週以降に剥がれてしまうことです。 性器出血や激しい腹痛が起こり、ショック状態を起こすことがあります。 胎盤が早い時期に剥がれると、在胎週数の割に成長しなかったり、死亡することさえあります。 医師は症状に基づいて常位胎盤早期剥離を診断し、ときに超音波検査を行って診断を確定します。 活動を制限するだけでよい場合もありますが、出血が続く場合や胎児が危険な状態である場合... さらに読む )などの合併症が起きると、 妊娠中の性器出血 妊娠後半にみられる性器出血 3~4%の妊婦に妊娠後半(妊娠20週以降)に性器出血がみられます。このような妊婦には、胎児の死亡や出血過多のリスクがあります。ときに血液が大量に失われて、血圧が危険なレベルにまで下がることや( ショック状態)、小さな血栓が全身の血管のあちこちにできること( 播種性血管内凝固症候群)があります。 妊娠後半にみられる性器出血の最も一般的な原因は以下のものです。 陣痛の開始 通常、陣痛は粘液の混ざった少量の血液が腟から排出されることで開始しま... さらに読む が生じることがあります。重度の出血が起きると、胎児が死亡するリスクや母体がショックを起こすリスクが高くなり、迅速な治療が行われなければ、分娩中に死亡することもあります。

その他の妊娠合併症には以下のものがあります。

妊娠中の曝露

妊娠中に以下のものに曝露すると、先天異常の子どもが生まれるリスクが高くなります。

このような物質や条件は催奇形因子と呼ばれます。

妊娠中に特に危険な感染症は以下のものです。

先天異常のリスクを高める薬物には以下のものがあります。

魚介類中の水銀

魚介類に含まれる水銀の大量摂取は、胎児に害を及ぼす可能性があります。しかし、魚介類には胎児や母乳栄養児の成長と発達に重要な栄養素が含まれているため、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)は、妊娠中の女性、妊娠する可能性がある女性、および授乳中の女性に対して、以下のことを推奨しています。

  • メキシコ湾産のタイルフィッシュ(アマダイの仲間)のほか、産地を問わずサメ、メカジキ、メバチマグロ、マカジキ、オレンジラフィー、キングマカレル(サワラの一種)は食べない

  • ビンナガマグロの1週間の摂取量は約110グラム(1回の食事の平均的な量)に制限する。

  • 地域の湖、河川、沿岸部で獲れた魚を食べる前にはその地域の担当行政機関(米国)に魚の安全性について確認し、水銀量が低いかどうか不明な場合や、特に推奨事項がない場合は摂取量を週に110グラム(平均1回の食事分)に制限した上で、その週は水銀含有量の多い魚介類を他に食べない。

  • 毎週、水銀含有量の低い様々な種類の魚介類を230~340グラム(平均2~3回の食事分)摂取する。

水銀含有量が比較的低い魚介類としては、カレイ科の一部の魚、エビ、ライトツナ缶詰、サケ科の魚、ポロック、ティラピア、タラ、ナマズなどがあります(魚介類の摂取に関するアドバイス:妊婦または妊娠する可能性のある女性、授乳中の母親、幼児向け[Advice About Eating Fish: For Women Who Are or Might Become Pregnant, Breastfeeding Mothers, and Young Children]を参照)。一部の専門家(消費者レポート:安全な魚を選んで水銀曝露のリスクを減らす[Consumer Reports: Choose the Right Fish To Lower Mercury Risk Exposure])は妊娠中はマグロ類を一切食べないよう推奨しています。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

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