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新生児痙攣

執筆者:

Margaret C. McBride

, MD, Northeast Ohio Medical University

医学的にレビューされた 2018年 2月
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新生児痙攣は,新生児の中枢神経系において異常な放電が生じる現象であり,通常は定型的な筋活動または自律性運動の変化として現れる。診断は脳波検査により確定され,原因を調べるための検査が適応となる。治療は原因に応じて異なる。

痙攣発作は正期産児の最大1.4%, 早産児 早産児 在胎37週未満で出生した児は早産児とみなされる。 未熟性は出生時点での 在胎期間により定義される。かつては,体重2.5kg未満の新生児であればいずれも未熟児と呼ばれていた。早産児は小さい傾向にあるが,多くの体重2.5kg未満の乳児は成熟している場合や 過期産児および過熟児である場合,および 在胎不当過小である場合もあるため,この体重に基づいた定義は不適切である;このような新生児は外観も異なれば,抱える問題も異なる。... さらに読む の20%で発生する。痙攣発作は新生児期の重篤な問題に関連している可能性があり,直ちに評価を行う必要がある。ほとんどの新生児痙攣は焦点性であるが,これはおそらく,髄鞘形成を欠くことと脳の樹状突起やシナプスの形成が不完全であることより,新生児では電気活動の汎化が阻害されるためと考えられる。

痙攣または脳症の他の症状(例,活動性低下,反応性の低下)の評価のために脳波検査を受ける新生児において,臨床的には無症状の発作が発見されることがある(脳波検査では20秒以上に及ぶてんかん様の律動的な電気活動がみられるが,臨床的に目に見える形での痙攣活動はみられない)。ときに,臨床的に無症状の電気活動が20分以上続くことがあり,その時点で,電気的てんかん重積状態と定義される。

病因

中枢神経系の異常放電は以下によって起こりうる:

  • 頭蓋内に生じる原発性の病態(例,髄膜炎,虚血性脳卒中,脳炎,頭蓋内出血,腫瘍,奇形)

  • 全身性の病態(例,低酸素虚血,低血糖,低カルシウム血症,低ナトリウム血症,その他の代謝異常)

通常,頭蓋内の異常により生じた痙攣発作を臨床的特徴(例,焦点性か全般性か)のみで全身性の問題による痙攣と鑑別することは不可能である。

低酸素虚血は,新生児痙攣の原因として最も頻度の高いものであり,分娩前,分娩中,または分娩後に起こりうる( Professional.see heading on page 周産期の呼吸器疾患の概要 周産期の呼吸器疾患の概要 出生の過程には広範な 生理的変化を伴うため( 新生児の肺機能も参照),ときに子宮内での生活中には問題とはならなかった状態が明らかになる場合がある。そのため,全ての出産に 新生児蘇生の技能を有する人物の立ち会いが必要である。 在胎期間と 成長パラメータは,新生児の病態のリスクを同定するのに役立つ。... さらに読む )。このような発作は重度で治療困難となりうるが,3~4日ほどで軽快する傾向にある。新生児の低酸素症を低体温療法(通常は全身の冷却)により治療すれば,痙攣発作の重症度は下がるが,復温中に再発する可能性がある。

虚血性脳卒中 虚血性脳卒中 虚血性脳卒中とは,局所的な脳虚血に起因して突然生じる神経脱落症状のうち,永続的な脳梗塞(例,MRIの拡散強調画像で陽性となるもの)を伴うものである。一般的な原因は(頻度の高い順に)太い動脈のアテローム血栓性閉塞;脳塞栓症(塞栓性脳梗塞);深部の細い脳動脈の非血栓性閉塞(ラクナ梗塞);および近位部の動脈狭窄に加えて動脈分水嶺領域の脳血流量を減少させる血圧低下を伴うもの(血行力学性の脳卒中)である。診断は臨床的に行うが,出血を除外して脳卒中... さらに読む 虚血性脳卒中 は, 赤血球増多 周産期の赤血球増多症および過粘稠度症候群 赤血球増多症とは赤血球量の異常な増加(新生児では静脈血ヘマトクリットが65%以上と定義される)であり,血管内の血液の泥化(sludging),およびときに血栓を伴う過粘稠につながることがある。新生児赤血球増多症の主な症候は非特異的であり,赤味がかった皮膚,哺乳困難,嗜眠,低血糖,高ビリルビン血症,チアノーゼ,呼吸窮迫,および痙攣などがある。診断は臨床的に,かつ動脈血または静脈血のヘマトクリット測定により行う。治療は部分交換輸血による。... さらに読む ,遺伝性疾患による血栓形成傾向,または重度低血圧がみられる新生児でより発生する可能性が高いが,危険因子がない新生児でも起こりうる。脳卒中は典型的には中大脳動脈領域で起こるが,低血圧と関連している場合は分水嶺領域で発生する。脳卒中から生じる痙攣は焦点性となる傾向があり,無呼吸を引き起こすことがある。

髄膜炎 新生児細菌性髄膜炎 新生児細菌性髄膜炎は,細菌の侵襲により髄膜に炎症を来す病態である。徴候は敗血症と同様で,中枢神経系の刺激(例,嗜眠,痙攣,嘔吐,易刺激性[特にparadoxical irritability],項部硬直,泉門膨隆)と脳神経の異常である。診断は腰椎穿刺による。治療は抗菌薬による。 ( 生後3カ月以上の乳児における細菌性髄膜炎, 新生児感染症の概要,および成人における Professional... さらに読む 敗血症 新生児敗血症 新生児敗血症は,新生児期に発生する侵襲性感染症であり,通常は細菌性である。徴候は非特異的なものが多数あり,具体的には自発運動の減少,哺乳力低下,無呼吸,徐脈,体温調節障害,呼吸窮迫,嘔吐,下痢,腹部膨隆,jitteriness,痙攣,黄疸などがある。診断は臨床所見と培養結果に基づいて行う。治療は,まずアンピシリンをゲンタマイシンまたはセフォタキシムと併用し,できるだけ速やかに起因菌に応じた薬剤に変更する。... さらに読む などの 新生児感染症 新生児感染症の概要 新生児感染症は以下の経路で発生する: 子宮内で経胎盤的または破水を介して 分娩時に産道内で(分娩時感染) 出生後に外部の感染源から(分娩後感染) 頻度の高い原因ウイルスとしては,単純ヘルペスウイルス,ヒト免疫不全ウイルス(HIV),CMV,B型肝炎ウイルスなどがある。HIVまたはB型肝炎ウイルスによる分娩時感染は,感染した産道の通過により... さらに読む から痙攣発作が惹起されることもあり,そのような場合は通常,その他の症候を伴う。新生児におけるそのような感染症の一般的な原因はB群レンサ球菌とグラム陰性細菌である。サイトメガロウイルス,単純ヘルペスウイルス,風疹ウイルス,梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum),Toxoplasma gondiiまたは ジカウイルス ジカウイルス(ZV)感染症 ジカウイルスは蚊を媒介とするフラビウイルス科のウイルスで,抗原的および構造的にデング熱,黄熱,ウエストナイル熱の原因ウイルスに似る。ジカウイルス感染症は一般的には無症状であるが,発熱,発疹,関節痛,または結膜炎を引き起こすこともある;妊娠中にジカウイルス感染症にかかると,胎児に小頭症(重篤な先天異常)や眼の異常が生じることがある。診断は,酵素結合免疫吸着測定法または逆転写PCRによる。治療は支持療法による。予防策としては,蚊の刺咬を避け... さらに読む による脳炎でも痙攣が発生することがある。

低血糖 新生児の低血糖 新生児における低血糖の定義は困難であるが,症状のある正期産児では一般に血清血糖値40mg/dL(2.2mmol/L)未満,生後24~48時間の無症状の正期産児では,45mg/dL(2.5mmol/L)未満,生後48時間以内の早期産児では30mg/dL(1.7mmol/L)未満とされる。危険因子として,未熟性,在胎不当過小児(SGA児),母体糖尿病,および周産期仮死などが挙げられる。最も頻度の高い原因は,グリコーゲン貯蔵の不足,授乳遅延と... さらに読む は, 糖尿病 妊娠中の糖尿病 妊娠は,既存の1型(インスリン依存性)および2型(インスリン非依存性) 糖尿病を増悪させるが,糖尿病網膜症,腎症,または神経障害を悪化させることはないようである( 1)。 妊娠糖尿病(妊娠中に始まる糖尿病[ 2])は,過体重,高インスリン血症,インスリン抵抗性の妊婦,またはやせ型,相対的にインスリンの不足している妊婦に発生しうる。妊娠糖尿病は全妊娠の少なくとも5%に起こるが,特定の集団(例,メキシコ系アメリカ人,アメリカンインディアン,... さらに読む 母体の新生児, 在胎不当過小児 在胎不当過小児(SGA児) 体重が在胎期間に対して10パーセンタイル未満の乳児は,在胎不当過小(small for gestational age)に分類される。合併症には,周産期仮死,胎便吸引,赤血球増多症,および低血糖がある。 在胎期間は,大まかには,最後の正常な月経がみられた日から分娩日までの週数として定義されている。より正確には,在胎期間は受胎日の14日前から分娩日までの期間を指す。在胎期間は実際の胎齢とは異なるが,産科医および新生児専門医が胎児の成熟を議... さらに読む (SGA児),低酸素虚血,またはその他のストレスを受けた新生児によくみられる。低血糖による痙攣発作は焦点性かつ変動性の傾向がある。遷延性または反復性の低血糖は,中枢神経系に永続的な影響を及ぼすことがある。

頭蓋内出血 頭蓋内出血 分娩時の力により,ときに新生児に身体的損傷が引き起こされる。難しい回転術, 吸引分娩, 中位鉗子分娩または高位鉗子分娩に代わり 帝王切開を用いることが増えているため,困難な分娩または外傷を引き起こしうる分娩に起因する新生児の損傷発生率は低下している。 新生児が 在胎期間に対して大きい場合( 母体糖尿病に関連する場合がある)や, 骨盤位や他の異常胎位である場合(特に初産婦において)などに,外傷のリスクが上昇する。... さらに読む  頭蓋内出血 くも膜下出血 くも膜下出血 分娩時の力により,ときに新生児に身体的損傷が引き起こされる。難しい回転術, 吸引分娩, 中位鉗子分娩または高位鉗子分娩に代わり 帝王切開を用いることが増えているため,困難な分娩または外傷を引き起こしうる分娩に起因する新生児の損傷発生率は低下している。 新生児が 在胎期間に対して大きい場合( 母体糖尿病に関連する場合がある)や, 骨盤位や他の異常胎位である場合(特に初産婦において)などに,外傷のリスクが上昇する。... さらに読む くも膜下出血 ,脳内出血, 脳室内出血 脳室内出血および/または脳実質内出血 分娩時の力により,ときに新生児に身体的損傷が引き起こされる。難しい回転術, 吸引分娩, 中位鉗子分娩または高位鉗子分娩に代わり 帝王切開を用いることが増えているため,困難な分娩または外傷を引き起こしうる分娩に起因する新生児の損傷発生率は低下している。 新生児が 在胎期間に対して大きい場合( 母体糖尿病に関連する場合がある)や, 骨盤位や他の異常胎位である場合(特に初産婦において)などに,外傷のリスクが上昇する。... さらに読む 脳室内出血および/または脳実質内出血 など)が痙攣発作を惹起することもある。脳室内出血は, 早産児 早産児 在胎37週未満で出生した児は早産児とみなされる。 未熟性は出生時点での 在胎期間により定義される。かつては,体重2.5kg未満の新生児であればいずれも未熟児と呼ばれていた。早産児は小さい傾向にあるが,多くの体重2.5kg未満の乳児は成熟している場合や 過期産児および過熟児である場合,および 在胎不当過小である場合もあるため,この体重に基づいた定義は不適切である;このような新生児は外観も異なれば,抱える問題も異なる。... さらに読む により多く起こるが,胚芽層(脳室に隣接する領域で,そこから発達の過程でニューロンや神経膠細胞が発生する)での出血に端を発する。

高ナトリウム血症 新生児の高ナトリウム血症 高ナトリウム血症は血清ナトリウム濃度が150mEq/L(150mmol/L)以上の状態であり,通常は脱水による。徴候として嗜眠と痙攣が挙げられる。治療は,食塩水静注による慎重な水分補給である。 ( 成人の高ナトリウム血症については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。) 高ナトリウム血症は以下の場合に発生する: ナトリウムより水分が多く喪失した場合(hypernatremic... さらに読む または 低ナトリウム血症 新生児の低ナトリウム血症 低ナトリウム血症は,血清ナトリウム濃度が135mEq/L(135mmol/L)未満の状態である。有意な低ナトリウム血症は痙攣発作または昏睡を引き起こすことがある。治療は,生理食塩水静注による慎重なナトリウム補充である;まれに,特に痙攣が起こっている場合は3%食塩水が必要である。 ( 成人の低ナトリウム血症については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。) 新生児における低ナトリウム血症の最も頻度の高い原因は,嘔吐,下痢,またはその両... さらに読む が痙攣発作の原因となることもある。高ナトリウム血症は,経口または経静脈的な塩化ナトリウムの偶発的な過剰摂取により起こりうる。低ナトリウム血症は,希釈(あまりに多量の水が経口または経静脈的に投与された場合)または便中もしくは尿中へのナトリウム喪失によって起こりうる。

低マグネシウム血症は痙攣発作のまれな原因の1つであるが,血清マグネシウム値が1.4mEq/L(0.7mmol/L)を下回ると発作が発生するようになる。低マグネシウム血症は,しばしば低カルシウム血症とともに発生するため,低カルシウム血症の新生児において十分なカルシウム投与後も痙攣発作が続く場合は,これを考慮すべきである。

先天性代謝異常症 遺伝性代謝疾患に関する序論 遺伝性代謝疾患(先天性代謝異常症とも呼ばれる)の大半は,酵素をコードする遺伝子の突然変異によって引き起こされ,酵素の欠損または活性低下により,基質もしくはその代謝物の蓄積または酵素産物の欠乏を来す。何百もの疾患が存在し,遺伝性代謝疾患の大半は個別に見ると極めてまれであるが,全体で見るとまれではない。... さらに読む (例, アミノ酸尿症,有機酸尿症 アミノ酸・有機酸代謝異常症の概要 尿細管におけるアミノ酸輸送の異常としては シスチン尿症および ハートナップ病があり,これらについては別の箇所で考察している。アミノ酸・有機酸代謝異常症としては以下のものがある: 分枝鎖アミノ酸の代謝異常症 メチオニン代謝異常症 フェニルケトン尿症 チロシン代謝異常症 さらに読む )も新生児痙攣の原因となりうる。まれに, ピリドキシン欠乏症または依存症 ビタミンB6欠乏症および依存症 ビタミンB6はほとんどの食物に含まれているため,食事による欠乏症はまれである。二次性欠乏症が,様々な病態に起因して生じることがある。症状としては,末梢神経障害,ペラグラ様症候群,貧血,痙攣発作などがあり,痙攣発作(特に乳児の場合)は抗てんかん薬で治療しても消失しないことがある。代謝障害(依存症)はまれである;代謝障害により痙攣発作,知的障害,貧血など様々な症状が起こる。診断は通常,臨床的に行う;ビタミンB6の状態を容易に評価する臨床検査... さらに読む が痙攣発作の原因となることがあり,その場合は容易に治療できる。

新生児痙攣は家族性のことがあり,遺伝学的原因を有するものもある。良性家族性新生児痙攣は,カリウムチャネルに異常が生じる常染色体優性遺伝のイオンチャネル病である。早期乳児てんかん性脳症(大田原症候群)は,様々な突然変異と関連が報告されているまれな疾患である。

症状と徴候

新生児痙攣は通常は焦点性であり,咀嚼運動または自転車こぎ様運動として現れることがあるため,正常な新生児の活動との鑑別が困難なことがある。一般的な臨床像は,四肢の移動性の間代性痙攣,交代性半側痙攣,原始的な皮質下発作(呼吸停止,咀嚼運動,眼球の持続性偏位または眼振様運動,および突発的な筋緊張の変化を引き起こす)などである。全般性強直間代発作はまれである。

しばしば低酸素虚血(周産期仮死や脳卒中など)の発生後または中枢神経系感染症の患児において臨床的に無症状の電気的発作活動が出現し,特に抗てんかん薬の初回投与後によくみられるが,これは治療により電気的発作活動よりも臨床症状の方が停止する可能性が高いためである。

診断

  • 脳波検査

  • 臨床検査(例,血清血糖値,電解質,髄液検査,尿培養と血液培養)

  • 通常は頭部画像検査

評価はまず詳細な家族歴聴取と身体診察から開始する。

Jitteriness(四肢において拮抗筋同士が収縮と弛緩を交互に繰り返す)を真の痙攣発作と鑑別する必要がある。通常,jitterinessは刺激に伴って発生し,四肢を抑えることで停止できるのに対し,痙攣発作は自発的に起こり,四肢を抑えても運動が感じられる。

脳波検査

脳波検査(覚醒中および睡眠時)が不可欠であり,新生児が痙攣発作を起こしているかの判断が困難な場合は特に重要となる。脳波検査は治療に対する反応のモニタリングにも役立つ。

脳波検査は動的および静的睡眠の両方の時間帯で測定すべきであり,したがって2時間以上の記録が必要となることがある。睡眠段階での想定内の変動を伴う正常な脳波は良好な予後の徴候であり,重度の異常(例,抑制された電位または群発抑圧交代[burst suppression])が広範にみられる脳波は予後不良を示す。

ベッドサイドでのビデオ脳波検査による24時間以上のモニタリングにより,無症候性の発作を電気信号として同定できることがあり,中枢神経系の傷害が起きてから数日間は特にその可能性が高くなる。

臨床検査

治療可能な基礎疾患を検索するための臨床検査を直ちに行うべきであり,具体的な検査としては,パルスオキシメトリー,血清血糖値とナトリウム,カリウム,塩素,重炭酸,カルシウム,マグネシウムの血清中濃度の測定,腰椎穿刺による髄液検査(細胞数と分画,糖,タンパク質)および髄液培養などがある。尿および血液培養を行う。

臨床的な状況によっては,その他の代謝検査(例,動脈血pH,血液ガス,血清ビリルビン,尿中アミノ酸または有機酸)や乱用がよくみられる薬物(胎盤または母乳を介して新生児に移行するもの)に関する検査も必要となる。

画像検査

原因(例,血糖や電解質の異常)が直ちに判明しない限り,典型的には画像検査を行う。MRIが望ましいが,容易に行えない場合もあり,そのような状況では頭部CTを施行する。

放射線検査室に移動できない重症の乳児には,ベッドサイドで頭部超音波検査を行うことが可能であり,その場合,脳室内出血は検出できるが,くも膜下出血は検出できない。乳児の状態が安定している場合,MRIまたはCTを行う。

頭部CTでは頭蓋内出血と一部の脳奇形を発見できる。MRIでは,奇形をより明確に描出でき,虚血組織を発症後数時間以内に検出できる。

磁気共鳴スペクトロスコピーは,虚血性損傷の範囲を明らかにしたり,基礎にある代謝性疾患に関連する特定の神経伝達物質の蓄積を同定したりするのに役立つ可能性がある。

予後

予後は病因に依存する:

  • 低酸素虚血により痙攣発作を起こした新生児の約50%は正常に発達する。

  • くも膜下出血,低カルシウム血症,または低ナトリウム血症により痙攣発作を起こした新生児の大半は良好に経過する。

  • 重度の脳室内出血を起こした患児では,合併症の発生率が高くなる。

  • 特発性または奇形を原因とする痙攣発作の場合は,初発時期が早いことが神経発達面の予後不良と関連する。

遷延するまたは頻回の新生児痙攣が,基礎疾患によるものを越える脳損傷を引き起こす可能性が疑われているが,証明はされていない。遷延する発作過程で神経細胞の発火が長引くことによる代謝ストレスによって,さらなる脳損傷が発生するという懸念が存在する。低酸素虚血,脳卒中,感染などの脳への急性損傷が原因である場合は,一連の発作が連続して発生することがあるが,そのような発作は典型的には3~4日後には軽快する;脳に損傷が発生した場合は,数カ月から数年後に再発することがある。その他の病態により生じる痙攣発作は,新生児期にはより遷延しやすい。

治療

  • 原因の治療

  • 抗てんかん薬

新生児痙攣の治療では,第一に基礎疾患に,第二に発作に焦点を合わせる。

原因の治療

血清血糖値が低い場合は,10%ブドウ糖液2mL/kgを静注し,血清血糖値をモニタリングする;必要に応じて点滴を追加するが,高血糖を避けるため慎重に行う。

低カルシウム血症には,10%グルコン酸カルシウム1mL/kg(カルシウムとして9mg/kg)を静脈内投与し,低カルシウム血症による痙攣が遷延する場合は,この投与を繰り返してもよい。グルコン酸カルシウムは0.5mL/分(50mg/分)以上の速度で投与してはならない;投与中は継続的な心拍モニタリングが必要である。皮膚の壊死につながる可能性があるため,血管外漏出は回避する必要がある。

低マグネシウム血症には,50%硫酸マグネシウム溶液0.2mL/kg(100mg/kg)を筋注で投与する。

細菌感染症は抗菌薬で治療する。

ヘルペス脳炎はアシクロビルで治療する。

抗てんかん薬

低血糖,低カルシウム血症,低マグネシウム血症,低ナトリウム血症,高ナトリウム血症などの回復可能な病態を是正しても速やかに発作が治まらない場合は,抗てんかん薬を使用する。

フェノバルビタールは依然として最も頻用されている薬剤であり,負荷量として15~20mg/kgを静脈内投与する。発作が続く場合は,停止するか合計投与量が40mg/kgになるまで,15~30分毎に5~10mg/kgを静脈内投与してもよい。それでも発作が続く場合は,維持療法として,約24時間後に1.5~2mg/kg,12時間毎で開始し,臨床的反応,脳波上の反応,または血清中薬物濃度に基づいて2.5mg/kg,12時間毎まで増量してもよい。フェノバルビタールは,特に発作が頻回に起きているか長引く場合,静脈内投与を継続する。乳児の状態が安定している場合は,フェノバルビタール3~4mg/kg,1日1回の経口投与としてもよい。フェノバルビタールの血清中濃度の治療域は20~40μg/mL(85~170μmol/L)であるが,ときに,それ以上の濃度が少なくとも一時的に必要となる。

レベチラセタムは,フェノバルビタールと比べて鎮静作用が弱いことから,新生児痙攣の治療に用いられている。負荷量として20~50mg/kgを2~5mg/kg/分で静脈内投与し,その後は10~25mg/kg,静注,12時間毎で投与を継続しうる。新生児での治療濃度は十分に確立されていない。

ホスフェニトインは,フェノバルビタールおよびレベチラセタムを使用しても発作が持続する場合に使用することができる。負荷量は20mg PE(フェニトイン当量)/kg,静注とする。低血圧や不整脈を回避するため30分かけて投与する。その後,維持量として2~3mg PE/kgを12時間毎に投与することがあり,臨床反応または血清中濃度に基づいて用量を調節する。新生児におけるフェニトインの血清中濃度の治療域は8~15μg/mL(32~60μmol/L)である。

遷延する痙攣または治療抵抗性の痙攣には,ロラゼパムを0.1mg/kg,静注で開始し,5~10分間隔で8時間に最大3回まで繰り返し投与することができる。

抗てんかん薬を静脈内投与した新生児には綿密な経過観察を行う;高用量での投与や複数薬剤の併用(特にロラゼパムとフェノバルビタールの併用)は,呼吸抑制につながる可能性がある。

いずれの抗てんかん薬についても適切な治療期間は不明であるが,発作がコントロールされた場合は,新生児室からの退室前に抗てんかん薬を中止してもよい。

要点

  • 新生児痙攣は通常,全身性または中枢神経系の事象(例,低酸素/虚血,脳卒中,出血,感染症,代謝性疾患,脳の構造的異常)に対する反応として発生する。

  • 新生児痙攣は通常は焦点性で,認識が難しいことがある;よくみられる臨床像としては,四肢の移動性の間代性痙攣,咀嚼運動,眼球の持続性偏位または眼振運動,突発的な筋緊張の変化などがある。

  • 診断には脳波検査が必須であるほか,原因同定のために臨床検査と通常は神経画像検査を行う。

  • 治療は原因に対して行う。

  • 原因を是正しても発作が停止しない場合は,フェノバルビタールまたはレベチラセタムを投与する;遷延性の発作にはホスフェニトインおよびロラゼパムを追加してもよい。

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