過期妊娠と過熟

執筆者:Julie S. Moldenhauer, MD, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2021年 7月
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過期妊娠とは妊娠42週以降も妊娠が続く状態です。過熟となると、妊娠が長引きすぎて、胎盤はもはや胎児にとって健康な環境を維持できなくなります。

    妊娠は、最終月経の開始日から平均して280日間(40週間)続きます。妊娠がわずかに超過した41~42週まで続いても、たいてい問題は生じません。しかしそれを過ぎると、しばしば胎盤が胎児に十分な栄養を届け続けることができなくなり、問題が生じることがあります。この状態を過熟と呼びます。

    過期妊娠により以下の問題が生じるリスクが上昇します。

    • 肩甲難産(胎児の片方の肩が母体の恥骨に引っかかり、胎児が産道で動けなくなる)による難産

    • 帝王切開吸引・鉗子分娩(吸引器や鉗子を使用する分娩)の必要性

    • 胎児の異常な発育(例えば、胎児が異常に大きい、または胎児が異常に小さいなど)

    • 胎児の周囲を満たしている液体(羊水)が少なすぎる(羊水過少

    • 胎児への血流に問題が生じ、胎児や新生児の酸素が欠乏する

    • 分娩前の胎便(胎児の最初の便)の排出

    • 新生児に新生児集中治療室でのケアが必要になる

    • 胎児または新生児の死亡

    • 腟口と肛門の間の部分(会陰部)の裂傷

    • 分娩時の出血過多(分娩後出血

    分娩前や分娩中に胎児が胎便を飲み込んでしまうと、出生直後に呼吸困難になることがあります。この病気は胎便吸引症候群と呼ばれています。

    過熟の胎児の状態としては、皮膚が乾燥してはがれている、爪が長くなりすぎている、頭髪が多い、手掌と足底に深いしわがみられる、体脂肪が少ない、胎便によって皮膚が緑色や黄色に染まっているなどの場合があります。

    知っていますか?

    • 妊娠期間が42週を過ぎると、胎盤の働きが低下し、胎児に問題が生じる可能性が出てきます。

    過期妊娠を診断するために、医師は正確に出産予定日を決定しなければなりません。女性の月経周期が規則的であれば、医師は最終月経の時期に基づいて出産予定日を計算することができます。しかし、妊娠時期を推定する最も正確な方法は超音波検査で、とりわけ妊娠の初期の12週間に行われた超音波検査は正確です。

    通常、妊娠41週から検査を開始して、胎動や胎児の心拍数、羊水(胎児の周囲を満たしている液体)の量を評価します。羊水は過期妊娠になると大幅に減少します。医師は超音波検査を行い、分娩監視装置を使用して胎児の状態をモニタリングする場合もあります。

    胎児に問題がみられたり、羊水が減少しすぎている場合は、陣痛を開始させます(陣痛誘発)。明らかな問題がみられない場合でも、医師は41週になると陣痛誘発を検討します。一般的に、42週を過ぎると陣痛誘発が行われます。

    帝王切開が必要になる場合もあります。

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