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肝硬変

執筆者:

Jesse M. Civan

, MD, Thomas Jefferson University Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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概要
本ページのリソース

肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。

肝硬変は、世界的に一般的な死因の1つとなっています。米国では、毎年約35,000人(多くは入院患者)が肝硬変の合併症によって死亡しています。

様々な病気、薬、または毒素により、肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けることがあります。肝臓が損傷を受けると、肝臓は瘢痕組織を形成して(線維化 肝臓の線維化 肝臓に異常に大量の瘢痕組織が形成されることを、線維化といいます。これは、肝臓が損傷した細胞を修復して新しい組織で置き換えようとする過程で生じます。 肝臓に損傷が起きる病態には多くのものがあります。 線維化自体は症状を引き起こしませんが、重度の瘢痕は肝硬変につながり、それが症状を引き起こす可能性があります。 医師は、血液検査と画像検査の結果に基づいて、線維化の診断と重症度の推定を行うことが多いものの、ときに肝生検が必要になることもあります... さらに読む )自己修復を試みます。線維化が広範で重度の場合、肝臓全体に帯状の瘢痕組織が形成され、肝臓の内部構造が破壊されて、肝臓の再生能力や機能が損なわれます。このような重度の瘢痕は肝硬変と呼ばれます。

  • 薬、毒素、体内で作られた老廃物を分解して除去する

  • 胆汁を処理する

  • 血液凝固を促すタンパク(凝固因子)を作る

  • アルブミン(血管からの体液の漏出を防ぐタンパク)を作る

肝臓は多くの薬、毒素、体内の老廃物を処理しています。肝臓ではこれらの物質が、より毒性の低い形や体から除去しやすい形に解されます。肝臓では、これらの物質が胆汁(肝臓の細胞によって作られる褐色または緑黄色の消化液)中に排泄されることにより除去されます。肝臓がこれらの物質を処理する能力が低いと、これらの物質は血流中に蓄積します。結果として、多くの薬や毒素の作用(ときに重篤な副作用もあります)が増加します。肝硬変になると、以前は有害な作用が生じなかった用量でも、このような副作用が起こる可能性があります。薬の使用中止や、通常より少ない用量での慎重な使用が必要になる場合があります。例えば、オピオイドや、不安や不眠症の治療に用いられる一部の薬などが挙げられます。ビリルビンは、重要な老廃物の1つで、肝臓で処理されて除去されます。肝臓が速やかにビリルビンを処理できないと、ビリルビンが血液に蓄積して、皮膚に沈着します。これにより黄疸 成人の黄疸 黄疸では、皮膚や白眼が黄色くなります。黄疸は、血中にビリルビン(黄色の色素)が多すぎる場合に起こります。この病態を高ビリルビン血症と呼びます。 (肝疾患の概要と新生児黄疸も参照のこと。) 写真では、黄色に変色した眼と皮膚(黄疸)がみられます。 ビリルビンは、古くなった赤血球または損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに形成されます。ビリルビンは、血流によって肝臓に運ばれ、そ... さらに読む 成人の黄疸 (おうだん;眼や皮膚が黄色くなる症状)が生じます。

肝臓内では、作られた胆汁が細い管(胆管)に流れ込み、それらの管が集まって、より大きな管が形成されます。この大きな管は、最終的に肝臓から出て、胆嚢(胆汁を貯蔵します)または小腸につながります。胆汁には、脂肪を腸で吸収しやすくしたり、毒素や老廃物を腸に運んで便中に排泄させたりする働きがあります。瘢痕組織によって胆管を通る胆汁の流れが遮断されると、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)を含めた脂肪が吸収されなくなります。さらに、体から排泄される毒素や老廃物の量も少なくなります。

正常であれば、胆汁の大部分(胆汁酸塩)は腸から血流に再吸収されて、肝臓に戻ります。胆汁酸塩は肝臓で抽出され、再利用されます。しかし、肝硬変になると、肝臓で胆汁酸塩が正常に抽出されません。その結果、肝臓で生産される胆汁の量が減少し、消化機能と毒素や老廃物を除去する機能が、さらに妨げられます。

瘢痕化が進行するとともに、肝臓は縮んで小さくなります。

知っていますか?

  • 肝硬変では、皮膚や眼が黄色くなり、指先が肥大することがあります。

原因

米国や他の先進国における肝硬変の最も一般的な原因は、以下のものです。

慢性的なアルコール乱用によって肝臓に損傷が起きる仕組みの1つが、脂肪の蓄積(脂肪肝 脂肪肝 脂肪肝は、肝細胞の内部に中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に蓄積した状態です。 脂肪肝の患者には、疲労や腹部の軽い不快感が生じることがありますが、それ以外の症状はみられません。 診断を確定するため、また損傷の原因と範囲を特定するために肝生検が必要になることがあります。 医師は、メタボリックシンドロームや過度の飲酒など、脂肪肝の原因をコントロールするか取り除くことに重点を置きます。... さらに読む )です。飲酒によらない脂肪肝(非アルコール性脂肪肝と呼ばれます)は、通常は過体重 肥満 肥満とは、体重が過剰な状態です。 複数の要因が組み合わさって肥満に影響を及ぼします。複数の要因が組み合わさった結果、体に必要な量よりも多くのカロリーを摂取することになります。 そうした要因には、運動不足、食事、遺伝子、生活習慣、民族的背景、社会経済的背景、ある種の化学物質への曝露、特定の病気、特定の薬の使用などがあります。... さらに読む 肥満 の人、糖尿病または前糖尿病 糖尿病 糖尿病は体が必要とするインスリンを十分に産生しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇き、減量しようとしていないのに体重が減少します。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む の人、コレステロール値が高い コレステロールと脂質の病気の概要 血液中にみられる重要な脂肪(脂質)には以下のものがあります。 コレステロール 中性脂肪(トリグリセリド) コレステロールは、細胞膜や脳と神経の細胞に必須の成分であるほか、脂肪と脂溶性ビタミンの吸収を助ける胆汁にも不可欠な物質です。体はコレステロールを使って、エストロゲン、テストステロン、コルチゾールなどの様々なホルモンやビタミンDをつくり... さらに読む 人で発生します。

線維化 肝臓の線維化 肝臓に異常に大量の瘢痕組織が形成されることを、線維化といいます。これは、肝臓が損傷した細胞を修復して新しい組織で置き換えようとする過程で生じます。 肝臓に損傷が起きる病態には多くのものがあります。 線維化自体は症状を引き起こしませんが、重度の瘢痕は肝硬変につながり、それが症状を引き起こす可能性があります。 医師は、血液検査と画像検査の結果に基づいて、線維化の診断と重症度の推定を行うことが多いものの、ときに肝生検が必要になることもあります... さらに読む を引き起こす病気、薬、毒素(表「肝臓の線維化を引き起こす主な病態と薬剤 肝臓の線維化を引き起こす主な病態と薬剤 肝臓に異常に大量の瘢痕組織が形成されることを、線維化といいます。これは、肝臓が損傷した細胞を修復して新しい組織で置き換えようとする過程で生じます。 肝臓に損傷が起きる病態には多くのものがあります。 線維化自体は症状を引き起こしませんが、重度の瘢痕は肝硬変につながり、それが症状を引き起こす可能性があります。 医師は、血液検査と画像検査の結果に基づいて、線維化の診断と重症度の推定を行うことが多いものの、ときに肝生検が必要になることもあります... さらに読む 」を参照)は、いずれも肝硬変を引き起こす可能性があります。具体的な原因の例としては、鉄過剰症(ヘモクロマトーシス ヘモクロマトーシス ヘモクロマトーシスは、鉄が過剰に吸収される遺伝性疾患で、体内に鉄が蓄積され、臓器に損傷を与えます。 (鉄過剰症の概要も参照のこと。) 米国には、100万人以上のヘモクロマトーシス患者がいます。男性の方が女性より多く罹患します。致死的となることもありますが、たいていは治療可能です。 鉄は摂取する食事から吸収されます。ほとんどの鉄は赤血球に収容されます。 この疾患では鉄が体のあらゆる場所に蓄積して損傷を与えます。 さらに読む )やアルファ1-アンチトリプシン欠乏症 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症は遺伝性の病気で、アルファ1-アンチトリプシンという酵素の欠乏または不足により、肺や肝臓が損傷を受けます。 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症は、遺伝子変異を受け継ぐことで発生します。 乳児では、黄疸や肝傷害がみられることがあります。 小児期に肝硬変が生じる可能性があります。 成人では、息切れ、喘鳴、せきを伴う肺気腫が多く、肝硬変がみられる場合もあります。 さらに読む アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 といった特定の遺伝性代謝疾患(代謝異常症)のほか、原発性胆汁性胆管炎(PBC)や原発性硬化性胆管炎(PSC) 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、瘢痕化や胆管の狭窄が進行します。最終的には影響を受けた胆管が完全に詰まります。肝硬変、肝不全、またときには胆管がんが発生します。 症状は徐々に現れ、疲労やかゆみの悪化がみられるほか、後に黄疸が生じます。 画像検査で診断を確定します。 治療では、症状の緩和に重点が置かれますが、肝移植によって余命を延長することも可能です。 (胆嚢と胆管の病気の概要も参照のこと。) さらに読む のように胆管に損傷が起きる病気などがあります。

アジアおよびアフリカの多くの地域では、肝硬変は多くの場合以下に起因します。

  • B型慢性肝炎

症状

肝硬変がある人の多くは、何年間も無症状のまま、元気そうにみえます。約3分の1の患者は無症状です。

その他の患者は、全身状態が優れなかったり、食欲不振だったり、体重が減ったりします。

多くの患者で食欲がなくなり、脂肪やビタミン類が吸収されにくくなるため、栄養失調と体重減少がみられます。患者には、皮膚の小血管からの出血によって引き起こされる小さな点状またはより大きな斑点状の赤紫色の発疹がみられることがあります。

長期間にわたり肝機能が障害されている場合、患者は体中にかゆみを覚え、小さくて黄色い脂肪のかたまりが皮膚やまぶたに沈着することがあります。

肝硬変の原因が慢性のアルコール乱用である場合、または患者に慢性の肝疾患がある場合は、以下のような症状がみられることもあります。

肝硬変の合併症

肝硬変が進行すると、さらに問題が生じます。

門脈圧亢進症

門脈圧亢進症 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症は、門脈(腸から肝臓に向かう太い静脈)とその分枝の血圧が異常に高くなる病気です。 欧米諸国で最も一般的な原因は、肝硬変(瘢痕化により肝臓の構造が歪み、機能が損なわれること)です。 門脈圧亢進症は、腹部の膨隆(腹水)、腹部の不快感、錯乱、消化管での出血につながります。 医師は、症状および身体診察の結果、ときには超音波検査、CT検査、MRI検査、または肝生検の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む (門脈の高血圧)は、最も重篤な合併症です。門脈につながっている静脈で血液の滞留が起こると、それらの静脈は拡張して蛇行するようになります(その状態を静脈瘤といいます)。静脈瘤は、食道の下端(食道静脈瘤— 門脈圧亢進症は、門脈(腸から肝臓に向かう太い静脈)とその分枝の血圧が異常に高くなる病気です。 欧米諸国で最も一般的な原因は、肝硬変(瘢痕化により肝臓の構造が歪み、機能が損なわれること)です。 門脈圧亢進症は、腹部の膨隆(腹水)、腹部の不快感、錯乱、消化管での出血につながります。 医師は、症状および身体診察の結果、ときには超音波検査、CT検査、MRI検査、または肝生検の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む )、胃(胃静脈瘤)、または直腸(直腸静脈瘤)に発生します。静脈瘤はもろく、容易に出血します。食道静脈瘤や胃静脈瘤から出血すると、ときに大量に吐血します( 消化管出血 消化管出血 口から肛門までの消化管のいずれの部分でも、出血が起こることがあります。出血は肉眼で容易に見える場合(顕性)もあれば、量が少なすぎて見えない場合(潜在性)もあります。潜在性の出血(潜血)は、特別な化学物質を用いた便サンプルの検査でのみ検出されます。 嘔吐物中に血液がみられる場合(吐血)があり、この場合上部消化管(通常は胃または小腸の最初の部... さらに読む 消化管出血 )。出血がゆっくりでも長時間続くと、貧血を起こすことがあります。出血が急速で重度であると、ショックや死に至ることがあります。

門脈肺高血圧症

腹水

脂肪およびビタミンの吸収不良

長期にわたる、脂肪(特に脂溶性ビタミン)の吸収不良は、いくつかの問題を引き起こします。ビタミンDが十分に吸収されないと、骨粗しょう症 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。 加齢、エストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。... さらに読む 骨粗しょう症 になる可能性があります。ビタミンK(血液凝固を助ける)が吸収されにくいと、出血しやすくなることがあります。

異常な出血

肝硬変では、血液凝固を妨げるその他の問題も発生します(血液の凝固障害 血液凝固障害の概要 異常な出血とは、あざや出血が起こりやすい状態を意味します(あざと出血および血栓についても参照)。異常な出血の原因には以下のものがあります。 血液凝固系の病気 血小板の病気 血管の病気 血液凝固障害は、血液の凝固を助け、出血を止めるために必要なタンパク質を十分に作ることができない場合に生じます。このようなタンパク質は凝固因子と呼ばれています... さらに読む が生じます。)。そういった問題の結果の1つに、出血しやすくなることが挙げられます。例えば、肝硬変では脾臓が腫大することがありますが、腫大した脾臓 脾腫(脾臓の腫大) 脾腫自体は病気ではありませんが、その原因になっている病気があります。脾腫を引き起こす可能性がある病気はたくさんあります。 感染症、貧血、がんといった多くの病気が脾腫を引き起こすことがあります。 通常、特有の症状がみられることはありませんが、左上の腹部や背中に膨満感や痛みが現れることがあります。 一般には、触診で脾腫を判定できますが、超音波検査などの画像検査を行って、脾臓の大きさを測定することもあります。... さらに読む は、血球と血小板を捕らえます。その結果、血液凝固を助ける働きのある血小板が血中では少なくなります。また、肝臓に損傷が起きると、血液凝固を促すタンパク(凝固因子)を作り出す能力が低下します。

しかし、肝臓で問題が起きた結果として、血液が凝固しやすくなる場合もあります。例えば、肝臓に損傷が起きると、過剰な血液凝固を抑制する物質を作り出す能力が低下します。そのため、血栓が血管内(脚の静脈など)で形成されやすくなり、それらが肺に到達して肺塞栓症 肺塞栓症 肺塞栓症は、血液のかたまり(血栓)や、まれに他の固形物が血液の流れに乗って肺の動脈(肺動脈)に運ばれ、そこをふさいでしまう(塞栓)病気です。 肺塞栓症は、一般に血栓によって発生しますが、別の物質が塞栓を形成して動脈をふさぐこともあります。 肺塞栓症の症状は様々ですが、一般に息切れなどがみられます。... さらに読む と呼ばれる病気が発生する可能性があります。

感染リスクの上昇

腫大した脾臓が白血球を取り込むため、白血球数が減ること(白血球減少症と呼ばれる病態)もあります。白血球数が少ないと、感染のリスクが高まります。

腎不全

肝不全 肝不全 肝不全は、肝機能が大幅に低下した状態です。 肝不全は、肝臓に損傷が起きる病気や物質により引き起こされます。 ほとんどの患者は黄疸(皮膚と眼が黄色くなる)になり、疲れて脱力を覚え、食欲を失います。 他の症状には、腹部への体液の貯留(腹水)や、皮下出血や出血が起きやすい傾向などがあります。 医師は通常、症状と身体診察、および血液検査の結果に基づいて、肝不全の診断を下すことができます。 さらに読む は最終的に腎不全 急性腎障害(AKI) 急性腎障害では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が急速に(数日から数週間のうちに)低下します。 その原因には、腎臓への血流が減少する状態、腎臓そのものが傷つく状態、腎臓からの尿の排出が妨げられる状態などが挙げられます。 症状としては、腫れ、吐き気、疲労、かゆみ、呼吸困難などのほか、急性腎障害を引き起こしている病気の症状もみられます。 重篤な合併症としては、心不全や高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が高くなること)などがあります... さらに読む につながり、肝腎症候群 肝肺症候群 肝肺症候群とは、肝疾患の患者において、肺の細い動脈が広がる(拡張する)ことで、血液中の酸素レベルが低下する症候群です。 肝肺症候群では以下の3つの異常がみられ、血液中の酸素レベルが低下します。 肺の微小な動脈や静脈に拡張がみられます。この拡張によって、肺内の血流量が増え、肺が血液の酸素化を十分に行える量を超えてしまいます。 肺内を血液がより速く流れるため、血液が十分に酸素を受け取るための時間が短くなります。... さらに読む と呼ばれる状態になる可能性があります。この症候群では、尿の生産量と排泄量が減少するため、血液中に有害物質が蓄積します。肝腎症候群の患者は、やがて呼吸困難に陥ります。この腎臓の異常は、透析 透析 透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。 透析が必要になる理由はいくつかありますが、最も多いのは、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全)です。腎臓の機能は急速に低下することもあれば(急性腎障害または急性腎不全と呼ばれます)、老廃物をろ過す... さらに読む 透析 が必要になるほど重症化する可能性があります。

脳機能の低下

肝臓がん

肝臓がん(肝細胞がん 肝細胞がん 肝細胞がんは、肝臓の細胞から発生するがんの一種であり、原発性の肝臓がんの中で最も多くみられるものです。 B型またはC型肝炎、脂肪性肝疾患、および過度の飲酒は、肝細胞がんの発生リスクを高め、特に肝硬変がある患者では著しくリスクを高めます。 腹痛や体重減少がみられるほか、右上腹部に大きなかたまりを触れることがあります。 医師は血液検査と画像検査の結果に基づいて診断を下します。 このがんは、早期に診断されない限り、通常は死に至ります。 さらに読む )を発症することもあり、特に肝硬変の原因がB型慢性肝炎 B型肝炎(慢性) B型慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、6カ月以上持続している肝臓の炎症です。 ほとんどのB型慢性肝炎患者では症状がありませんが、全身のだるさを感じ、疲れを覚え、食欲を失う場合もあります。 B型慢性肝炎があると肝臓がんのリスクが増大します。 血液検査の結果に基づいてB型肝炎の診断が下され、肝傷害の程度を確認するために通常は肝生検が行われます。 B型慢性肝炎の患者には必ずしも治療が必要なわけではありませんが、B型慢性肝炎によって肝傷害... さらに読む C型慢性肝炎 C型肝炎(慢性) C型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルスを原因とし、6カ月以上持続している肝臓の炎症です。 C型肝炎は、肝臓にひどい損傷を与えるまでは症状を引き起こさないことがよくあります。 C型慢性肝炎の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。 C型慢性肝炎によって肝硬変が生じた場合、6カ月毎に肝臓がんのスクリーニングを行います。 C型慢性肝炎の治療は抗ウイルス薬によって行います。 さらに読む 、慢性的なアルコール乱用、ヘモクロマトーシス ヘモクロマトーシス ヘモクロマトーシスは、鉄が過剰に吸収される遺伝性疾患で、体内に鉄が蓄積され、臓器に損傷を与えます。 (鉄過剰症の概要も参照のこと。) 米国には、100万人以上のヘモクロマトーシス患者がいます。男性の方が女性より多く罹患します。致死的となることもありますが、たいていは治療可能です。 鉄は摂取する食事から吸収されます。ほとんどの鉄は赤血球に収容されます。 この疾患では鉄が体のあらゆる場所に蓄積して損傷を与えます。 さらに読む アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症は遺伝性の病気で、アルファ1-アンチトリプシンという酵素の欠乏または不足により、肺や肝臓が損傷を受けます。 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症は、遺伝子変異を受け継ぐことで発生します。 乳児では、黄疸や肝傷害がみられることがあります。 小児期に肝硬変が生じる可能性があります。 成人では、息切れ、喘鳴、せきを伴う肺気腫が多く、肝硬変がみられる場合もあります。 さらに読む アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 、または糖原病 糖原病 糖原病は糖代謝異常症であり、グリコーゲンの代謝に関与する酵素が欠如しているために、しばしば成長障害、筋力低下、肝臓の腫れ、低血糖、錯乱などが起こる病気です。遺伝性疾患は、これらの病気を引き起こす欠陥のある遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 糖原病は、ブドウ糖をグリコーゲンに合成したり、グリコーゲンをブドウ糖に分解したりするのに必要な酵素がないために起こります。... さらに読む である場合はリスクが高くなります。

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診断

  • 血液検査(肝機能検査を含む)

  • ときに画像検査(超音波検査など)

  • ときに肝生検

肝硬変は通常、症状と身体診察の結果に加えて、慢性的なアルコール乱用といった肝硬変の危険因子の存在に基づいて強く疑われます。身体診察の際には、脾臓の腫大、腹部の膨隆(腹水 腹水 腹水とは、タンパクを含む体液が腹部に貯留したものです。 腹水がたまる病気は多くありますが、最も一般的な原因は、肝臓につながる静脈(門脈)の血圧が上昇すること(門脈圧亢進症)で、通常は肝硬変によって起こります。 大量の体液が貯留すると、腹部は非常に大きく膨らみ、ときに食欲不振や息切れ、不快感を生じることがあります。 原因を確定するには、腹水の分析が役立ちます。 通常は、低ナトリウム食と利尿薬によって、過剰な体液の排出を促します。 さらに読む が疑われます)、黄疸 成人の黄疸 黄疸では、皮膚や白眼が黄色くなります。黄疸は、血中にビリルビン(黄色の色素)が多すぎる場合に起こります。この病態を高ビリルビン血症と呼びます。 (肝疾患の概要と新生児黄疸も参照のこと。) 写真では、黄色に変色した眼と皮膚(黄疸)がみられます。 ビリルビンは、古くなった赤血球または損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに形成されます。ビリルビンは、血流によって肝臓に運ばれ、そ... さらに読む 成人の黄疸 、皮膚内での出血を示す発疹など、肝硬変に典型的な徴候がしばしば見つかります。その後は通常、同様の症状がみられる別の病気がないか調べるための検査を行います。

臨床検査

肝臓の画像検査

肝生検

モニタリング

肝硬変の診断が確定したら、6カ月毎に超音波検査を行って、肝臓がんが発生していないかを調べます。超音波検査でがんを示唆する異常が検出された場合は、造影剤(X線画像に写る物質)を注射してからMRI検査またはCT検査を行います。

肝硬変の診断が確定したら、上部消化管の内視鏡検査(観察用の柔軟な管状の機器を使用する検査)を行って、静脈瘤がないか確認します。この検査を2~3年毎に繰り返します。静脈瘤が検出されたら、検査の頻度を増やします。

肝臓の状態を評価する血液検査を定期的に行っていきます。

予後(経過の見通し)

肝硬変が元に戻ることはなく、通常は進行性ですが、どのくらい速く進行するかについては、多くの場合予測が困難です。肝硬変患者の予後は、原因、重症度、他の症状や病気の有無、治療の有効性によって変わります。

飲酒を完全にやめれば、肝臓のさらなる瘢痕化は防げますが、すでに生じた損傷は元に戻りません。たとえ少量でも飲酒を続けた場合は、肝硬変が進行し、重篤な合併症を引き起こします。

いったん大きな合併症(吐血、腹部への体液の貯留、脳機能の異常など)が起こると、予後は悪くなります。

治療

肝硬変に対する根治的な治療法はありません。肝臓の損傷は恒久的なもので、再び正常になることはありません。

治療には以下のものがあります。

  • アルコール乱用、薬の使用、毒素への曝露、ヘモクロマトーシス、慢性肝炎など、原因を是正または治療する

  • 合併症が起きた場合は、それを治療する

  • ときに肝移植

最善のアプローチは、原因を修正または治療することにより、初期段階で肝硬変を止めることです。原因の治療を行うと、通常、それ以上の損傷を防ぐことができ、ときには状態が改善することもあります。

原因に対する治療

肝臓に損傷が起きると薬を処理(代謝)できなくなる場合があるため、市販薬やハーブ製品、栄養補助食品なども含めて、使用している薬をすべて主治医に告げる必要があります。肝臓で代謝される薬の服用が必要なら、肝臓をさらに損傷しないよう、用量を通常よりも大幅に減らす必要があります。肝臓に損傷を与え肝硬変に寄与する薬を患者が服用している可能性もあります。そのような薬の使用は可能な限り中止し、必要に応じて別の薬に置き換えます。

合併症の治療

合併症に対する治療としては以下のものがあります。

  • 腹部への体液の貯留(肝硬変が進行している場合)に対して:過剰なナトリウムは体液の貯留を助長するため、食事での塩分摂取を制限します。薬を使用することで、尿の量を増やすことにより、過剰な体液の排出を促すことができます。

  • ビタミン欠乏症に対して:ビタミンを補充

  • 肝性脳症に対して:腸内(便に含まれる)の毒素を吸着して除去するための薬と、毒素を作り出している消化管内の細菌を減らすための抗菌薬

  • 消化管の静脈瘤からの出血に対して:肝臓の血管の血圧を下げるためにベータ遮断薬を服用し、出血している血管があればゴムバンドでしばる(内視鏡的結紮術)

バンドの取り付けは、口から内視鏡(観察用の管状の機器)を挿入して行います。ベータ遮断薬またはバンドによる結紮ができない、またはうまくいかない場合、医師は以下の処置を講じることがあります。

  • 内視鏡的シアノアクリレート注入:内視鏡を口から消化管に挿入します。内視鏡を介して、出血している静脈にシアノアクリレートを注入します。シアノアクリレートが血管を閉じ、出血が止まります。

  • バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術:局所麻酔薬を注射した後、太い静脈(通常は頸部または鼠径部の静脈)の上の皮膚を小さく切開します。続いて、先端にしぼんだバルーンの付いた柔軟性のある管(カテーテル)を静脈に挿入し、出血部位に到達させます。バルーンを膨らませて血流を遮断します。その後、瘢痕組織を形成させる物質を、静脈またはその近くに注入してその静脈を遮断し、出血を止めます。

  • 経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS):首の静脈にカテーテルを挿入し、X線画像を見ながらカテーテルを肝臓の静脈に通します。カテーテルを使用して、門脈(またはその分枝)を複数ある肝静脈(肝臓から体で最も太い静脈に向かう静脈)のいずれかに直接つなぐ流路(シャント)を作ります。したがって、本来なら肝臓に向かう血液のほとんどが別の経路を通って肝臓を迂回するようになります。肝静脈の血圧は門脈の血圧より低いため、この処置を行うことにより、門脈の血圧が下がります。門脈の圧が下がることにより、消化管の静脈からの出血や腹部への体液の貯留が減少します。

肝移植

条件を満たす患者には、肝移植 肝移植 肝移植は2番目に多い臓器移植です。肝臓が機能しなくなった人々に残された唯一の選択肢です。 完全な形の肝臓は死亡した人からしか提供を受けられませんが、肝臓の一部であれば生きているドナーでも提供できます。移植用の肝臓は摘出後、最長で18時間保存できます。 適合する肝臓を待つ間に死亡する患者も大勢いますが、実際に肝移植を受けた人(レシピエント)が生存している割合は以下の通りです。 移植後1年時点:86~90%... さらに読む が行われることもあります。移植が成功すれば、通常、移植した肝臓は正常に機能し、肝硬変や肝不全の症状は消滅するはずです。進行した肝硬変または肝臓がんの患者は、肝移植によって救命できることがあります。肝移植は一般に、患者が肝移植を受けない場合の死亡確率に基づいて実施されます。

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