Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

読み込んでいます

腕や脚の痛み

執筆者:

Michael J. Shea

, MD, Michigan Medicine at the University of Michigan;


Andrea D. Thompson

, MD, PhD, Department of Internal Medicine, Division of Cardiovascular Medicine, University of Michigan

最終査読/改訂年月 2018年 5月
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
本ページのリソース

脚や腕の全体または一部に痛みが広がることがあります。腕や脚の痛みを引き起こすほとんどの病気は、脚でより多くみられます。関節痛については、別の箇所で説明されています。

腕や脚の痛みは、一定に起きる場合もあれば、不規則に起きる場合もあります。痛みは運動に誘発される場合もあれば、運動とまったく関係ない場合もあります。腕や脚の痛みの原因に応じて、熱感、発赤、しびれ、チクチク感といった他の症状が現れることもあります。

原因

腕や脚の痛みで最も一般的な原因は外傷および過度の使用ですが、通常、これらの外傷の原因は本人が認識しています。本章では、外傷や挫傷と関連しない腕や脚の痛みについて説明します。腕や脚の痛みには多くの原因があります。

最も一般的な原因は以下のものです。

まれではあるものの重篤で速やかな診断と治療が必要な原因としては以下のものがあります。

  • 腕や脚の動脈の突然の詰まり(急性動脈閉塞

  • 深部軟部組織感染症

  • 心臓発作(腕の痛みのみ)

その他のあまり一般的ではない原因としては、骨の腫瘍、骨の感染症(骨髄炎)、神経の圧迫や神経あの変性などの神経の異常(例えば、糖尿病や長期のアルコール乱用に起因するもの)などがあります。

評価

特に重要な確認すべき点は、動脈に急激な詰まりが起きていないかどうかで、もし数時間以上にわたって血流が止まると、腕や脚に壊疽が起きる可能性があります。以下では、どのようなときに医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

腕や脚の痛みがみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 突然のひどい痛み

  • 腕や脚に触ると冷たい、または腕や脚が青白い

  • 胸痛、発汗、息切れ、動悸

  • 深刻な病気の徴候(例えば、混乱、発熱、失神)

  • 腕や脚に突然出現したむくみ、水疱、黒点

  • 最近の手術、長期の床上安静、ギプスでの脚の固定など、深部静脈血栓症の危険因子

  • 痛みのある腕や脚に新たに現れた神経の症状(筋力低下、しびれなど)

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がない人は、医師に電話してください。症状、年齢、その他の病気の有無に基づいて、どれくらい早急に診察を受ける必要があるかを医師が判断します。一般的に、数日の遅れは問題になりません。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、腕や脚の痛みの原因と必要になる検査を推測することができます。

医師は以下のことを質問します。

  • 腕や脚の痛みはどのくらい続いているか

  • 痛みは特定の時間または特定の活動中に起きるか

  • 痛みの強さはどの程度か

  • 痛みは鋭い痛みか、ずきずきする痛みか

  • 痛む場所はどこか

  • 痛みを誘発する活動や悪化させる活動は何かあるか

  • 痛みを和らげるために何をしているか

  • 痛みと一緒に起きる他の症状(しびれやチクチク感など)は何かあるか

医師は痛みの原因を推測できる症状がないか探します。一部の明らかな所見が腕や脚の痛みの原因を診断する上で非常に役立つ場合があります。例えば、背部痛や頸部痛があれば神経根が影響を受けていることが疑われ、発熱がみられれば感染が疑われます。息切れと心拍数の上昇は、血栓が脚から肺に移動して動脈が詰まったことを示唆します(肺塞栓症)。脈が不規則な場合は、心臓のリズムに特定の異常(心房細動)があって、そのために血栓が心臓から脚に移動し、脚の動脈が詰まっている可能性が考えられます。

痛みのある腕や脚に変色、血管神経性浮腫、皮膚や毛髪の変化がないか診察します。また、脈、温度、圧痛、捻髪音(パチパチと表現されるかすかな感触で、重篤な感染症によって軟部組織内でガスが発生している可能性を示唆する所見です)を調べます。症状の出ている側と出ていない側で、筋力、感覚、反射を比較します。ときには、症状の出ている側の足首または手首で血圧を測定して、症状の出ていない腕や脚で測定した血圧と比較します。痛みがある側の腕や脚で血圧がはるかに低い場合には、腕や脚の動脈が詰まっている可能性が高いと考えられます。

icon

腕や脚の痛みの主な原因と特徴

原因*

一般的な特徴

検査

突然、ひどい痛みが数分のうちに生じる

腕または脚(通常は脚)に生じる血栓による動脈の詰まり

突然のひどい痛み

腕や脚の冷感と蒼白

数時間後に、神経の機能不全を示す徴候(筋力低下、しびれ、チクチク感、筋けいれんなど)

腕や脚で脈拍が弱いか、感じられない

直ちに動脈造影検査を行う

脊椎での突然の椎間板ヘルニア

腕や脚の線条の領域に起こる痛みやときにしびれ

しばしば動作によって悪化する痛み

しばしば首または背中の痛み

ときに症状のある腕や脚の一部分の筋力低下

通常はMRI検査

心臓発作(心筋梗塞)

腕に痛みがあるが、脚にはない

ときに胸部や顎の痛みや圧迫感

ときに吐き気、発汗、息切れ

ときに、心疾患が判明している人にみられる

心電図検査

心筋マーカー(心臓の損傷を示す物質)を測定する血液検査

ときに心臓の動脈(冠動脈)の血管造影検査

動脈硬化(動脈の壁に脂肪が沈着した状態)による血流量の減少(ほぼ常に脚で起こる)

歩いているときだけ脚に痛みが起こり、数分間休むと軽くなるという現象がたびたび起こる(間欠性跛行[はこう])

超音波検査

ときに動脈造影検査

徐々に現れる痛み(数時間から数日間)

皮膚の細菌感染(蜂窩織炎

発赤、熱感、圧痛を示す領域が不規則にある

ときに発熱

医師の診察

ときに血液培養検査

深部静脈血栓症(脚[典型的]または腕の深いところにある静脈に血栓ができる)

腕や脚全体のむくみ(例えば、ふくらはぎ全体、またはふくらはぎと太もも)

通常、むくんだ部位に痛み、発赤、熱感、圧痛などが生じる

ときに血栓の危険因子(最近の手術、外傷、長期の床上安静、ギプスでの脚の固定、ホルモン療法の使用、がんなど)がある人にみられる

超音波検査

ときに血栓を検出するための血液検査(Dダイマー検査)

皮膚の下の深部または筋肉の細菌感染(筋壊死

深いところに感じる一定した痛み

発赤、熱感、圧痛、むくみがあり、張っているように感じる

重い病気の徴候(発熱、混乱、心拍数の上昇など)

ときに、悪臭を伴う分泌物、水疱、黒く変色して壊死した皮膚

血液と組織の培養検査

X線検査

ときにMRI検査

骨の感染症(骨髄炎

深いところに感じる一定した痛みで、夜間に起こることが多い

骨の圧痛と発熱

危険因子(免疫機能の低下、注射薬の使用、判明している感染源)がある人によくみられる

X線検査とMRIまたはCT検査

ときに骨の培養検査

慢性的な痛み(1週間以上続く)

骨の腫瘍(骨から発生したものと、体の別の部位に生じたがんが骨に転移したもの)

深いところに感じる一定した痛みで、夜間に起こることが多い

骨の圧痛

がんが判明している人によくみられる

X線検査とMRIまたはCT検査

以下の状況で起きる特定の神経への圧迫

  • 腕神経叢(肩と背中にある一群の神経)の病気

  • 胸郭出口症候群(首と胸の間を通る神経に異常が生じる)

腕や脚の一部に沿った、通常は筋力低下、ときにしびれやチクチク感

医師の診察

ときに筋電図検査と神経伝導検査

ときにMRI検査

脊髄神経根(脊髄神経の一部で、脊髄の横にある)の圧迫で、椎間板ヘルニアまたは骨棘が原因のことがある

腕や脚の線条の領域に起こる痛みやときにしびれ

しばしば動作によって悪化する痛み

しばしば首または背中の痛み

通常は症状のある腕や脚の一部分の筋力低下

通常はMRI検査

全身にわたる多数の神経の変性または炎症(多発神経障害

慢性的なしびれと焼けるような痛み(典型的には両手や両足)

神経の損傷を引き起こす病気(糖尿病、アルコール乱用、血管炎など)がある人によくみられる

医師の診察のみ

激しい焼けるような痛みやうずく痛み

ときに、感覚が過敏になり、正常な状態では痛みと認識されない刺激で痛みが発生する

しばしば、皮膚が赤色、斑点状、灰色の外見を示し、症状のある腕や脚で発汗が増加または減少する

典型的には外傷(ときに何年も前の場合もあり)がある人にみられる

医師の診察のみ

慢性静脈不全症(結果として脚に血液がたまる)

足首や脚のむくみ

脚に慢性的な軽い不快感、うずき、筋けいれんがみられるが、痛みはない

ときに皮膚の一部の領域に革のような質感をした赤褐色の部分ができ、下腿に浅いただれがみられる

しばしば静脈瘤

医師の診察のみ

*外傷によって生じた腕や脚の痛みは含めていません。

この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

CT = コンピュータ断層撮影、ECG = 心電図検査、MRI = 磁気共鳴画像。

検査

腕や脚に痛みがあるすべての人で検査が必要というわけではありません。医師は多くの場合、症状や身体所見から一部の腕や脚の痛みの原因(蜂窩織炎や痛みを伴う多発神経障害)を診断することができます。それら以外に考えられる痛みの原因に対しては、通常は検査が必要になります。例えば、医師は末梢動脈疾患を診断するために足関節上腕血圧比をチェックすることがあります。血圧は両腕と両脚で測定します。足首の血圧が腕の血圧と比べて一定以上低い(腕の血圧の90%未満)場合は、そちら側の脚への血流が不十分であることが分かります。

治療

腕や脚の痛みに対しては、原因になっている基礎疾患を治療するのが最善の方法です。アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬などの鎮痛薬が痛みの軽減に役立ちます。ときにオピオイド鎮痛薬が必要になります。

要点

  • 重度の痛みが突然起きた場合は、腕や脚への血流が止まっているか減少していることが多く、速やかに検査を行う必要があります。

  • 通常は、症状と診察中に明らかになった特徴から、腕や脚の痛みの原因をある程度推測することができます。

ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP