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運動選手の心臓突然死

執筆者:

Robert S. McKelvie

, MD, PhD, Western University

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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外見的に健康な若い運動選手では、推定で100,000人に3人の頻度で、 不整脈 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む 不整脈の概要 を突然発症して運動中に突然死するケースが報告されます。女性よりも男性に10倍多くみられます。リスクが最も高いのは、米国ではバスケットボールとフットボールの選手、欧州ではサッカー選手です。

原因

若い運動選手

若い運動選手における心臓突然死の最も一般的な原因は以下のものです。

不整脈をもたらす他の心疾患( QT延長症候群 QT延長症候群とトルサード・ド・ポアンツ心室頻拍 トルサード・ド・ポアンツ心室頻拍は特別なタイプの心室頻拍で、QT延長症候群と呼ばれる心臓の電気的活動の病気がある人で起こります。 (不整脈の概要と心室頻拍も参照のこと。) 一部の患者には生まれつきQT延長症候群があります。その他の患者では、この病気は血清中のカリウム濃度の低下、徐脈(心拍数の異常な低下)、薬剤の使用によって起こります。しばしば抗不整脈薬によってQT延長症候群が引き起こされますが、特定の抗うつ薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬によ... さらに読む ブルガダ症候群 心臓のイオンチャネル病 心臓のイオンチャネル病は、心臓の電気的活動を制御している細胞のタンパク質に先天的異常があるために、不整脈が発生する病気です。 (不整脈の概要も参照のこと。) 心臓のイオンチャネル病がある人の大半では、心臓発作や心臓弁膜症などの他の心疾患はありませんが、心臓の細胞膜にある小さな孔(チャネル)の構成や調節を決定する遺伝子に変異があり、不整脈が起こりやすくなっています。最も一般的なイオンチャネル病では以下のものが生じます。... さらに読む など)や 大動脈瘤 大動脈瘤と大動脈解離の概要 大動脈は、直径が約2.5センチメートルある体内で最も太い動脈で、左心室から送られてきた酸素を多く含む血液を、肺を除く全身の組織へと送り出しています(肺への血液は右心室から送り出されます)。心臓から出た大動脈からは、すぐに腕と頭へ向かう動脈が枝分かれします。その後、大動脈は弧を描いて下に向かい、左心室の高さから腰の骨(骨盤)の最上部の高さま... さらに読む も、若い運動選手の突然死の原因となる可能性があります。

冠動脈の異常、特に動脈の1本が心筋の上ではなく、心筋の中を通る異常な経路を取っている場合、運動中に圧迫により心臓への血流が遮断されることで、運動選手の突然死がもたらされる可能性があります。

高齢の運動選手

症状

一部の運動選手には、失神や息切れなどの警戒すべき徴候がみられます。しかし、しばしば運動選手はこれらの症状を認識していないか、認識していても報告せず、突然の呼吸停止や失神が最初の徴候になることもあります。

診断

  • スポーツに参加する前のスクリーニング

スクリーニング

一般的には、 運動プログラムを開始する 運動プログラムを始める 競技スポーツや運動プログラムを始めるときには、その前に医師に相談した方がよいでしょう。医師は、本人や家族の病気、そして本人の症状について質問を行います。次いで、聴診器で心音を聞くなどの身体診察を行います。これらの評価で、それまで心疾患の疑いがなかった人が、激しい運動で深刻な不整脈や予期せぬ突然死を起こしかねない心疾患を抱えていないかどうかを調べます。また、運動を制限しなければならない健康状態がみつかる場合もあります。例えば過体重であれば... さらに読む 運動プログラムを始める 前に主治医によるスクリーニングを受けます。このスクリーニングでは、医学的な病気がある人と自分では医学的な病気はないと考えている人を特定します。一部の重篤な病気は運動を行うまで問題をもたらさないことから、医学的な病気が判明していない人もチェックを受けるべきです。再評価を高校生の年齢の場合は2年毎に、大学生以上の場合は4年毎に行います。

医師は常に問診と身体診察を行いますが、検査は年齢と症状に応じて必要な場合にのみ行われます。問診では以下の3つの領域に焦点が置かれます。

  • 胸の痛みや不快感、失神または失神しそうな感覚、疲労、呼吸困難などの症状、特にこれらの症状が激しい運動中に起こる場合

  • 家族歴、特に運動中に失神または死亡した家族、あるいは50歳未満で突然死亡した家族の有無

  • 薬剤の使用

身体診察では、心疾患の可能性を示唆する心雑音がないか聴診器で調べること(心臓の聴診)と、横になった状態と立った状態で血圧を測定することに焦点が置かれます。

若年者では、何らかの異常が病歴から特定されるか身体診察中に見つかった場合を除き、検査は通常行われません。若い運動選手全員を対象とした心電図検査によるスクリーニングは、米国では現実的ではないと考えられています。しかし、検査結果から心臓の異常が示唆された場合は、一般的には 心電図 心電図検査 心電図検査は心臓の電気刺激を増幅して記録する検査法で、手早く簡単に行える痛みのない方法です。心電図による記録では、毎回拍動を誘発する心臓の生体ペースメーカー部(洞房結節、洞結節)、心臓の神経伝導経路、心拍数や心拍リズムについての情報が得られます。心電図では、心臓が拡大していること(通常の原因は高血圧)や、心臓に血液を供給する冠動脈の1つが閉塞しているために心臓に十分な酸素が行き届いていないことが示されることがあります。... さらに読む 心電図検査 または 心エコー検査 心エコー検査とその他の超音波検査 超音波検査では、周波数の高い超音波を内部の構造に当てて跳ね返ってきた反射波を利用して動画を生成します。この検査ではX線を使いません。心臓の超音波検査(心エコー検査)は、優れた画像が得られることに加えて、以下の理由から、心疾患の診断に最もよく用いられる検査法の1つになっています。 非侵襲的である 害がない 比較的安価である 広く利用できる さらに読む 心エコー検査とその他の超音波検査 あるいはその両方を行います。

そこで心疾患が見つかった場合は、競技スポーツへの参加を断念し、さらなる検査を受ける必要があります。 肥大型心筋症 肥大型心筋症 肥大型心筋症とは、心室(心臓の下側にある2つの部屋)の壁が厚くなって(肥大)硬くなる一群の心疾患です。 ほとんどの肥大型心筋症は、親から受け継がれた遺伝的な異常によって引き起こされます。 失神、胸痛、息切れ、動悸(不規則な心拍の自覚)が生じます。 医師は身体所見からこの病気を疑いますが、診断の確定には心エコー検査またはMRI検査が用いられます。 心臓の収縮力を低下させる薬を投与します。 さらに読む 肥大型心筋症 のような重度の心疾患をもつ一部の人は、競技スポーツには参加できません。しかし、心疾患があっても、競技スポーツ以外のスポーツには大半の人が参加することができます。より活発な活動は、「悪玉」コレステロール(低比重リポタンパクコレステロール)値の低下、高血圧の予防、体脂肪の減少など、良好な健康指標と直接的に関連しています。ほとんどの心疾患の患者に対するケア計画( 心臓リハビリテーション 心疾患に対するリハビリテーション 心臓リハビリテーションは、心臓発作を起こして間もない人、心不全や冠動脈疾患を最近発症した人、心臓手術を受けた人に有用です。このリハビリテーションの目標は、心臓機能の障害という制約の範囲内で、最低限、日常生活の基本動作を1人で行える力を維持あるいは取り戻すことです。(リハビリテーションの概要も参照のこと。) 2~3日以上ベッドで寝ていると筋肉や心臓が弱くなり(デコンディショニング)、うつ病になることもあります。そのため、心臓発作の後などに... さらに読む )には、定期的な運動が決まって含まれています。

知っていますか?

  • 心疾患のある人でも、通常は何らかの身体活動に参加することができます。

治療

  • 蘇生

呼吸が止まって卒倒した人には、直ちに次の処置を行います。

蘇生は救急外来でも引き続き行われます。命をとりとめた場合は、不整脈を引き起こした病態の治療を行います。ときに、 植込み型除細動器 正常なリズムの回復 正常なリズムの回復 を使用して、心拍のリズムを継続的にモニタリングし、必要に応じてショックを与えてリズムを正常に戻す方法が選択されます。

自動体外式除細動器:心臓の拍動を再開させる装置

自動体外式除細動器(AED)は、心室細動という特定の不整脈を検出して正常化する装置です。心室細動は心停止を引き起こします。

心停止が起きた場合、AEDがあれば速やかに使用すべきです。AEDを使用することで救命の可能性が高まるため、AEDは救急車を呼んだり心肺蘇生を始めたりする前に使用します。AEDが心室細動を検出すると、電気ショックが与えられます(除細動)。これにより正常なリズムが回復し、心拍が再開することがあります。心臓が動き始めた場合でも救急治療を施す必要があります。AEDを使用しても心停止の状態が続く場合は、心肺蘇生を行う必要があります。

AEDは簡単に使うことができます。アメリカ赤十字社などの組織では、AEDの使い方の講習が行われており、ほとんどの講習は数時間で済みます。AEDの機種によって使用法が若干異なるため、使用中のAEDに記載されている指示をしっかり守る必要があります。

米国では、AEDはスタジアムやコンサートホールなど、人が集まる多くの場所に設置されています。心室細動を起こす可能性が高いと主治医から言われている人が植込み型除細動器を使用しない場合は、家庭用のAEDを購入して、家族が使用できるようにしておくとよいでしょう。

自動体外式除細動器:心臓の拍動を再開させる装置

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