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前置胎盤

執筆者:

Antonette T. Dulay

, MD, Main Line Health System

最終査読/改訂年月 2014年 1月
本ページのリソース

前置胎盤とは,内子宮口またはその付近を覆って胎盤が付着している状態である。典型的には妊娠20週以降に痛みを伴わない鮮紅色の性器出血が起こる。診断は経腟または腹部超音波検査によって行う。治療としては,妊娠36週以前は少量の性器出血には床上安静とし,胎児の肺成熟が確認されれば36週で帝王切開とする。出血が重度であったり再発性,または胎児の状態がnonreassuringである場合は,通常帝王切開による早急な分娩の適応となる。

前置胎盤は,全(内子宮口を完全に覆う),部分(内子宮口を部分的に覆う),あるいは辺縁(内子宮口の縁の部分)の場合や,または胎盤が低置(内子宮口から2cm以内だが達していない)の場合がある。前置胎盤の発生頻度は,分娩200例当たり1例である。前置胎盤が妊娠初期に生じたとしても,子宮が大きくなるにつれ,通常は妊娠28週までに解消する。

危険因子

危険因子としては以下のものがある:

  • 多産

  • 帝王切開の既往

  • 正常な着床を妨げる 子宮の異常(例,筋腫,子宮内膜掻破の既往)

  • 喫煙

  • 多胎妊娠

  • 母体の高齢

合併症

前置胎盤または低置胎盤の患者では,リスクに胎位異常,早期前期破水,胎児発育不全,前置血管,および臍帯卵膜付着(臍帯の胎盤側の端が卵膜のみに覆われた分岐した臍帯血管から成る)などがある。帝王切開の既往がある妊婦では,前置胎盤は癒着胎盤( 癒着胎盤)のリスクを上昇させる;リスクは既往帝王切開の回数が増えるにつれ著明に増加する(1回の帝王切開での約10%から4回を超える場合は60%超)。

症状と徴候

症状は通常,妊娠後期に始まる。その場合には,突然,無痛の性器出血が始まることが多い;血液は鮮紅色で,大量出血となりうるため,ときに出血性ショックを招く。一部の患者では,子宮収縮が出血に伴う。

診断

  • 経腟超音波検査

前置胎盤は20週以降に性器出血を認める全ての妊婦で考慮される。前置胎盤がある場合,指による内診によって出血が増加し,ときに突然の大量出血を引き起こす;したがって,性器出血が妊娠20週以降に生じた場合,超音波検査によって前置胎盤の可能性をまず除外しない限り,内診は禁忌である。

前置胎盤では,常位胎盤早期剥離に比べて多量で痛みを伴わない鮮紅色の出血が起こる可能性が高くなるが,臨床的な鑑別はいまだ不可能である。したがってこれらを鑑別するために超音波検査が頻繁に必要となる。経腟超音波検査は,前置胎盤の正確で安全な診断法である。

パール&ピットフォール

  • 20週以降に性器出血が起こる場合は指による内診を行う前に超音波検査で前置胎盤を除外する。

前置胎盤が疑われる症状のある全ての女性では,胎児心拍数モニタリングが適応となる。症例が緊急である場合(直ちに分娩が必要)を除いて,胎児の肺成熟を評価するために36週で羊水を検査し,この時期での分娩が安全かどうか確認する。

治療

  • 36週以前の初めての出血エピソードに対しては,入院および床上安静

  • 母体または胎児が不安定または胎児の肺が成熟している場合は分娩

36週以前の初めての性器出血(警告出血)に対しては,管理は入院,安静,性交の回避からなり,性交はそれ自体が子宮収縮を惹起したり,直接的な外傷によって出血を引き起こしたりすることがある。(安静時は腹腔内圧を長時間上昇させるあらゆる活動を控えさせる―例,女性は1日の大半を横になって過ごすべきである。)出血が止まれば,歩行および通常は退院が許可される。

一部の専門家は,人工早産が必要となる可能性があり,妊娠期間が34週未満の場合には,胎児の肺成熟を促進するためにコルチコステロイドの投与を勧めている。典型的に,2回目の出血エピソードに対しては,患者は再入院とし,分娩まで観察目的で入院する。

分娩は以下のいずれかの場合に適応となる:

  • 多量またはコントロール不能の出血

  • 胎児心拍数モニタリングの結果がnonreassuring

  • 母体の血行動態不安定

  • 胎児の肺が成熟(通常36週)

分娩はほぼ常に帝王切開で行われるが,低置胎盤の妊婦では,児頭が効果的に胎盤を圧迫してすでに陣痛が進行している場合,または妊娠23週未満で急速な分娩が予想される場合に,経腟分娩が可能なことがある。

出血性ショックの治療を行う( ショック : 出血性ショック)。母体がRh陰性血液を有する場合には,予防的Rh0(D)免疫グロブリンを投与すべきである( 胎児赤芽球症 : 予防)。

要点

  • 前置胎盤では,常位胎盤早期剥離と比べて多量で痛みを伴わない鮮紅色の出血が起こる可能性が高くなるが,臨床的な鑑別はいまだ不可能である。

  • 胎児心拍数のモニタリング(胎児ジストレスを検出するため)および羊水の検査により(胎児の肺成熟を評価するため),分娩がどの程度緊急に必要か判断する。

  • 大部分の36週以前の初めての出血エピソードに対しては,入院,安静,および性交の回避が勧められる。

  • 分娩が約34週前に必要となる可能性がある場合には,胎児の肺成熟を促進するためにコルチコステロイドを考慮する。

  • 出血が重度,母体または胎児が不安定,または胎児の肺成熟が確認された場合は分娩の適応となる。

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