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新生児の蘇生

執筆者:

Eric Gibson

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University;


Ursula Nawab

, MD, Children’s Hospital of Philadelphia

最終査読/改訂年月 2015年 1月
本ページのリソース

新生児の約10%は,分娩時に何らかの呼吸補助を必要とする。新生児の1%未満が,より包括的な蘇生を必要とする。原因は数多くあるが( 新生児において蘇生が必要となりうる問題),そのほとんどに仮死または呼吸抑制が関与している。出生体重が1500g未満である場合,その頻度は有意に増加する。

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新生児において蘇生が必要となりうる問題

問題

考えられる原因

呼吸不全

分娩前の機序

糖尿病

子宮内胎児発育不全

母体の妊娠中毒症

腎血管性高血圧

分娩時仮死

臍帯圧迫

臍帯脱出

胎児失血

母体の低血圧

前置胎盤

常位胎盤早期剥離

子宮硬直

中枢神経系の抑制

脳幹の先天異常

脳内出血

脊髄損傷

薬物

鎮痛薬または睡眠薬

麻酔薬

マグネシウム

オピオイド,母親の薬物乱用

肺拡張不全

気道閉塞

血液

胎便

粘液

未熟性(呼吸窮迫症候群)

気道関連の奇形

無形成

横隔膜ヘルニア

低形成

狭窄または閉鎖

評価

アプガースコアは,新生児の状態および蘇生の必要性を評価するため出生時に使用されるもので,最初は,長期の神経学的予後の決定が意図されたものではなかった。アプガースコアでは,新生児の健康状態に関する5つの測定項目(皮膚色[Appearance],心拍数[Pulse],刺激に対する反応[Grimace],筋緊張[Activity],呼吸[Respiration]─ アプガースコア)それぞれに0から2までの点数が割り当てられる。スコアは,生理的成熟度,周産期の母体に対する治療,胎児の心肺および神経学的状態に依存する。5分時のスコアが7~10点であれば正常,4~6点であれば中間,0~3点であれば低値とされる。アプガースコアの低値は,それだけで周産期仮死の診断に結びつくものではないが,長期的な神経機能障害のリスクとの関連がみられる。アプガースコア低値の持続(5分時0~3点)は新生児死亡率の上昇と関連性がある。

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アプガースコア

スコア*

診断基準

覚え方

0

1

2

皮膚色

Appearance

全身が青色,蒼白

体幹は淡紅色,四肢のみ青色

全身が淡紅色

心拍数

Pulse

なし

< 100/分

> 100/分

鼻腔カテーテル/触覚刺激に対する反射反応

Grimace

なし

顔をしかめる

くしゃみ,咳

筋緊張

Activity

だらりとしている

四肢をわずかに屈曲させる

活発

呼吸

Respiration

なし

不規則,緩徐

良好,啼泣

*5分時の合計スコアが7~10であれば正常,4~6であれば中間,0~3であれば低値とされる。

仮死の最初の徴候はチアノーゼであり,これに呼吸,筋緊張,反射反応,および心拍数の低下が続く。効果的な蘇生によってまず心拍数が上昇し,次に反射反応,皮膚色,呼吸,および筋緊張が改善する。分娩時胎児ジストレスの所見,アプガースコア0~3点が5分を超えて持続;臍動脈血pH < 7;ならびに筋緊張低下,昏睡,痙攣,および多臓器不全を含む新生児の持続的な神経症候群が,低酸素性虚血性脳症の臨床像である。低酸素後脳症の重症度および予後は,Sarnat分類( 低酸素後脳症の臨床病期診断)に脳波検査,神経放射線画像検査および聴性脳幹反応ならびに聴性皮質反応を併用することによって評価できる。

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低酸素後脳症の臨床病期診断

因子

Stage I(軽症)

Stage II(中等症)

Stage III(重症)

持続時間

< 24時間

2~14日

数時間から数週間

意識レベル

不穏および易刺激性

嗜眠

深い昏迷または昏睡

筋緊張

正常

筋緊張低下または四肢近位部の脱力

弛緩

腱反射

亢進

亢進

減弱または消失

ミオクローヌス

あり

あり

なし

複合反射

吸啜

活発

消失

Moro反射

顕著

不完全

消失

把握反射

正常から顕著

顕著

消失

眼球頭(人形の目現象)

正常

過剰反応

減弱または消失

自律神経機能

瞳孔

散瞳

縮瞳

変動または固定

呼吸

規則的

呼吸数および深さは様々,周期的

不規則な無呼吸

心拍数

正常または頻脈

安静時は低い,120/分未満

徐脈

痙攣

なし

よくみられる(70%)

まれ

脳波

正常

低振幅,周期性または発作性,てんかん様活動

周期性または平坦

死亡リスク

< 1%

5%

> 60%

重度障害のリスク

< 1%

20%

> 70%

Adapted from Sarnat HB, Sarnat MS: Neonatal encephalopathy following fetal distress. Archives of Neurology 33:696–705, 1975.

蘇生術

全ての新生児に対する最初の処置として,保温,乾燥,および呼吸刺激(例,足底を軽く叩く,背中をこする)が挙げられる。自発呼吸に対し明らかな閉塞がある場合は,吸引用バルブシリンジまたは吸引カテーテルを用いて気道を確保する。胎便による羊水混濁を認める場合でも,明らかな閉塞のない乳児での吸引は有益であると証明されていない(そのような乳児では以前は吸引が推奨されていた)。深部の吸引が必要な場合,適切なサイズのカテーテルを使用し,吸引圧を100mmHg(136cmH2O)に制限しなければならない。適切な呼吸および心拍数が出現しない新生児には,陽圧換気(PPV),酸素療法,およびこれよりも頻度は低いが胸骨圧迫が必要になることがある。

児の体を速やかに乾かし,分娩室内の予熱済みオーバーヘッドウォーマーの下に仰臥位にする。頸部は気道を確保するため中間位(においをかぐ姿勢)に保つ。

自発呼吸がない,あえぎ呼吸がみられる,または心拍数が100/分未満の場合,マスクまたはときにラリンジアルマスクエアウェイまたは気管内チューブを用いたPPVによる呼吸補助を行う。腹部陥凹(scaphoid)の乳児は先天性横隔膜ヘルニアの場合があり,その場合マスクを用いた換気は危険となりうるため注意を要する;そのような乳児に換気補助が必要な場合は,気管挿管を行うべきである。パルスオキシメーターを用いて(動脈管前の酸素飽和度を測定するため典型的には右手または右手首に装着),酸素飽和度をモニタリングする。蘇生は室内気または酸素と空気の混合気で開始し,目標範囲内の酸素飽和度となるよう調整すべきであるが,目標範囲は生後10分間で増大する( 新生児の酸素飽和度の目標値)。吸気圧および呼気終末圧をモニタリングし,100/分以上の心拍数を維持するために必要な最低値に保つべきである。極めて未熟および/または超低出生体重児では,肺が陽圧換気により損傷しやすいため,圧を低値に保つことが特に重要である。

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新生児の酸素飽和度の目標値

出生後時間

動脈管前* SpO2

1分

60~65%

2分

65~70%

3分

70~75%

4分

75~80%

5分

80~85%

≥ 10分

85~95%

*右上肢は動脈管分岐前の血液が流れている。

SpO2 = O2 飽和度。

窮迫状態にある児の徐脈(心拍数60未満)は心停止が迫っている徴候である;新生児は低酸素血症を伴う徐脈を発現する傾向がある。徐脈が90秒以上持続する場合,回復するまでO2濃度を100%に上昇させる。30秒間十分な換気を行っても心拍数が60未満の場合,圧迫・換気比3:1にて胸骨圧迫を開始する( 新生児蘇生のアルゴリズム)。気管挿管などの高度な蘇生術のほか,器具のサイズ,薬剤および投与量の選択,ならびにCPRのパラメータについては,本マニュアルの別の箇所( 乳児および小児における心肺蘇生(CPR))で考察されている。

新生児蘇生のアルゴリズム

*PPV:室内気で蘇生を開始する。SpO2目標値に達しない場合,吸入酸素濃度を漸増する。低酸素濃度による90秒間の蘇生後も心拍数が60/分未満の場合,心拍数が正常に回復するまで酸素濃度を100%に上昇させる。

SpO2モニタリング目標。

3:1の圧迫・換気比(1分間に圧迫90回と呼吸30回)圧迫と換気は同時ではなく連続的に行う。つまり,120回/分の速度で3回圧迫後,0.5秒の換気を1回行う。

HR = 心拍数;PPV = 陽圧換気;SpO2 = 酸素飽和度。

Adapted from Perlman JM, Wyllie J, Kattwinkel J, et al: American Heart Association guidelines for cardiopulmonary resuscitation and emergency cardiovascular care science, part 15: neonatal resuscitation. Circulation122(supplement 2):S516–38, 2010.

新生児蘇生のアルゴリズム
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