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易感染状態にある人の肺炎

執筆者:

Sanjay Sethi

, MD, University at Buffalo, Jacobs School of Medicine and Biomedical Sciences

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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肺炎は肺の感染症です。免疫機能が低下している人または免疫系に異常がある人(例えば、エイズ、がん、臓器移植、特定の薬剤の使用による)では、しばしば、健康な人とは異なる原因微生物によって肺炎が引き起こされます。

  • 免疫機能が低下していると、健康な人にはほとんど病気を引き起こすことのない微生物が原因で肺炎が発生することがあります。

  • その症状は多様ですが、息切れ、せき、発熱などがあります。

  • しばしば胸部X線検査と、たんや血液のサンプルを調べる検査とを組み合わせて、診断が下されます。

  • この肺炎の治療には、抗菌薬または抗真菌薬もしくは抗ウイルス薬が用いられ、免疫系に異常があればそれも治療します。

免疫機能が低下している患者では、通常は肺炎の原因とはならないものを含め、多くの微生物によって肺炎が引き起こされることがあります。免疫系を弱める条件は、以下のものを含め、数多くあります。

原因

ニューモシスチス・イロベチイ Pneumocystis jirovecii は、健康な人の肺の中では害を及ぼすことなく生存しているありふれた真菌です。この真菌が肺炎を起こすのは、通常はエイズ、臓器移植、がん、免疫系を弱める薬剤の使用などによって、 体の防御機能が低下 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む 肺炎の概要 した場合に限られます。多くの場合、ニューモシスチス(P. jirovecii)肺炎は、 ヒト免疫不全ウイルス ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 (HIV)に感染した患者がエイズを発症したことを示す最初の徴候です。

免疫機能が低下している人は、 アスペルギルス アスペルギルス症 アスペルギルス症は、アスペルギルス属 Aspergillusの真菌によって引き起こされる通常は肺の感染症です。 肺や副鼻腔内に、菌糸、血液のかたまり、白血球が絡まった球状のかたまりが形成されます。 症状が出ない人もいますが、せきに血が混じったり、発熱、胸痛、呼吸困難が生じる人もいます。 真菌が肝臓や腎臓に広がると、それらの臓器の機能が低下することがあります。 診断のためには通常はX線検査かCT(コンピュータ断層撮影)検査を行い、可能であ... さらに読む アスペルギルス症 カンジダ カンジダ症 カンジダ症は、カンジダ・アルビカンス Candida albicansをはじめとする数種類のカンジダ属 Candida真菌によって引き起こされる感染症です。 最もよくみられる病型は、口、腟、皮膚の表面に感染が起きるもので、白や赤の斑点が生じ、かゆみや刺激感、またはその両方を引き起こします。 免疫機能が低下している人では、食道やほかの内臓に重篤な感染症が起こることがあります。 感染物質のサンプルを採取し、顕微鏡で観察して培養します。... さらに読む カンジダ症 などの真菌、 黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症 黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusは多くの一般的なブドウ球菌の中で最も危険とされています。このグラム陽性の球状細菌(球菌)は、しばしば皮膚感染症を引き起こしますが、肺炎、心臓弁の感染症、骨の感染症を引き起こすこともあります。 これらの細菌は、感染者と直接接触したり、汚染された物を使用したり、くしゃみやせきによって飛び散った飛沫を吸引することで感染します。... さらに読む 黄色ブドウ球菌(<i >Staphylococcus aureus</i>)感染症 肺炎球菌 レンサ球菌感染症 レンサ球菌感染症は、レンサ球菌属 Streptococcusの細菌によって引き起こされる感染症です。これらのグラム陽性の球状細菌(球菌)は、レンサ球菌性咽頭炎、肺炎のほか、創傷、皮膚、心臓弁、血流の感染症など、多くの病態を引き起こします。 種類の異なる菌株が異なった経路で拡大し、例えば、せきやくしゃみ、感染が生じた傷や褥瘡(床ずれ)、経腟分娩(母親から新生児へ)を介して感染します。... さらに読む インフルエンザ菌 インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症 グラム陰性細菌の一種であるインフルエンザ菌 Haemophilus influenzaeは、気道の感染症を引き起こし、それが他の臓器に広がることもあります。 この感染症はくしゃみ、せき、接触によって広がります。 この細菌は中耳の感染症や副鼻腔炎のほかにも、髄膜炎や喉頭蓋炎、さらには呼吸器感染症など、より重篤な感染症を引き起こします。 血液や感染組織のサンプル中でこの細菌が特定されれば、診断が確定します。... さらに読む などの細菌、 サイトメガロウイルス サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス感染症はよくみられるヘルペスウイルス感染症で、症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多様です。 このウイルスは、体の分泌物と接触(性的接触とそれ以外の接触の両方)することで感染します。 ほとんどの人では何の症状もみられませんが、気分が悪くなって熱が出る場合もあり、免疫機能が低下している人が感染すると、失明などの重篤な症... さらに読む 単純ヘルペスウイルス 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症では、皮膚、口、唇(口唇ヘルペス)、眼、性器に、液体で満たされた、痛みのある小さな水疱が繰り返し発生します。 非常に感染力の強いウイルス感染症であり、潰瘍に直接触れたり、ときには潰瘍がない場合でも患部に触れることで感染します。 ヘルペスウイルスは口の中や性器に水疱や潰瘍を引き起こし、最初の感染時には、発熱と全身のだるさが生じることがよくあります。... さらに読む 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 などのウイルスにより、肺炎になることがあります。

症状

  • 全身のだるさ(けん怠感)

  • たん(粘り気が強いまたは変色した粘液)がからんだせき

  • 息切れ

  • 発熱

  • 悪寒

  • 胸痛

症状は急速に現れることもあれば徐々に現れることもあります。

ニューモシスチス(P. jirovecii)肺炎の患者のほとんどに、発熱、息切れ、乾いたせきがみられ、多くの場合これらの症状が徐々に発生します。肺が血液に十分な酸素を供給できなくなって、息切れをきたすことがあり、ときには重症化します。

診断

  • 胸部X線検査

  • たん(粘り気が強いまたは変色した粘液)のサンプルを顕微鏡で調べる

  • 血液培養検査

  • パルスオキシメトリー

免疫機能が低下している人の肺炎の診断は、症状、胸部X線検査またはCT検査の結果、たんと血液の検査の結果に基づいて下されます。

胸部X線検査では異常が示されないこともあれば、感染症の徴候がみられることもあります。

たんのサンプルを採取するために、医師は蒸気を吸入させて深いせきをさせたり(これによりたんが出やすくなります)、 気管支鏡 気管支鏡検査 気管支鏡検査とは、気管支鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を用いて発声器(喉頭)や気道を直接観察することです。気管支鏡の先端にはカメラが付いていて、これによって太い気道(気管支)から肺の内部を観察できます。 肺疾患に関する病歴聴取と身体診察および呼吸器系も参照のこと。) 気管支鏡は、肺の出血源を探るために用いられることもあります。肺がんが疑われる場合は、気道を調べて、がん化しているように見えるところからサンプルを採取することもあります。気管... さらに読む 気管支鏡検査 (カメラの付いた柔軟な細い管状の機器)を気道に挿入したりすることがあります。せきを誘発させて採取したたんのサンプルや、特に気管支鏡により採取したサンプルは、唾液を含んでいる可能性が低く、自発的に吐き出したたんのサンプルよりも肺炎の原因微生物をはるかに特定しやすくなります。

医師は通常は血液サンプルを採取し、検査室で細菌を増殖させる検査(培養検査)と病原体の特定を試みます。

予後(経過の見通し)

ニューモシスチス(P. jirovecii)肺炎患者の死亡率は高いです。

予防

医師はしばしば、免疫系を強化する治療や、肺炎を予防する治療を行います。例えば、がんの治療により免疫機能が低下している患者には、顆粒球コロニー刺激因子と呼ばれる薬剤を投与して、白血球(感染に対する防御を担う細胞)の産生を促すことがあります。

ニューモシスチス(P. jirovecii)肺炎のリスクが高い人には、トリメトプリム/スルファメトキサゾール配合剤(ST合剤)という2種類の抗菌薬を配合した薬剤を予防に使うことができます。この薬剤の副作用には、発疹、感染防御を担う白血球数の減少、発熱などがあり、特にエイズ患者によくみられます。他の予防薬としてジアフェニルスルホンまたはペンタミジンがあります。

治療

  • 抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬

  • 免疫系に異常があれば治療する

肺炎の治療法は以下の要素に応じて異なります。

  • 具体的な免疫系の異常

  • 病気の重症度

  • 原因の可能性がある微生物

医師は通常、多くの細菌に効果がある抗菌薬(広域抗菌薬)を投与します。それでも患者の状態が改善しない場合は、ウイルスまたは真菌に対して効果のある薬剤を追加することがあります。

ニューモシスチス(P. jirovecii)肺炎の患者には、トリメトプリム/スルファメトキサゾールという抗菌薬の配合剤が投与されます。代替薬はジアフェニルスルホン、アトバコン、クリンダマイシン、ペンタミジンです。また、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドを投与することもあります。

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