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感染性関節炎

(化膿性関節炎)

執筆者:

Steven Schmitt

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2017年 5月
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感染性関節炎は、関節液や関節組織の感染症で、通常は細菌感染が原因ですが、ウイルスや真菌の感染によって起こることもあります。

  • 細菌、ウイルス、真菌は、血流を介して、または近くの感染部位から関節に入り、感染症を引き起こすことがあります。

  • 通常は、数時間ないし数日以内に痛みや腫れ、発熱が生じます。

  • 関節液を針で吸引して検査します。

  • 抗菌薬の投与を直ちに開始します。

感染性関節炎には以下の2種類があります。

  • 急性

  • 慢性

急性の感染性関節炎

細菌による急性の感染性関節炎は急速に発生します。感染性関節炎の95%を急性が占めています。リスクの高い人だけでなく、健康な人にも発生します。関節内の軟骨(軟骨は正常な関節の機能に不可欠です)が、数時間ないし数日以内に破壊されたり損傷したりすることがあります。

ときとして、性器や消化器の感染症などの骨や関節を侵すことのない感染症の患者に、関節炎が発生することがあります。この種類の関節炎は、感染症に対する反応であるため、反応性関節炎と呼ばれます。反応性関節炎では、関節に炎症が起こるものの、実際に関節が感染しているわけではありません。

慢性の感染性関節炎

慢性の感染性関節炎は、数週間かけて徐々に発生します。感染性関節炎の5%を占め、ほとんどの場合、リスクの高い人に発生します。

最も感染することが多いのは、膝、肩、手首、股関節、肘、指の関節です。細菌、真菌、抗酸菌による感染の大半は、侵される関節の数は1つで、ときに数個のこともあります。例えば、ライム病を起こす細菌は、多くの場合、膝の関節に感染を起こします。淋菌やウイルス、またときに他のいくつかの細菌が、少数または多数の関節に同時に感染することがあります。

原因

原因微生物は主に細菌で、通常は近くの感染部位(骨髄炎や感染した傷など)から、または血流を介して関節に広がります。関節が手術や注射、けが(人間や犬、猫、ネズミにかまれた傷など)によって汚染された場合に、関節が直接感染することもあります。

様々な細菌が関節に感染しますが、以下のように、年齢によって感染症を起こす可能性が高い細菌があります。

  • 乳児と幼児:ほとんどの場合、ブドウ球菌、レンサ球菌、グラム陰性桿菌という細菌

  • 年長児以上と成人:ほとんどの場合、ブドウ球菌、レンサ球菌、淋菌

例えば、ライム病梅毒などを引き起こすスピロヘータ(細菌の一種)も、関節に感染することがあります。

HIVやパルボウイルス、風疹ムンプス(おたふくかぜ)、B型肝炎、C型肝炎の原因ウイルスなどは、年齢を問わず関節への感染を起こすことがあります。

感染性関節炎には、多くの危険因子があります。感染性関節炎を発症する小児のほとんどでは、特定されている危険因子が認められません。

急性の感染性関節炎

急性の感染性関節炎は、通常、細菌とウイルスによって生じます。

急性の感染性関節炎の危険因子には以下のものがあります。

例えば、肺炎敗血症(血流感染症)にかかっている人では1つ以上の関節に細菌が付着する可能性があり、その結果、感染性関節炎が生じます。

急性の感染性関節炎は、危険因子のない小児に起こることがあります。関節の感染症がある小児の約50%は、3歳未満です。しかしながら、通常行われるインフルエンザ菌 Haemophilus influenzae と肺炎球菌 Streptococcus pneumoniae小児予防接種によって、この年齢層での発生率は低下しています。

慢性の感染性関節炎

慢性の感染性関節炎は、通常は結核菌 Mycobacterium tuberculosis結核の主な原因)、真菌、または細菌が原因で起こります。

慢性の感染性関節炎の危険因子には、以下のものがあります。

知っていますか?

  • 関節リウマチなどの慢性の関節炎のある人に、急に1つの関節に痛みや腫れが生じた場合は、発熱がなくても感染症にかかっている可能性があるため、速やかに医師の診察を受ける必要があります。

症状

急性の感染性関節炎では、症状は通常、数時間から数日の間に現れます。感染した関節にはひどい痛みが生じ、発赤や熱感が生じることがあります。動かしたり触れたりすると、非常に強い痛みがあります。感染した関節に体液がたまり、腫れやこわばりが生じます。また、発熱や悪寒も認められることがあります。

淋菌性関節炎では通常、比較的軽い症状が出ます。一般的には発熱が5~7日間続きます。口腔や性器と、体幹の皮膚、手の皮膚、脚の皮膚に、水疱、丘疹、びらん、発疹がみられることがあります。関節に腫れと圧痛が生じる前に、痛みが1つの関節から別の関節に移動することがあります。腱に炎症が起こることもあります。

乳児と小児でまだ話せない年齢の場合には、感染した関節を動かさない傾向がみられます。また、ぐずったり、食事を拒むことがあり、発熱はみられる場合とみられない場合があります。幼児が膝関節や股関節に感染を起こすと、歩くことをいやがるようになることがあります。

慢性の感染性関節炎慢性の感染性関節炎では通常、関節が徐々に腫れ、軽い熱感が生じ、軽微な発赤がみられる場合とそうでない場合があります。また通常の症状として、うずくような痛みもありますが、急性の感染性関節炎ほどひどくないことがあります。普通は、1つの関節だけが侵されます。感染症が長期間持続し、従来の抗菌薬を使用しても治らない場合は、抗酸菌か真菌が原因の可能性があります。

感染性関節炎の原因に応じて、例えばライム病の症状や、感染したかみ傷が原因の場合は、リンパ節の腫れなどの他の症状がみられることもあります。

診断

  • 関節液の分析と培養

  • 血液検査

  • ときにたん、髄液、尿の検査

  • ときにX線検査、MRI検査、または超音波検査

典型的には、患者にひどい関節炎か原因不明の関節炎がある場合や、感染性関節炎の患者で起こることが分かっている症状の他の組合せがみられる場合に、感染性関節炎の可能性が疑われます。

通常は、できるだけ早く関節液のサンプルを針で採取します(関節穿刺と呼ばれます)。白血球数が増加していないか、サンプルを調べ、細菌やその他の微生物について検査します。直近に抗菌薬を服用していた人以外では、通常、関節液を培養して感染した細菌を特定できます。ただし、淋菌感染症、ライム病、梅毒の原因菌は、関節液から回収するのが困難です。原因菌を培養できた場合は、どの抗菌薬が効果的かを検査します。

関節の感染症を引き起こしている細菌は、しばしば血液からも検出されるため、通常は血液検査を行います。また、たん、髄液、尿の細菌検査も行うことがあり、感染源と他の場所に感染していないかの判定に役立ちます。

感染性関節炎の原因として淋菌が疑われる場合は、尿道、子宮頸部、直腸、咽頭からもサンプルを採取します。淋菌感染症患者の多くがクラミジア感染症(別の性感染症)にもかかっているため、性器のクラミジア感染症の検査も行います。

細菌を検出し特定しやすくするため、淋菌や抗酸菌のDNAの検出を目的として、ポリメラーゼ連鎖反応法(核酸増幅検査[NAAT]の一種)を用いて関節液を分析することもあります。

他の病態を除外するため、罹患した関節のX線撮影を行うこともあります。関節の検査や穿刺が簡単にできない場合は、MRI検査を行うことがあります。MRI検査や超音波検査は、体液の貯留や膿の蓄積(膿瘍)を特定するためにも行います。

予後(経過の見通し)

淋菌以外の細菌が原因で感染性関節炎が起こった場合は、数時間ないし数日以内に、関節の軟骨が永久的に破壊されることがあります。

通常、淋菌が原因の場合は、関節が永久的に損傷することはありません。

通常、関節リウマチ患者の場合は、感染した関節の機能が完全に回復することはなく、また、死亡するリスクが高まります。

治療

  • 抗菌薬または抗真菌薬

  • 膿の除去

  • 副子による関節の固定、その後理学療法

まだ検査で感染微生物が特定されていなくても、感染症が疑われた時点で、すぐに抗菌薬投与を開始することが重要です。原因菌が特定されるまで(通常は関節液の検査開始から48時間以内)、最も疑わしい細菌を殺す抗菌薬を投与します。十分な量の薬が、感染した関節に確実に届くようにするため、抗菌薬は最初は静脈に注射します。

感染している細菌に対して、抗菌薬が効果的であれば、通常は48時間以内に症状の改善がみられます。臨床検査の結果が出たらすぐに、個々の抗菌薬に対する細菌の感受性に応じて、抗菌薬を変更する場合があります。抗菌薬の静脈内投与は、2~4週間継続します。その後さらに2~6週間、抗菌薬を高用量で経口投与します。

膿がたまると関節に損傷をもたらすことがあり、抗菌薬で治癒することが難しくなる可能性があるため、多くの場合、針で吸引してたまるのを防ぎます。針による排膿が難しいか(股関節など)うまくいかない場合は、関節の排膿のために関節鏡検査(関節内を小さな内視鏡で直接観察する方法)や手術が必要になることがあります。吸引は、2回以上行うことがよくあります。関節内に、排膿用のチューブを留置することもあります。最初の数日間は痛みを緩和するため関節が動かないように副子(固定具)で固定しますが、その後、筋力を強化し関節のこわばりやその後の永久的な機能障害を防ぐために理学療法を開始します。

真菌による感染は、抗真菌薬で治療します。抗酸菌による感染は、いくつかの抗菌薬を組み合わせて治療します。真菌と抗酸菌による感染には長期間の治療が必要です。ウイルスによる感染は、通常は抗菌薬での治療なしでよくなります。

非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が痛み、炎症、発熱の軽減に役立つことがあります。

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