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性感染症の概要

執筆者:

Sheldon R. Morris

, MD, MPH, University of California San Diego

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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性感染症(sexually transmitted diseas:STD)(sexually transmitted infection[STI]と呼ばれることもある)は,いくつかの微生物によって引き起こされ,それぞれの病原体は大きさ,生活環,引き起こす症状,治療法に対する感受性が大きく異なる。

細菌性のSTDとしては以下のものがある:

ウイルス性のSTDとしては以下のものがある:

性感染する寄生虫感染症としては以下のものがある:

その他に通常はSTDとみなされない多数の感染症も性行為により伝播する可能性があり,その例としては,サルモネラ症,細菌性赤痢,カンピロバクター症,アメーバ症,ジアルジア症,肝炎(A型,B型,およびC型),サイトメガロウイルス感染症などがある。

性行為には性器,口腔,および直腸の皮膚や粘膜の濃厚な接触が関わるため,多数の微生物がヒトからヒトへ効率よく伝播される。一部のSTDは,炎症(例,淋菌またはクラミジア感染症)または潰瘍(例,単純ヘルペス,梅毒,軟性下疳)を引き起こし,その結果,他の感染症(例,HIV)にかかりやすくなる。

診断および治療法の進歩により,多くの種類のSTD患者から速やかに感染能力をなくすことができるにもかかわらず,世界のほとんどの地域でSTDの有病率は依然として高い。米国では,毎年2000万件のSTDが新規発生していると推定される;そのうち約半数は15~24歳の人にみられる(Reported STDs in the United States: 2014 National Data for Chlamydia, Gonorrhea, and Syphilisも参照のこと)。

STDのコントロールを妨げる因子としては以下のものがある:

  • 複数のパートナーとの無防備な性行為

  • 医師および患者のいずれにおいても,性的問題に関して話をするのが困難であること

  • 既存の診断検査および治療を行い,新しい検査法や治療法を開発するための財源の不足

  • 両方のパートナーが同時に治療されない場合の再感染の生じやすさ

  • 不完全な治療(薬剤耐性菌の出現につながりうる)

  • 国際旅行(世界規模でのSTDの急速な伝播を促進する)

症状と徴候

症状と徴候は感染症により様々である。多くのSTD は性器病変を引き起こす( 性感染症でよくみられる性器病変の鑑別)。

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性感染症でよくみられる性器病変の鑑別

所見

その他の特徴

原因*

孤発性の無痛性潰瘍

硬結,圧痛はないかあっても軽度

比較的圧痛を伴わないリンパ節腫脹

梅毒性下疳

発赤部に集簇する有痛性の小さな表在性潰瘍

ときに小水疱を伴う

鼠径リンパ節腫脹

単純ヘルペスウイルス感染症

浅い有痛性潰瘍

非硬結性,圧痛を伴う潰瘍,ギザギザした穿堀性の辺縁をもち,境界が赤く,大きさが様々でしばしば融合する

所属リンパ節腫脹

軟性下疳

小丘疹または潰瘍,しばしば症状を伴わないまたは気づかれない

重度の圧痛および有痛を伴うリンパ節腫脹,ときに末梢リンパ浮腫または皮膚への排膿を伴う

ときに発熱

鼠径リンパ肉芽腫

多数の浅い潰瘍

特徴的な性器外病変および皮下トンネル

表皮剥離を伴う疥癬

多数の浅い病変

目に見えるシラミ,または毛幹に付着した卵嚢(虫卵)

表皮剥離を伴うケジラミ症

隆起性病変

悪臭を伴うビロード状の顆粒状病変

鼠径リンパ節腫脹を伴わない

鼠径肉芽腫

*潰瘍の原因としては,第2期梅毒の粘膜疹,びらん性亀頭炎,第3期梅毒のゴム腫性潰瘍,ベーチェット症候群,上皮腫,外傷などがある。

診断

  • しばしば臨床的評価

  • グラム染色および培養

  • 臨床検査

STDの診断および治療の状況は様々であるが,多くの場合,診断検査が限られていたり利用できないか,患者のフォローアップが不確実である。そのため,起因菌の同定は試みられないことが多い。多くの場合,診断は臨床所見のみに基づいて行われる。

診断検査には,グラム染色および培養または核酸増幅検査(NAAT)などの臨床検査がある。以下の状況では,診断検査が行われることが多い:

  • 診断が不明である。

  • 感染症が重症である。

  • 初期治療で効果がみられない。

  • その他にやむを得ない理由(例,公衆衛生サーベイランス,極度の精神的ストレスや抑うつなどの心理社会的理由)がある。

治療

  • 症候群の治療

  • ときに抗微生物薬

  • セックスパートナーの治療

診断検査が限られているか利用できない場合が多いため,あるいは患者のフォローアップが不確実であるため,初期治療はしばしば症候群に応じて,すなわち,受診理由となった症候群(例,尿道炎,子宮頸管炎,陰部潰瘍,骨盤内炎症性疾患)を引き起こす可能性が最も高い微生物を想定して行われる。

ほとんどのSTDは薬剤で効果的に治療できる。しかしながら,薬剤耐性の問題が増えつつある。

細菌性STDの治療を受けている患者は,自身とセックスパートナーの感染がなくなるまで,性交を控えるべきである。セックスパートナーの評価を行い,同時に治療すべきである。

ウイルス性STD,特にヘルペスおよびHIV感染症は,通常生涯続く。抗ウイルス薬によって管理できるが,まだ全ての感染症を治療できるわけではない。

予防

STDの管理は以下の要因に依存する:

  • 診断および治療を行うのに十分な施設および熟練した人員

  • 公衆衛生プログラムによる患者の最近のセックスパートナーの追跡および治療

  • 治癒を確認するための治療患者のフォローアップ

  • 医療従事者および市民の教育

  • 患者による高リスク行動の回避

コンドームおよびデンタルダムは,正しく使用すれば,一部のSTDのリスクを大幅に減少させる。

A型およびB型肝炎ならびにヒトパピローマウイルス感染症を除いて,ほとんどのSTDのワクチンはない。

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