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血液製剤

執筆者:

Ravindra Sarode

, MD, The University of Texas Southwestern Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 11月
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全血により,酸素運搬能の改善,血液量の増加,および凝固因子の補充が可能となり,過去には急速な大量失血に対して全血輸血が推奨されていた。しかしながら,成分輸血療法も同等に効果的であり,献血血液をより効率的に使用できることから,米国では一般に全血は利用できなくなっている。

赤血球

通常は,濃厚赤血球が選択すべき成分で,これを用いてヘモグロビンを増加させる。適応は,患者によって異なる。健康状態が良好な患者であれば,ヘモグロビン値が7g/Lと低くとも酸素運搬能が十分な場合があるが,心肺予備能が低い患者または出血が持続している患者では,ヘモグロビン値がこれより高くとも輸血が適応となる場合がある。赤血球1単位の輸血により,平均的成人のヘモグロビンが輸血前の値より約1g/dL増加する(ヘマトクリット値は約3%増加)。血液量の増加のみが必要な場合は,他の輸液を同時または個別に実施可能である。複数の血液型に対する抗体を有する患者,または高頻度赤血球抗原に対する抗体を有する患者では,まれに凍結赤血球が用いられる。

洗浄赤血球は,微量の血漿のほぼ全て,白血球のほとんど,および血小板を取り除いたものである。一般に,血漿に対して重度の反応(例,重度のアレルギー,発作性夜間血色素尿症,またはIgA免疫化)を示す患者に投与される。IgAに対する抗体を有する患者における輸血では,IgA欠損症の供血者から採取した血液が望ましい場合がある。

白血球除去赤血球は,特殊フィルターを用いて99.99%以上の白血球を取り除いたものである。非溶血性の発熱性輸血反応 発熱性非溶血性輸血反応 輸血の最も頻度の高い合併症は,以下のものである: 発熱性非溶血性反応 悪寒-硬直反応 最も重篤な合併症で,死亡率が非常に高いのは,以下のものである: ABO血液型不適合輸血による急性溶血反応(AHTR) さらに読む の既往がある患者に対して,交換輸血に対して,サイトメガロウイルス陰性血液が必要な患者で入手不能な場合に対して,および場合によって血小板輸血不応性(血小板輸血後に目標の血小板数に達しない)の予防に役立つHLA同種免疫の阻止に対して適応される。

新鮮凍結血漿

新鮮凍結血漿(FFP)は,血小板以外の全ての凝固因子の非濃縮供給源である。適応は,凝固因子欠乏により発生した出血で特定の凝固因子補充が利用できない場合,複数の凝固因子欠乏状態(例,大量輸血,播種性血管内凝固症候群 播種性血管内凝固症候群(DIC) 播種性血管内凝固症候群(DIC)は,循環血中のトロンビンおよびフィブリンの異常な過剰生成に関係する。その過程で血小板凝集および凝固因子消費が亢進する。緩徐に(数週間または数カ月かけて)進行するDICでは,主に静脈の血栓性および塞栓性の症状がみられる;急速に(数時間または数日で)進行するDICでは,主に出血が生じる。重度で急速進行性のDICは,血小板減少症,PTTおよびPTの延長,血漿Dダイマー(または血清フィブリン分解産物)濃度の上昇,... さらに読む [DIC],肝不全),およびワルファリン緊急反転などの治療であるが,プロトロンビン複合体製剤(PCC)が利用可能であれば,それを最初に選択する。FFPは,全血が交換輸血用に入手できないときに赤血球を補充できる。FFPは,単に血漿量の増量または手術前に軽度から中等度の凝固障害の是正を行うために用いるべきではない。

クリオプレシピテート

クリオプレシピテートは,新鮮凍結血漿から調製された濃縮製剤である。各濃縮製剤には,一般に血液凝固第VIII因子およびフォン・ウィルブランド因子がそれぞれ約80単位,フィブリノーゲンが約250mg含まれている。さらに,ADAMTS13(先天性の血栓性血小板減少性紫斑病 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,血小板減少症と微小血管障害性溶血性貧血を特徴とする急性の劇症疾患である。その他の臨床像として,意識レベルの変化や,ときに腎不全などがみられる。診断するには,直接抗グロブリン試験陰性の溶血性貧血とADAMTS13レベルの低下を含む,特徴的な臨床検査値異常を証明する必要がある。治療法は血漿交換,コルチコステロイド,およびリツキシマブである。 (血小板疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) で欠乏している酵素),フィブロネクチン,および血液凝固第XIII因子も含まれている。クリオプレシピテートは,最初に血友病 血友病 血友病はよくみられる遺伝性出血性疾患で,第VIII因子または第IX因子のいずれかの凝固因子の欠乏に起因する。因子の欠乏の度合いで出血の確率および重症度が決まる。通常は外傷の数時間以内に深部組織または関節内への出血が生じる。診断は,PTおよび血小板数が正常でPTTの延長を認める患者で疑い,特異的因子の測定により確定する。治療には,急性出血が疑われる場合,確認された場合,または発生する可能性が高い場合(例,外科手術の前)の欠乏因子の補充療法... さらに読む およびフォン・ウィルブランド病 フォン・ウィルブランド病 フォン・ウィルブランド病(VWD)は,フォン・ウィルブランド因子(VWF)の遺伝性欠乏症であり,血小板の機能症を引き起こす。出血傾向は通常,軽度である。スクリーニング検査では,血小板数が正常で,場合によりPTTのわずかな延長がみられる。診断はフォン・ウィルブランド因子抗原およびフォン・ウィルブランド因子活性(リストセチン補因子活性)の低値に基づく。治療には,補充療法(ウイルス不活化を行った中間純度第VIII因子濃縮製剤)またはデスモプレ... さらに読む に用いられたが,現在では出血を伴う急性DICにおけるフィブリノーゲンの供給源として,また尿毒症性出血の治療,胸部手術(フィブリン糊),産科における常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離とは,正常に付着した胎盤が,通常20週以降に子宮から時期尚早に分離することである。産科的緊急事態となりうる。症状として,性器出血,子宮の疼痛ならびに圧痛,出血性ショック,および播種性血管内凝固症候群を含むことがある。診断は臨床的に行い,ときに超音波検査を用いる。治療は症状が軽度の場合には安静(modified... さらに読む およびHELLP症候群 合併症 妊娠高血圧腎症は妊娠20週以降の新規発症の高血圧または既存の高血圧の悪化で,タンパク尿を伴うものである。子癇は妊娠高血圧腎症の患者における原因不明の全身痙攣である。診断は臨床的に行い,尿タンパク測定による。治療は通常,硫酸マグネシウム静注および満期での分娩である。 妊娠高血圧腎症は妊婦の3~7%に生じる。妊娠高血圧腎症および子癇は妊娠20週以降に発生する;最大25%の症例は分娩後に発生し,最も頻繁には初めの4日間に起こるが,ときに分娩後... さらに読む (溶血,肝酵素値上昇,および血小板数低値)などの緊急時,ならびにまれな凝固因子の第XIII因子欠乏症でヒト凝固因子の第XIII因子濃縮製剤が利用できない場合に使用されている。一般に,他の適応で使用してはならない。

白血球

深刻な好中球減少症 好中球減少症 好中球減少症は,血中の好中球数が減少した状態である。重度の場合,細菌および真菌による感染症のリスクおよび重症度が増す。感染症の局所症状が弱い場合があるが,重篤な感染症の大半で発熱がみられる。診断は,白血球数と白血球分画によるが,評価には原因の同定が必要である。発熱がある場合は,感染が疑われるため,特に好中球減少症が重度であれば,直ちに広域抗菌薬の経験的投与が必要である。顆粒球コロニー刺激因子を用いた治療がときに役立つ。... さらに読む (好中球が500/μL未満)が持続する患者において敗血症が発生し,抗菌薬を投与しても効果がみられない場合に顆粒球輸血が行われることがある。顆粒球は,採取後24時間以内に投与しなければならないが,顆粒球輸血前にHIV,肝炎,ヒトT細胞白血病ウイルス,梅毒の検査が完了しない可能性がある。抗菌薬療法の進歩および化学療法中に顆粒球の産生を刺激する薬剤の改良により,顆粒球が使用されることはほとんどない。

免疫グロブリン

Rh免疫グロブリン(RhIg)を筋注または静注により投与することで,胎児母体間輸血 病態生理 胎児赤芽球症は,胎児赤血球に対する母体の抗体が経胎盤的に移行することによって起こる,胎児(または新生児では新生児赤芽球症)の溶血性貧血である。この疾患は通常,母体と胎児間での血液型不適合により(しばしばRho(D)抗原により)生じる。診断は出生前の母親の抗原および抗体スクリーニングから始まり,父親のスクリーニング,母親の抗体価の連続測定,および胎児の検査が必要となることがある。治療には,子宮内胎児輸血や新生児交換輸血がある。予防は,Rh... さらに読む により発生する可能性がある母親のRh抗体産生が防止される。乳児がRh0(D)およびDu 陰性であるか,すでに母体の血清中に抗Rh0(D)が含まれていない限り,Rh陰性の母親に対しては,中絶または分娩(生児出産または死産)直後に筋注RhIgの標準用量(300μg)を投与しなければならない。胎児母体間輸血が30mLを超える場合は,さらに高用量の投与が必要である。この量の出血が疑われる場合は,胎児母体間輸血量の検査をロゼットスクリーニング試験から開始し,陽性であれば,次に定量検査(例,Kleihauer-Betke試験)を実施する。

サイトメガロウイルス サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)は,重症度に大きな幅のある感染症を引き起こす。伝染性単核球症に類似するが重度の咽頭炎を欠いた症候群がよくみられる。HIV感染患者とまれに臓器移植レシピエントやその他の易感染性患者において,網膜炎など重度の局所疾患が生じうる。新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある。臨床検査による診断は重症例において役に立ち,培養,血清学的検査,生検,抗原または核酸の検出などを行う。ガンシクロビルお... さらに読む A型肝炎 A型肝炎,急性 A型肝炎は,糞口感染で伝播するRNAウイルスにより引き起こされる疾患であり,年長の小児と成人では,食欲不振,倦怠感,黄疸などウイルス性肝炎の典型的な症状を引き起こす。幼児では無症状の場合がある。先進国では劇症肝炎や死亡はまれである。慢性肝炎は起こらない。診断は抗体検査による。治療は支持療法である。予防接種と過去の感染が防御的に働く。 (肝炎の原因および急性ウイルス性肝炎の概要も参照のこと。)... さらに読む B型肝炎 B型肝炎,急性 B型肝炎は,しばしば血液感染するDNAウイルスによって引き起こされる。食欲不振,倦怠感,黄疸など,ウイルス性肝炎の典型症状がみられる。劇症肝炎や死に至ることがある。慢性肝炎は肝硬変および/または肝細胞癌につながる可能性がある。診断は血清学的検査による。治療は支持療法である。ワクチン接種で予防可能であり,曝露後もB型肝炎免疫グロブリンを使用することで発症を予防できるか,臨床症状を軽減することができる。... さらに読む 麻疹 麻疹 麻疹は,小児で最も多くみられる感染性の高いウイルス感染症である。発熱,咳嗽,鼻感冒,結膜炎,口腔粘膜の粘膜疹(コプリック斑),および頭尾方向に拡大する斑状丘疹状皮疹を特徴とする。診断は通常,臨床的に行う。治療は支持療法による。予防接種が非常に効果的である。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイルスについては,新生児における感染... さらに読む 麻疹 狂犬病 狂犬病 狂犬病は,感染したコウモリやその他特定の哺乳類の唾液を介して伝播するウイルス性脳炎である。症状としては抑うつや発熱などがあり,続いて興奮,唾液の過剰分泌,および恐水病がみられる。診断は皮膚生検検体を用いた直接蛍光抗体法またはPCR検査による。曝露のリスクが高い個人には,ワクチン接種が適応となる。曝露後予防は創傷ケアと受動的および能動的な免疫学的予防から成り,迅速かつ入念に行えば,ヒトの狂犬病はほぼ常に予防できる。それができなければ,本症... さらに読む RSウイルス RSウイルス(RSV)感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症 RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルス感染症は,特に乳児および幼児において,季節性の下気道疾患を引き起こす。無症候性ないし軽症で済むこともあれば,細気管支炎や肺炎を伴った重症となることもある。診断は臨床的に行うのが通常であるが,臨床検査による診断も可能である。治療は支持療法による。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイル... さらに読む 風疹 風疹 (Professional.See also page 先天性風疹。) 風疹は,リンパ節腫脹と発疹のほか,ときに全身症状(通常は軽度かつ短期間)を引き起こす,感染性の強いウイルス感染症である。妊娠早期に感染すると,自然流産,死産,または先天性感染症につながる可能性がある。診断は通常臨床的に行う。症例は公衆衛生当局に報告する。通常,治療は不要である。ワクチン接種が予防に効果的である。... さらに読む 風疹 破傷風 破傷風 破傷風は,破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する神経毒による急性中毒である。症状は間欠性に生じる随意筋の強直性痙攣である。Lockjawという別名は咬筋の攣縮に由来する。診断は臨床的に行う。治療はヒト破傷風免疫グロブリンと集中的な支持療法による。 (嫌気性細菌の概要およびクロストリジウム感染症の概要も参照のこと。) 破傷風菌は耐久性の高い芽胞を形成するが,それらは土壌や動物の糞中に存在し,何年にもわたり生存する。... さらに読む 破傷風 天然痘 天然痘 天然痘は,オルソポックスウイルス属の一種である天然痘ウイルスによって引き起こされる,非常に感染力の強い疾患である。死亡率は30%にも及ぶ。自然感染は根絶されている。アウトブレイクに対する主な懸念はバイオテロによるものである。重度の全身症状と特徴的な膿疱が発生する。治療は一般に支持療法であり,抗ウイルス薬を使用することもある。予防にはワクチン接種が用いられるが,リスクがあるため,選択的に使用されている。... さらに読む 天然痘 水痘 水痘 水痘は,通常は小児期にみられる急性の全身感染症であり,水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)によって引き起こされる。通常は軽度の全身症状から始まり,その後すぐに斑状疹,丘疹,小水疱,および痂皮を特徴とする皮膚病変が群発して現れる。重度の神経系またはその他の全身性合併症(例,肺炎)のリスクのある患者は,成人,新生児,および易感染性患者,または特定の基礎疾患を有する患者などである。診断は臨床的に行う。重症合併症のリスクのある患者は... さらに読む 水痘 など,いくつかの感染症に曝露した患者では,曝露後予防に他の免疫グロブリンが利用可能である(用法については,各疾患を参照)。

血小板

以下を適応として濃厚血小板が使用される:

濃厚血小板は,侵襲的手術で特に2時間を超える体外循環(これにより血小板が機能不全に陥ることが多い)を実施する場合に術前投与されることもときにある。1単位の濃厚血小板輸血により,血小板数が約10,000/μL増加し,合併症のない患者で約10,000/μL,手術を受ける患者で約50,000/μLの血小板数であれば,十分な止血が達成される。そのため,成人では全血4~5単位のプールに由来する濃厚血小板が一般的に用いられる。

濃厚血小板は,血小板(または他の細胞)を採取して不要な成分(例,赤血球,血漿)を供血者に戻す自動化された装置によって調製されることが多くなってきている。この処置は血小板アフェレーシスと呼ばれるもので,1回の供血(全血血小板4~5単位に相当)から1人の成人への輸血に十分な血小板が得られ,感染性および免疫原性リスクが最小限に抑えられるため,特定の疾患では複数供血者由来の輸血よりも望ましい。

特定の患者は血小板輸血に反応しない場合があり(不応性と呼ばれる),これは血小板のsplenic sequestration,播種性血管内凝固症候群による血小板消費,HLAまたは血小板特異抗原の同種免疫応答による血小板破壊(および免疫介在性破壊)のいずれかが原因である可能性がある。患者が輸血に不応性の場合,可能であれば同種免疫について検査する。免疫介在性破壊がみられる患者では,プールされた全血血小板(いくつかはHLA適合する可能性がより高くなるため),家族からの血小板,ABO型またはHLA適合血小板のいずれかに反応する可能性がある。HLA同種免疫応答は,白血球除去赤血球および白血球除去濃厚血小板の輸血により軽減される場合がある。

他の血液製剤

酸素を運搬し組織に届ける不活性化学物質(例,パーフルオロカーボン)またはヘモグロビン溶液を用いた代用血液を開発するために,様々な試みが行われている。これらの代用ヘモグロビンは,救急時に組織へ酸素を届ける能力があると期待されたが,いくつかの臨床試験では,死亡率が高く,有害な心血管系毒性(例,低血圧)が重度であったために,失敗に終わっている。現在では,様々な幹細胞供給源から血小板および赤血球を再生する試みが進められている。

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