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ハイリスク妊娠の危険因子

執筆者:

Raul Artal-Mittelmark

, MD, Saint Louis University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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危険因子には妊娠前から存在するものがあり、そのような危険因子には以下のものがあります。

リスクを上昇させる問題は妊娠中陣痛および分娩時にも発生する可能性があります。

妊娠中に手術(特に腹部手術)が必要になると、切迫早産流産(特に妊娠早期の)のリスクが上昇します。このため、通常、開腹手術は可能であれば延期します。しかし開腹手術が必要な場合には直ちに実施すべきで、たいていの場合は手術を行っても安全です。

身体的な特徴

女性の以下の特徴は妊娠中のリスクに影響します。

年齢

青年期の妊娠は、全妊娠の約13%を占めています。これらの青年女子では、以下のリスクが高くなります。

青年期の女子では、低体重の子どもが生まれる可能性があります(在胎不当過小

これらのリスクの理由の一部に、青年期の女子は妊娠中に医療を受ける可能性が低いことがあります。そのため、青年期の妊婦は、妊娠にリスクをもたらす活動や行動(喫煙、飲酒、コンドームを使用しない性交など)を把握していない可能性があります。多くの青年で喫煙がみられ、性感染症のリスクが高い状態にあります。コンドームを使うことが性感染症を予防する助けになります。

35歳以上の女性の妊娠では、以下のリスクが高くなります。

体重

非常にやせている女性(BMI[ボディマスインデックス]が19.8以下— BMI(ボディマスインデックス)の算出)と妊娠前の体重が45キログラム未満の女性では、以下の可能性が高くなります

  • 胎児が小柄で低体重の状態での出産

過体重の女性(妊娠前のBMIが25~29.9)や肥満女性(BMIが30を超える)では、以下の問題の可能性が高くなります。

身長

身長が150センチメートル未満の女性は骨盤が小さい可能性が高く、分娩時に胎児が骨盤と腟(産道)を通過しにくくなる可能性があります。例えば、胎児の肩が母親の恥骨に引っかかることがあります。この合併症は肩甲難産と呼ばれます。身長の低い妊婦では、さらに切迫早産や低体重の子どもが生まれる(在胎不当過小)可能性も高くなります。

生殖器の異常

子宮または子宮頸部の構造的異常により、以下のリスクが上昇します。

構造的異常には、重複子宮(子宮が2つある異常)、子宮筋腫子宮頸管無力症(子宮頸部が脆弱で胎児の成長につれて子宮口が開いてしまう異常)などが挙げられます。

社会的な特徴

未婚女性や社会経済的地位が低い女性では、妊娠中に問題が発生するリスクが高くなります。こうした特徴が妊娠のリスクを高める理由は明らかではありませんが、おそらくこれらの女性によくみられる他の特徴が関係していると考えられます。例えばこうした女性には、喫煙率が高い、健康的な食事をとっていない、適切な医療を受けていないなどの傾向がみられます。

過去の妊娠時の問題

妊娠中に何らかの問題が発生したことのある女性では、それ以降の妊娠でも問題が起こる可能性が高く、その多くは過去と同じものになります。そうした問題には、以下のものがあります。

妊娠時に同じ問題を引き起こす傾向のある病気をもっていることもあります。例えば糖尿病の女性では、4500グラム以上の新生児を何度も出産する可能性が高くなります。

遺伝性疾患や先天異常のある子どもを出産したことのある女性では、それ以降の妊娠でも子どもが同様の問題をもつ可能性が高くなります。そのため次の妊娠を試みる前に、生まれた子ども(たとえ死産の場合でも)と両親を対象とした遺伝子検査を受けることが適切な選択でしょう。このような女性が再度妊娠した場合は、高分解能超音波検査絨毛採取羊水穿刺などの検査を行うことで、胎児の遺伝性疾患や先天異常の有無を確認できる場合があります。このような妊婦は専門医に紹介されることもあります。

妊娠を5回以上経験している女性では、陣痛が非常に急速に進み、分娩後に出血過多を起こすリスクが高くなります。

一度に2人以上の胎児を妊娠したことがある場合、以下のリスクが高くなります。

妊娠前から存在する病気

妊娠前から存在する病気により、妊娠中に問題が発生するリスクが上昇する場合があります。そのような病気には以下のものがあります。

これらの病気のいずれかがある女性は、医師と相談した上で、妊娠する前からできるだけ体調を整えておくべきです。妊娠後には、しばしば多分野の専門家で構成された集学的チームによる特別なケアが必要になります。こうしたチームは、産科医、問題の病気の専門医(産科医が兼ねる場合もある)、およびその他の医療従事者(栄養士など)で構成されます。

妊娠中に発生する病気

妊娠中に問題や病気が発生し、ハイリスク妊娠になることがあります。

病気のなかには妊娠と関連するもの(妊娠合併症)もあれば、妊娠とは直接関連しないものもあります( 妊娠中の病気についての概要)。妊娠した女性の体には様々な変化が生じるため、病気のなかには妊娠中に発生する可能性が高くなるものもあります。

妊娠合併症とは、妊娠中にだけ発生する問題のことをいいます。母体に影響を及ぼすもの、胎児に影響を及ぼすもの、または母子ともに影響を及ぼすものがあり、問題が起こる時期も様々です。例えば、胎盤の位置の異常(前置胎盤)や胎盤が早い時期に子宮から剥がれる(常位胎盤早期剥離)などの合併症が起きると、妊娠中に性器出血が生じることがあります。重度の出血が起きると、胎児が死亡するリスクや母体がショックを起こすリスクが高くなり、迅速な治療が行われなければ、分娩中に死亡することもあります。

妊娠中の曝露

妊娠中に以下のものに曝露すると、先天異常の子どもが生まれるリスクが高くなります。

  • 特定の感染症

  • 特定の薬剤

  • 放射線および特定の化学物質

このような物質や条件は催奇形因子と呼ばれます。

胎児の器官は妊娠2~8週(最終月経から4~10週間後)の間に形成されるため、この時期に女性が催奇形因子にさらされると、先天異常の可能性が最も高くなります。流産のリスクも上昇します。

妊娠中に特に危険な感染症は以下のものです。

先天異常のリスクを高める薬物には以下のものがあります。

第1トリメスター中(訳注:日本の妊娠初期にほぼ相当)の高温への曝露(サウナなど)は、二分脊椎の発生と関連があるとされています。

魚介類中の水銀

魚介類に含まれる水銀の大量摂取は、胎児に害を及ぼす可能性があります。しかし、魚介類には胎児や母乳栄養児の成長と発達に重要な栄養素が含まれているため、米国食品医薬品局(FDA)は、妊娠中の女性、妊娠する可能性がある女性、および授乳中の女性に対して、以下のことを推奨しています。

  • メキシコ湾産のタイルフィッシュ(アマダイの仲間)のほか、産地を問わずサメ、メカジキ、メバチマグロ、マカジキ、オレンジラフィー、キングマカレル(サワラの一種)は食べない

  • ビンナガマグロの1週間の摂取量は約110グラム(1回の食事の平均的な量)に制限する。

  • 地域の湖、河川、沿岸部で獲れた魚を食べる前にはその地域の担当行政機関(米国)に魚の安全性について確認し、水銀量が低いかどうか不明な場合や、特に推奨事項がない場合は摂取量を週に110グラム(平均1回の食事分)に制限した上で、その週は水銀含有量の多い魚介類を他に食べない。

  • 毎週、水銀含有量の低い様々な種類の魚介類を230~340グラム(平均2~3回の食事分)摂取する。

水銀含有量が比較的低い魚介類としては、カレイ科の一部の魚、エビ、ライトツナ缶詰、サケ科の魚、ポロック、ティラピア、タラ、ナマズなどがあります(魚介類を食べる:妊婦と親が知っておきたいこと[Eating Fish: What Pregnant Women and Parents Should Know]を参照)。一部の専門家(消費者レポート:安全な魚を選んで水銀曝露のリスクを減らす[Consumer Reports: Choose the Right Fish To Lower Mercury Risk Exposure])は妊娠中はマグロ類を一切食べないよう推奨しています。

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