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急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症)

執筆者:

Jonathan G. Howlett

, MD, Libin Cardiovascular Institute of Alberta

最終査読/改訂年月 2016年 11月
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急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。

  • 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。

  • 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。

  • 病院では心電図検査と血液中の物質を測定する検査により、急性冠症候群かどうかを診断します。

  • 治療法は症候群の種類によって変わりますが、通常は閉塞が起きた部位の血流を増やす処置が行われます。

冠動脈疾患の概要も参照のこと。)

米国では、毎年90万人以上の人が心臓発作または心臓突然死を起こしています。また、急性冠症候群により毎年約40万人が死亡しています。そのほぼ全員に基礎疾患として冠動脈の病気がみられ、約3分の2が男性です。

原因

心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする冠動脈です。急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがり、心筋の一部への血液供給が大きく減少または遮断されることで起こります。組織への血液供給がなくなることを虚血といいます。血液供給が2~3分以上にわたって大きく減少するか遮断されると、心臓の組織が壊死してしまいます。心筋梗塞とも呼ばれる心臓発作は、虚血により心臓の組織が壊死する病気です。

冠動脈閉塞の最も一般的な原因は血栓(血液のかたまり)です(冠動脈疾患の概要も参照)。動脈は通常、コレステロールなどの脂肪性物質(アテローム)が動脈の壁に蓄積していることで、すでにいくらか狭くなっています。アテロームが破裂したりちぎれたりすると、そこから血小板の粘着性を高める物質が放出され、結果として血栓ができやすくなります。約3分の2の人では、血栓は1日前後で自然に溶解しますが、通常はそれまでの間に、心臓の一部に損傷が起きてしまいます。

まれですが、心臓内で形成された血栓が剥がれて心臓から流れ出し、冠動脈に詰まることで心臓発作が起こることもあります。冠動脈のけいれんのために血流が遮断されることで心臓発作が起きる場合もまれにあります。そのようなけいれんは、コカインなどの薬物によって起きることもあります。ときに原因不明の場合もあります。

分類

急性冠症候群は以下に基づいて分類されます。

  • 損傷した心臓から血液中に放出される物質(血清マーカー)の有無

  • 症状

  • 心電図検査の結果

急性冠症候群の種類によって治療法が異なるため、この分類は重要です。分類は不安定狭心症と2種類の心臓発作で構成されています。

  • 不安定狭心症は、症状のパターンが変化する狭心症で、狭心症が長引くようになったり悪化したりする場合と、重度の狭心症症状が新たに現れる場合があります。不安定狭心症の人では、心電図や血液検査を行っても心臓発作の徴候はみられません。

  • 非ST上昇型心筋梗塞は、血液検査で特定できるものの、心電図検査では典型的な変化(ST上昇)がみられない心臓発作です。

  • ST上昇型心筋梗塞は、血液検査で特定でき、かつ心電図検査でも典型的な変化(ST上昇)がみられる心臓発作です。

知っていますか?

  • 心臓発作を起こす人の約3分の1では、胸痛がみられません。

症状

急性冠症候群は、どの種類でも症状が似ているため、通常は症状だけから種類を判断することはできません。

不安定狭心症の症状は、通常の狭心症と同じで、典型的には胸骨の後ろの部分に断続的な圧迫感や痛みがみられます。この感覚を経験した人は、しばしば痛みというより不快感や押しつぶされるような感覚と表現します。また、不快感が肩、腕の内側、背中、のど、あご、歯などに広がることもあります。ただし、不安定狭心症の人では、症状のパターンが変化します。狭心症の症状がより頻繁に起きたり、より重度であったりするほか、安静時や軽い運動の後に発症します。心臓発作を起こした人の約3人に2人は、発症の数日ないし数週間前に不安定狭心症、息切れ、または疲労感を経験しています。このような胸部の痛みや不快感のパターンの変化は、心臓発作の発生で頂点に達します。

通常、心臓発作で最も特徴的な症状は、胸の中央から背中、あご、左腕にかけて広がる痛みです。比較的まれですが、痛みが右腕に広がることもあります。これらの部位で痛みが起こっていて、胸痛はまったく起こらない場合もあります。心臓発作の痛みは狭心症の痛みと似ていますが、より激しく、長く続き、安静にしてもニトログリセリンを使用しても軽減しません。まれに、腹部に痛みを感じることもあり、特にげっぷをすると痛みが部分的または一時的に軽減する場合があるため、消化不良と誤解される可能性もあります。理由は不明ですが、女性では通常と異なる特定困難な症状がしばしばみられます。

心臓発作を起こす人の約3分の1では、胸痛がみられません。このような例は、女性、白人以外の人、75歳以上の人、心不全や糖尿病のある人、脳卒中を起こしたことのある人で多くみられます。

その他の症状として、気が遠くなる、失神、突然の激しい発汗、吐き気、息切れ、動悸(大きな心拍が自覚される症状)などがあります。

心臓発作の発生中は落ち着かなくなり、発汗や不安、破滅が迫っている感覚などが起こります。唇、手、足がわずかに青白くなることもあります。

高齢者では、まれな症状がみられることもあります。多くの場合、最も明らかな症状は息切れです。胃の不調や脳卒中に似た症状がみられることもあります。高齢者では見当識障害もみられることもあります。それでも、高齢者の約3分の2では若い人と同じように胸痛がみられます。高齢者、特に女性では、自分が病気であると認識したり救急車を呼んだりするまでの時間が若い人と比べて長くなることが多くなります。

このように多様な症状が起こるにもかかわらず、心臓発作を起こした人の5人に1人は、軽い症状がみられるだけか、まったく症状がみられません。このように症状を伴わない心臓発作は、定期的に心電図検査を行っていないと見つからないこともあります。

心臓発作の最初の数時間は、心雑音などの異常な心音が聴診器で聞こえることがあります。

診断

  • 心電図検査

  • 血液検査

35歳以上の男性または40歳以上の女性が胸の痛みを訴えた場合、医師は通常、急性冠症候群の可能性を考えます。しかし、同様の痛みを引き起こす病気はほかにもあり、例えば、肺炎肺塞栓症(血栓で肺動脈が詰まった状態)、心膜炎肋骨骨折食道けいれん消化不良、外傷後または運動後の胸の筋肉の圧痛などがあります。

心電図検査と特定の血液検査で、通常は数時間以内に心臓発作の診断を確定できます。

心電図検査

心電図検査は、急性冠症候群が疑われる場合の診断で最も重要となる最初の検査です。この検査では、心臓の拍動を引き起こしている電気刺激の信号がグラフで表示されます。多くの場合、これにより心臓発作が起きているかどうかを直ちに判定できます。医師は心電図で検出された異常を参考にして、必要な治療の種類を判断します。また心電図の異常から、心筋の損傷部位も推測できます。過去に心臓病を起こしたことのある人は、それにより心電図に変化が生じる可能性があるため、新たに生じた心筋の損傷を検出するのが難しくなる場合があります。このような人は、急性冠症候群の症状が起きたときに医師が以前の心電図と最新の心電図を比較できるように、以前の心電図のコピーを持ち歩くべきです。数時間空けて2~3回心電図を記録してもまったく異常がみられなければ、医師は心臓発作の可能性は低いと考えます。

心筋マーカー

心筋マーカーと呼ばれる特定の物質の血中濃度を測定することも、急性冠症候群の診断に役立ちます。それらの物質は、正常時には心筋内にとどまっていて、心筋が損傷または壊死した場合のみ血液中に放出されます。最も一般的に測定されるのは、心筋タンパクの一種であるトロポニンIおよびトロポニンTと、酵素の一種であるCK-MB(クレアチンキナーゼの筋脳型サブユニット)です。これらの血中濃度は心臓発作後6時間以内に上昇し、数日間はそのままの状態が続きます。心筋マーカー値は通常、入院時とその後24時間にわたって6~12時間毎に測定します。

その他の検査

心電図検査と心筋マーカーの測定を行っても十分な情報が得られない場合は、心エコー検査核医学検査が行われます。心エコー検査では、左心室(心臓のうち全身に血液を送り出す部分)の壁の一部で動きが悪くなっていることが分かります。これは心臓発作による損傷を疑わせる所見です。

入院中や入院直後に他の検査を行うこともあります。それらの検査は、追加の治療を行う必要があるかどうか、心臓にさらなる問題が起こりそうかどうかを判断するために行われます。例えば、ホルター心電計を装着してもらい、心臓の電気的活動を24時間記録することがあります。この検査では、症状を伴わない心筋虚血(血液供給が不十分になった状態)や不整脈を発見することができます。退院前または退院直後に行う運動負荷試験(運動中に行う心電図を測定する検査)では、心臓発作後の回復程度と虚血状態の有無を確認できます。これらの検査で不整脈や虚血が認められた場合は、薬物療法が推奨されます。それでも虚血が残る場合は、心臓への血流を回復させるための経皮的冠動脈インターベンションまたは冠動脈バイパス術の可能性を評価するために、冠動脈造影検査を行うことが推奨されます。

予後(経過の見通し)

不安定狭心症を発症した人の多くは、約3カ月以内に心臓発作を起こします。

心臓発作を起こしている人にとって最も危険な時期は、最初の数時間と病院に行く前です。心臓発作を起こした人の最大20~30%がこの間に死亡するため、心臓発作を起こしていると疑われる人は直ちに医師の診察を受けることが重要です。心臓発作(心筋梗塞)後に2~3日間生き延びることができた場合は、大半の患者では完全な回復を期待できますが、約10%の患者は1年以内に死亡します。死亡のほとんどは発作後3~4カ月以内に起きており、特に狭心症、心室由来の不整脈(心室性不整脈)、心不全が持続している人で多くみられます。心臓発作後に心臓が大きくなった場合は、正常の大きさを保っている場合と比べて、治療後の予後(経過の見通し)が悪くなります。高齢者では、心臓発作後の死亡率と心不全などの合併症の発生率が高くなります。小柄な人は大柄な人よりも予後が悪くなる傾向がありますが、平均すると男性より女性の方が心臓発作後の予後が悪いという事実は、このことで説明できます。また、女性は心臓発作の発生時点で男性より年齢が高く、より重篤な病気を患っているという傾向もみられます。さらに、女性では心臓発作が起きてから病院に行くまでの待機時間が男性に比べて長いという傾向もあります。

心臓発作を起こした人には合併症が生じることがあり、それが長期間続くこともあります。急性冠症候群の合併症は、冠動脈の閉塞の程度、期間、位置によって異なります。閉塞が広範囲の心筋に影響を及ぼすと、心臓は効果的に動くことができなくなります。閉塞によって心臓の電気刺激伝導系への血流が遮断されると、心拍のリズムに影響が及ぶことがあります。

知っていますか?

  • 心臓発作による死亡の半数は、症状が現れてから3~4時間以内に起きています。

予防

心臓発作後には、低用量アスピリン1錠、通常のアスピリン半錠、または通常のアスピリン1錠を毎日服用することが推奨されます。アスピリンは血小板による血栓の形成を予防するため、死亡リスクと心臓発作の再発リスクが15~30%低下します。50歳以上で、心臓発作や脳卒中を起こしたことがなく、危険因子が2つ以上ある人には、心臓発作や脳卒中を予防するために低用量のアスピリンを毎日服用することが通常勧められます。アスピリンにアレルギーがある人は、代わりにクロピドグレルを使用することができます。

通常はベータ遮断薬(メトプロロールなど)も処方され、この種の薬には死亡リスクを約25%低下させる効果があります。心臓発作が重度であるほどベータ遮断薬の効果は高くなりますが、一部の人は副作用(喘鳴[ぜんめい]、疲労、手足の冷えなど)に耐えられないため、すべての人が恩恵を受けられるわけではありません。

脂質低下薬や食生活の改善も心臓発作後の死亡リスクを低下させます。心臓発作や脳卒中を起こしたことがなくても、リスクが高い人(特に糖尿病で肥満の人)には、脂質低下薬が有効となる場合があります。

カプトプリル、エナラプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、リシノプリル、ラミプリルなどのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬も心臓発作後にしばしば処方される薬です。これらの薬には死亡と心不全の発生を予防する効果があり、重度の心臓発作を起こした人や心不全がある人で特に有効です。

生活習慣を変える必要もあります。低脂肪食をとるようにし、運動の量を増やすべきです。高血圧や糖尿病のある人は、これらの病気をコントロールすべきです。タバコを吸う人は禁煙するべきです。

治療

  • 薬剤

  • 閉塞した動脈の再開通またはバイパス

  • 生活習慣の改善

急性冠症候群には緊急の治療が必要です。心臓発作による死亡の半数は、症状が現れてから3~4時間以内に起きています。治療の開始が早ければ早いほど、生存の可能性が高くなります。急性冠症候群を思わせる症状が現れたら、速やかに救急車を呼ぶべきです。訓練を受けた救急隊員が搭乗した救急車で速やかに救急病院まで搬送されれば、助かる可能性が高くなります。かかりつけ医や家族、友人、隣人などに連絡しようとするのは、時間を無駄にするだけで危険です。

心臓発作を起こした疑いがある人は、通常は心血管疾患集中治療室(CCU)のある病院に搬送されて入院することになります。そこでは心拍リズム、血圧、血液中の酸素の量を細かくモニタリングし、心臓にどの程度の損傷が起きたかを評価します。CCUに勤務している看護師は、心臓病の患者をケアし、緊急事態に対処できるように特別な訓練を受けています。

鼻カニューレやフェイスマスクを使って酸素を吸入させることもしばしばあります。心臓に多くの酸素を供給することで、心臓の組織の損傷を最小限にとどめることができます。

最初の数日間に合併症が起きなければ、たいていの場合、それから数日で無事に退院できます。不整脈などの合併症が起きた場合や、もはや心臓が十分な血液を送り出せなくなっている場合は、入院が長期化する可能性があります。

薬物療法

心臓発作の治療の初期段階で最も重要なことは、閉塞した動脈の血流を回復できるように、迅速に医療機関を受診することです。心臓発作が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、直ちにアスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。自宅にアスピリンがなく、救急隊員も投与しなかった場合は、病院に到着した直後に投与されます。アスピリンは冠動脈内の血栓を小さくする作用があるため、生存の可能性が高くなります。アスピリンにアレルギーがある人には、代わりにクロピドグレルまたはチクロピジンを使用することができます。アスピリンとクロピドグレル/チクロピジンの両方を投与する場合もあります。

血栓の形成を防ぐ薬、不安を軽減する薬、心臓のサイズを小さくする薬が投与されることもあります。心臓発作から回復した後も、しばらくこれらの薬剤の服用が必要になる場合があります心臓発作の最中と収束後には、心臓への負荷を減らす薬が使用されます。

心臓の負担を減らすことも組織の損傷を抑えることにつながるため、ベータ遮断薬を使って心拍を遅くします。心拍数を減らすことで心臓の負担が減り、組織に損傷が起きる範囲を狭めます。

ほとんどの場合、さらなる血栓の形成を予防するために、ヘパリンなどの抗凝固薬も投与されます。

心臓発作を起こした人は重度の不快感と不安感を覚えることが多いため、しばしばモルヒネが使用されます。この薬には鎮静作用があるほか、心臓にかかる負担を減らします。ほとんどの患者にニトログリセリンが投与されますが、この薬は心臓にかかる負担を減らし、動脈を拡張することで痛みを軽減します。通常は、まず舌下投与(錠剤を舌の下に置いて口の中で溶かす投与方法)で使用し、続いて静脈内に投与します。

ACE阻害薬は、心臓の拡大を軽減することで、多くの人で生存の可能性を高めます。そのため、この種の薬は心臓発作の発生後、数日以内に服用を開始し、無期限に処方されます。

スタチン系薬剤は、多年にわたり冠動脈疾患の予防薬として使用されてきましたが、急性冠症候群の患者にも短期的なメリットがあることが最近明らかにされました。まだ投与されていない場合は、スタチン系薬剤が投与されます。

心臓発作の治療薬に関する詳細は、本マニュアルの別の箇所で説明されています( 冠動脈疾患の治療に用いられる薬剤*)。

動脈を開通させる治療

閉塞した冠動脈を開通させるタイミングと方法は、急性冠症候群の種類と、どれくらい早く病院に到着したかによって決まります。閉塞した冠動脈を開通させる治療には、いくつかの方法があります。

ST上昇型心筋梗塞を起こした人では、直ちに冠動脈の閉塞を解除することで心臓の組織の救済につながり、生存の可能性が高まります。医師は患者が病院に到着してから90分以内に閉塞の解除を試みます。閉塞の解除が早ければ早いほど経過は良好になり、解除の方法はおそらくタイミングほど重要ではありません。

ST上昇型心筋梗塞の患者で、病院到着後90分以内に処置を行える場合は、血管形成術やステント留置術などの経皮的冠動脈インターベンション(PCI) が閉塞した動脈を開通させる最良の方法と考えられています。

経皮的冠動脈インターベンションを90分以内に行えない場合は、血栓溶解薬(血栓を溶かす薬— 冠動脈疾患の治療に用いられる薬剤*)が静脈内に投与されます。血栓溶解薬には、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、テネクテプラーゼ(tecnecteplase、TNK-tPA)、アルテプラーゼ、レテプラーゼ(reteplase)などがあります。これらの薬は直ちに投与するのが望ましいですが、3時間以内であれば高い効果が得られ、病院到着後12時間以内ならある程度の効果が期待できます。特別な訓練を受けた救命救急士が血栓溶解薬を病院到着前に投与する地域もあります。血栓溶解薬の投与を受けた人の大半は、その後も退院までに経皮的冠動脈インターベンションを受ける必要があります。

血栓溶解薬は出血を引き起こすことがあるため、消化管出血がある人、重度の高血圧の人、最近脳卒中を起こした人、心臓発作を起こす前の1カ月間に手術を受けた人には投与できません。これらの条件に当てはまらなければ、高齢者でも安全に血栓溶解薬を使用できます。

非ST上昇型心筋梗塞または不安定狭心症を起こした人では、通常は緊急の経皮的冠動脈インターベンションも血栓溶解薬も有効ではありません。しかし、通常は入院初日か翌日に経皮的冠動脈インターベンションが行われます。症状が悪化した場合や特定の合併症が起きた場合は、より早期に経皮的冠動脈インターベンションを行う場合もあります。

患者によっては、経皮的冠動脈インターベンションや血栓溶解薬の代わりに、急性冠症候群の発症中に冠動脈バイパス術(CABG)を行う場合もあります。例えば、血栓溶解薬を使用できない人(出血性疾患[出血が起きやすくなる病気]がある人、最近脳卒中を起こした人、大きな手術を受けたばかりの人など)には、冠動脈バイパス術が行われることがあります。また、冠動脈疾患が重症であるために経皮的冠動脈インターベンションを行えない場合(例えば、多くの領域で閉塞が起きている場合、心臓の機能が低下している場合、特に糖尿病もみられる場合)にも、冠動脈バイパス術が行われることがあります。

一般的な対策

体を動かすこと、精神的ストレス、興奮は心臓の負担になるため、心臓発作を起こした後は、数日は静かな部屋で安静に過ごすようにします。見舞いは通常、家族とごく親しい友人までに制限します。ストレスにならない番組であれば、テレビを視聴してもよいでしょう。

喫煙は冠動脈疾患の大きな危険因子であり、病院内では禁止されます。さらに、急性冠症候群を起こした人は絶対に禁煙しなければいけません。

便秘のためにいきまなくても済むように、便を軟らかくする薬や現在を使用することもあります。排尿ができない場合や、尿量の変化を正確に知る必要がある場合は、尿道カテーテルを使用します。

ひどく神経質な人は心臓に負担がかかるため、軽い抗不安薬(例えば、ロラゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤)が処方されることもあります。急性冠症候群の発症後によくみられる軽い抑うつや病気の否認に対処するには、自分の感情について医師や看護師、ソーシャルワーカー、家族、友人などと話をするように促します。一部の人では抗うつ薬が必要になります。

退院

心臓発作の合併症が起きず、経皮的冠動脈インターベンションが成功した場合は、通常は3~4日ほど入院した後に退院できますが、より長い入院が必要になる場合もあります。

通常はニトログリセリン、アスピリンと場合によりクロピドグレル、ベータ遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、および脂質低下薬(たいていはスタチン系薬剤)が処方されます。

リハビリテーション

回復には心臓リハビリテーションが重要で、入院中から開始します。2~3日以上ベッドで安静にしていると、体を動かさないことで筋力や心臓の機能が低下する(身体的デコンディショニング)ほか、ときに抑うつや無力感につながることもあります。心臓発作を起こした人では、合併症がなければ、1日目から、いすに座る、手伝ってもらいながら体を動かす、いす型の室内用便器を使用する、本を読むなどのリハビリテーションを開始します。2日目または3日目には、歩いてトイレに行くようにし、負担にならない程度の運動を行い、その後は日毎に活発に動けるようにしていきます。経過が良好であれば、通常は6週間以内に普段の生活に戻ることができます。その人の年齢と心臓の健康状態に合わせた定期的な運動プログラムに参加することが有益です。

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