肺炎球菌ワクチン

執筆者:Margot L. Savoy, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
Reviewed ByEva M. Vivian, PharmD, MS, PhD, University of Wisconsin School of Pharmacy
レビュー/改訂 修正済み 2025年 7月
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肺炎球菌ワクチンは肺炎レンサ球菌(肺炎球菌)による細菌感染症の予防に役立ちます。肺炎球菌感染症には、耳の感染症副鼻腔炎肺炎血流感染症髄膜炎などが含まれます。

免疫化の基礎知識も参照)

ワクチンの種類

肺炎球菌は90種類以上あります。ワクチンは、重篤な疾患を引き起こす可能性が最も高い多くの種類の肺炎球菌を標的にしています。

肺炎球菌ワクチンには、結合型と多糖体の2種類があります。

結合型ワクチンのPCV13は、13種類の肺炎球菌を予防します。(このワクチンは、特定の状況[例えば、免疫機能が低下していない65歳以上の成人]でのみ使用され、すでに米国では接種できないか、または小児への定期的使用は推奨されていません。)

結合型ワクチンのPCV15は、15種類の肺炎球菌を予防します。

結合型ワクチンのPCV20は、20種類の肺炎球菌を予防します。

結合型ワクチンのPCV21は、21種類の肺炎球菌を予防します。

多糖体ワクチンのPPSV23は、23種類の肺炎球菌を予防します。

結合型ワクチンと多糖体ワクチンは、感染を引き起こさない細菌の成分と、別の特定の細菌の成分(タンパク質など)を含有しています。これらの細菌は無害であるため、肺炎球菌感染症を引き起こすことはありませんが、人の免疫系に強い反応を誘発します(能動免疫化を参照)。

肺炎球菌ワクチンの用量および推奨事項

すべての結合型ワクチンは筋肉内に注射します。

多糖体ワクチンは、皮膚の下または筋肉内に注射します。

推奨事項と投与するワクチンは、年齢やその他の要因によって異なります。(CDC:肺炎球菌ワクチンの推奨事項[Pneumococcal Vaccine Recommendations]も参照。)

このワクチンを接種すべき人

肺炎球菌ワクチンは小児期の定期予防接種に組み込まれています。生後2ヵ月に1回、生後4ヵ月に1回、生後6ヵ月に1回、生後12~15ヵ月に1回の計4回接種します。定期予防接種として、小児にはPCV15またはPCV20の投与を受けることができます。免疫機能が低下している、または免疫不全の小児では、代わりにPPSV23の投与を受ける場合もあります。この4回の接種は、5歳未満のすべての小児が対象です。(CDC:出生から6歳までに推奨される予防接種、米国、2025年版[Recommended Immunizations for Birth Through 6 Years, United States, 2025]を参照。) 肺炎球菌ワクチンの接種を受けていない5~18歳の健康な小児は、特定の病気(慢性心疾患、慢性肺疾患、糖尿病、脳脊髄液漏出、人工内耳の埋め込み、易感染状態など)がない限り、ワクチン接種を受ける必要はありません。

19~49歳の人は、特定の病気または危険因子(以下を参照)があり、かつ結合型ワクチンの接種を受けたことがなく、ワクチン接種歴が不明の場合、以下のいずれかを受けるべきです。

  • PCV20の接種を1回または

  • PCV21の接種を1回または

  • PCV15を1回接種した後にPPSV23の接種を1回

特定の病気および危険因子には以下のものが含まれます。

結合型ワクチンを接種したことがない、または予防接種歴が不明の50歳以上の人

  • PCV20の接種を1回または

  • PCV21の接種を1回または

  • PCV15を1回接種した後にPPSV23の接種を1回

年齢が50歳以下については、PPSV23の投与はPCV15の投与から1年以上経過後に行います。しかしながら,免疫不全疾患、人工内耳の埋め込み、または脳脊髄液漏出がみられる成人では、ときにPCV15とPPSV23の接種時期を8週間以上隔てることが検討されます。

65歳以上の方は、医療従事者と相談の上、病気や危険因子がない場合は、PCV13の投与を受けることができます。この年代のすべての成人がPPSV23を1回接種するべきです。PCV13を投与すると決定した場合は、PPSV23の1年以上前に投与する必要があります。

このワクチンを接種すべきでない人

結合型ワクチンPCV13、PCV15、PCV20、PCV21のいずれかの成分に対して、またはジフテリアトキソイド(DTaPなど)を含有するいずれかのワクチンに対して、生命を脅かす重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー反応など)を起こしたことがある人は、このワクチンを接種するべきではありません。

PPSV23ワクチンの成分に対して、または前回このワクチンを接種したときにアナフィラキシー反応を起こしたことがある人は、このワクチンを接種するべきではありません。

一時的な病気がある場合、通常ワクチンは病気が消散してから投与します(CDC:これらのワクチンを接種すべきでない人[Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。

詳しい情報

副作用には、注射部位の痛みや発赤などがあります。

他の副作用としては、発熱、易刺激性、眠気、食欲不振、嘔吐などがあります。

副作用の詳細については、添付文書を参照してください。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。

  1. 米国疾病予防管理センター(CDC):結合型肺炎球菌ワクチン(暫定)情報提供文書(Pneumococcal conjugate vaccine [interim] information statement)

  2. CDC:PPSV23ワクチン情報提供文書(PPSV23 vaccine information statement)

  3. CDC:肺炎球菌ワクチンの接種(Pneumococcal Vaccination)

  4. 欧州疾病予防管理センター(ECDC):肺炎球菌感染症(Pneumococcal Disease):推奨される予防接種(Recommended vaccinations)

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