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非ホジキンリンパ腫

執筆者:

Carol S. Portlock

, MD, Weill Cornell University Medical College

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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非ホジキンリンパ腫(NHL)は,リンパ節,骨髄,脾臓,肝臓,および消化管を含むリンパ細網部位におけるリンパ系細胞の単クローン性悪性増殖に起因する疾患の混成群である。通常は,初発症状として末梢のリンパ節腫脹がみられる。ただし,リンパ節腫脹は認められないが,循環血中に異常なリンパ球が認められる患者もいる。ホジキンリンパ腫と比べ,診断時に播種性である可能性が高い。通常は,リンパ節生検,骨髄生検,またはその両方に基づいて診断を下す。治療には,一般的には免疫療法薬(例,モノクローナル抗体)と化学療法を併用する化学免疫療法が用いられ,ときに放射線療法が追加される。造血幹細胞移植は通常,アグレッシブリンパ腫または形質転換したリンパ腫患者における不完全寛解または再発後のサルベージ療法まで温存される。

NHLはホジキンリンパ腫 ホジキンリンパ腫 ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。症状にとしては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により,約75%の症例で治癒が得られ,化学療法のほか,放射線療法を併用する場合も併用しない場合もある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。)... さらに読む ホジキンリンパ腫 より多くみられる。米国で6番目に多い悪性腫瘍であり,米国で1年間に新たに発生する全ての悪性腫瘍の5%を占め,全てのがん死亡の4%を占めている。年齢層にかかわらず,毎年約70,000例以上の症例が新たに診断される。NHLは1つの疾患ではなく,いくつかの亜型から成る一群のリンパ球悪性腫瘍であり,アグレッシブリンパ腫とインドレントリンパ腫に大別される。発生率は,年齢とともに増加する(年齢の中央値は50歳)。

病因

非ホジキンリンパ腫の原因は不明であるが,白血病 白血病の概要 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む と同様に,ウイルス性の原因(例,ヒトT細胞白血病-リンパ腫ウイルス,エプスタイン-バーウイルス 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 (ヘルペスウイルス感染症の概要を参照のこと。)... さらに読む 伝染性単核球症 B型肝炎ウイルス B型肝炎,慢性 B型肝炎は,慢性肝炎の一般的な原因の1つである。患者は無症候性または疲労および倦怠感のように非特異的症状を呈することがある。無治療の場合,しばしば肝硬変を起こし,肝細胞癌のリスクが高まる。抗ウイルス薬が有用であるが,肝移植が必要になる場合もある。 (肝炎の原因,慢性肝炎の概要,およびB型急性肝炎も参照のこと。) 一般に慢性肝炎は6カ月以上続く肝炎と定義されるが,この期間は恣意的である。... さらに読む C型肝炎ウイルス C型肝炎,慢性 C型肝炎は,慢性肝炎の一般的な原因の1つである。慢性肝疾患の症状が現れるまで無症状に経過する場合が多い。治療は直接作用型抗ウイルス薬とゲノタイプに応じた他の薬剤の投与による;検出限界未満までのウイルスRNAの永続的な排除が可能である。 (肝炎の原因,慢性肝炎の概要,およびC型急性肝炎も参照のこと。) 一般に6カ月以上持続する肝炎が慢性肝炎と定義されるが,この期間は恣意的である。... さらに読む HIV ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒトヘルペスウイルス8型 ヘルペスウイルス感染症の概要 ヒトに感染するヘルペスウイルスとしては,8つの型が存在する(Professional.see table ヒトに感染するヘルペスウイルス)。初回感染後,全てのヘルペスウイルスは特定の宿主細胞内に潜伏し続け,その後再活性化することがある。ヘルペスウイルスは宿主外では長時間生存できないため,通常は伝播には濃厚な接触が必要となる。このウイルスは... さらに読む )が示唆されるエビデンスがかなりある。Helicobacter pyloriなどの細菌もリンパ腫のリスクを高める。

NHLのリスクが高いのは以下の患者である:

非ホジキンリンパ腫は,HIV感染患者の悪性腫瘍 非ホジキンリンパ腫 HIV感染患者におけるAIDS指標がんは以下の通りである: カポジ肉腫 リンパ腫,バーキット(または同等の用語) リンパ腫,免疫芽球型(または同等の用語) リンパ腫(原発性,中枢神経系) さらに読む としては2番目に多くみられるもので,一部のAIDS患者はリンパ腫で医療機関を受診する。実際,全てのNHL患者が最初にHIVおよび肝炎ウイルスのスクリーニングを受ける。

遺伝因子が関与しているようである。最近のエビデンスでは,特定の一塩基多型がリンパ腫のリスクを高めることが示されている。また,ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫の第1度近親者もNHLのリスクが高い。

病態生理

NHLの大半(80~85%)がBリンパ球から発生し,残りはTリンパ球またはナチュラルキラー細胞から発生する。前駆細胞または成熟細胞のいずれにも発生する可能性がある。リンパ球分化のどの段階で発がん事象が生じたかにより,疾患の臨床像と転帰が決まってくる。

ほとんどのリンパ腫は節性であり,骨髄や末梢血への浸潤は一様ではない。末梢血リンパ球増多および骨髄浸潤を伴う白血病様の臨床像が,一部の型のNHLの小児患者の最大50%,成人患者の約20%にみられる。以下に該当する患者はリンパ腫を有するとみなされる:

  • より広範なリンパ節(特に縦隔)への浸潤

  • 循環血中の異常細胞が少ない

  • 骨髄中の芽球が少ない(< 25%)

アグレッシブリンパ腫で著明な白血病期がみられることはまれである。

免疫グロブリンの産生が進行性に低下することで引き起こされる低ガンマグロブリン血症が,診断時点で15%の患者にみられる。これは重篤な細菌感染のリスクを高め,静注用免疫グロブリン製剤による補充療法を必要とする場合がある。

パール&ピットフォール

  • 非ホジキンリンパ腫と白血病の間には共通する点がかなり多い;いずれも末梢血リンパ球増多および骨髄浸潤を伴う場合がある。

分類

非ホジキンリンパ腫の病理学的分類は改良が続いており,この不均一な疾患群の起源細胞および生物学的背景に関する新たな洞察が反映されている。 2016年のWHO分類は,免疫表現型,遺伝子型,および細胞遺伝学的所見を取り入れているために価値が高いが,この他にも数多くの分類法がある(例,Lyon分類)。

非ホジキンリンパ腫は,一般的にインドレントリンパ腫とアグレッシブリンパ腫にも分類される。

  • インドレント:進行が遅く,治療に反応しやすいが,典型的には標準のアプローチで治癒できない。

  • アグレッシブ:急速に進行するが,治療に反応しやすく,しばしば治癒可能である。

小児における非ホジキンリンパ腫は,ほぼ全てがアグレッシブリンパ腫である。濾胞性リンパ腫とその他のインドレントリンパ腫はまれである。これらのアグレッシブリンパ腫(バーキットリンパ腫 バーキットリンパ腫 バーキットリンパ腫は,小児および成人にみられるアグレッシブB細胞リンパ腫である。病型として風土病型(アフリカ人),散発型(非アフリカ人),および免疫不全型がある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。) 古典的バーキットリンパ腫は,中央アフリカで風土病となっており,米国では小児リンパ腫の30%を占めている。アフリカに多い風土病型は,下顎または顔面骨の腫大として現れることが多い。 この写真は,バーキットリンパ腫患者の顎の大きな腫瘍を示す。... さらに読む バーキットリンパ腫 ,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,およびリンパ芽球性リンパ腫)の治療には,消化管病変(特に回腸末端の病変);髄膜への進展(髄液浸潤の予防または治療が必要);およびその他の聖域部位の病変(例,精巣,脳)などの特別な懸念がある。さらに,治癒の可能性があるこれらのリンパ腫では,治療成績に加えて,晩期の二次がんのリスク,心肺系の続発症,妊孕性の温存,発達への影響といった治療の有害作用についても考慮しなければならない。現在の研究は,これらの領域に加えて,小児と成人の両方におけるリンパ腫の分子生物学的事象および予測因子にも焦点を当てている。

症状と徴候

ほとんどの患者で以下がみられる:

  • 症状を伴わない末梢リンパ節腫脹

腫大したリンパ節は弾性があり分離しているが,後に癒合して腫瘤になる。侵されたリンパ節は通常痛みを伴わず,ウイルス感染でしばしばみられる圧痛のあるリンパ節とは異なる。一部の患者では,リンパ節病変が限局性であるが,いくつかの領域に影響がみられる患者がほとんどである。最初の身体診察で,頸部,腋窩,鼠径部,および大腿部のリンパ節を慎重に調べるべきである。

一部の患者では,腫大した縦隔および後腹膜リンパ節により圧迫症状が生じる。そのうち以下が最も重要である:

一部の非ホジキンリンパ腫では皮膚が侵される。B細胞性NHLは頭皮(濾胞性リンパ腫)または下肢(大細胞型リンパ腫)を侵すことがあり,典型的には,わずかに隆起した紅斑性結節を生じさせる。皮膚T細胞NHLでは,皮膚病変がびまん性の触知不能な紅斑や,不連続な丘疹,局面,または腫瘍を呈することがある。

貧血は,初期に約33%の患者でみられるが,最終的にはほとんどの患者にみられる。貧血の原因として可能性のあるものには,消化管リンパ腫に起因する出血(血小板数減少症を伴う場合も伴わない場合もある);脾機能亢進症またはクームス陽性溶血性貧血に起因する溶血;リンパ腫による骨髄浸潤;または化学療法もしくは放射線療法に起因する骨髄抑制がある。

一部の特殊なリンパ腫の症状

成人T細胞白血病/リンパ腫:ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)が関連する病態で,臨床的には皮膚浸潤,リンパ節腫脹,肝脾腫,および白血病 白血病の概要 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む を呈する急激な経過をたどる。この白血病細胞は悪性T細胞で,曲がった形の核がみられることが多い。高カルシウム血症は,直接的な骨浸潤よりも,むしろ体液性因子に関連して発現することが多い。

診断

  • リンパ節生検

  • ほとんどの患者で片側の骨髄穿刺および骨髄生検

  • 病期診断のための胸部,腹部,および骨盤部のFDG-PET/CT

  • 神経症状がある場合,脳および/または脊髄MRI

ホジキンリンパ腫と同様に,NHLは通常,以下のある患者で疑われる:

  • 無痛性のリンパ節腫脹

  • 別の理由で行われた胸部X線またはCTで検出された縦隔リンパ節腫脹

無痛性のリンパ節腫脹は,伝染性単核球症 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 (ヘルペスウイルス感染症の概要を参照のこと。)... さらに読む 伝染性単核球症 トキソプラズマ症 トキソプラズマ症 トキソプラズマ症は,Toxoplasma gondiiによる感染症である。症状はないこともあれば,良性リンパ節腫脹(単核球症様疾患)から,易感染者における生命を脅かす中枢神経系疾患やその他の臓器の障害まで,様々である。AIDS患者およびCD4陽性細胞数が少ない患者では,脳炎が発生する可能性がある。先天性感染症では網脈絡膜炎,痙攣発作,および知的障害が起こる。診断は血清学的検査,病理組織学的検査,またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査に... さらに読む トキソプラズマ症 サイトメガロウイルス感染症 サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)は,重症度に大きな幅のある感染症を引き起こす。伝染性単核球症に類似するが重度の咽頭炎を欠いた症候群がよくみられる。HIV感染患者とまれに臓器移植レシピエントやその他の易感染性患者において,網膜炎など重度の局所疾患が生じうる。新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある。臨床検査による診断は重症例において役に立ち,培養,血清学的検査,生検,抗原または核酸の検出などを行う。ガンシクロビルお... さらに読む ,最初のHIV感染 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ,または白血病 白血病の概要 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む により発生することもある。

肺癌 肺癌 肺癌は世界におけるがん関連死因の第1位である。約85%の症例に喫煙の関連がみられる。症状としては,咳嗽,胸部不快感または胸痛,体重減少などのほか,頻度は低いものの喀血もありうるが,多くの患者では何の臨床症状もないまま転移を来す。診断は,典型的には胸部X線またはCTによって行い,生検によって確定する。治療には,病期に応じ手術,化学療法,放射線療法,またはこれらの組合せなどがある。過去数十年間,肺癌患者の予後は不良であり,診断時から5年を超... さらに読む 肺癌 サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする炎症性疾患であり,病因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から咳嗽,労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常まず肺病変をきっかけに診断... さらに読む サルコイドーシス ,または結核 結核 結核は,しばしば初感染から一定期間の潜伏期を経て発症する慢性進行性の抗酸菌感染症である。結核は肺を侵すことが最も多い。症状としては,湿性咳嗽,発熱,体重減少,倦怠感などがある。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。... さらに読む 結核 でも同様の胸部X線所見がみられることがある。

まれに,非特異的症状に対して施行した血算で,末梢血リンパ球増多症の所見により発見される患者がいる。このような症例における鑑別診断としては,白血病 白血病の概要 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む エプスタイン-バーウイルス感染症 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 (ヘルペスウイルス感染症の概要を参照のこと。)... さらに読む 伝染性単核球症 ,Duncan症候群(X連鎖リンパ増殖症候群 X連鎖リンパ増殖症候群 X連鎖リンパ増殖症候群は,T細胞およびNK細胞の異常に起因し,エプスタイン-バーウイルス感染症に対する異常反応を特徴とし,肝不全,免疫不全症,リンパ腫,致死的なリンパ増殖性疾患,または骨髄無形成を招く。 (免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。) X連鎖リンパ増殖症候群(XLP)は,細胞性免疫不全が関与する原発性免疫不全症である。この疾患はX染色体上の遺伝子変異によって引き起こされる。劣性遺伝性疾... さらに読む )などがある。

診断に必要な検査に続いて,病期を確定し,病因と予後を判定するための検査を行う。

診断検査

腫大したリンパ節の生検を行う。リンパ節が触知可能であれば,最初に画像検査は必要ないが,以降の検査を適切に計画するのに,CTまたはUSが必要になる場合がある。

病変が容易に触知可能であれば,切除生検が望ましい。病変が肺または腹部にある場合は,CTまたはUSガイド下でコア針生検(18~20ゲージ針)を行うことで,診断に十分な検体が得られることが多い。穿刺吸引生検(経皮または気管支鏡下)では十分な検体が得られず,特に最初の診断には不十分となりやいため,安全と考えられる場合はコア生検が望ましい。

リンパ腫の診断経験が豊富な病理医が生検結果を確認すべきである。それが施設内でできない場合は,血液病理学を専門とする基準となる検査施設に検体スライドを送付すべきである。治療計画の策定には,NHLの適切な分類が不可欠である。非ホジキンリンパ腫は治癒が望めるが,正確に診断しなければ,至適治療を選択できない可能性がある。

生検に関する組織学的基準は,正常なリンパ節構造の破壊に加え,被膜および近隣の脂肪組織への特徴的な腫瘍細胞浸潤である。起源細胞を決定する細胞表面マーカー検査は,特異的な亜型を同定し,予後および管理法の決定に役立つという点で大きな価値がある;これらの検査は,細胞が存在すれば末梢血細胞でも可能であるが,典型的には,これらの染色はホルマリン固定パラフィン包埋組織に対して適用される。免疫ペルオキシダーゼによる白血球共通抗原CD45の立証より,転移性のがんが除外され,この方法は「未分化」がんの鑑別診断で多く使用される。白血球共通抗原,大半の表面マーカー検査,および遺伝子再構成(B細胞またはT細胞のクローン性の実証目的)に関する検査は,固定組織で実施可能である。細胞遺伝学的検査およびフローサイトメトリーでは,新鮮組織が必要である。

病期診断検査

リンパ腫と診断したら,病期診断検査を行う。

胸部,腹部,骨盤部のFDG-PET/CT検査が推奨される。PET/CTでは,正確な病変部位,大きさ(CTより),および腫瘍代謝(FDG-PETより)の情報が得られる。FDG-PET/CT検査が利用できない場合は,胸部,腹部,骨盤部の造影CTを施行する。

NHL患者には,ほぼ全例で骨髄穿刺と骨髄生検が施行される。生検は両側の後腸骨稜で行えるが,片側生検も許容される。FDG-PETは骨髄病変に対する感度が高いため ,PETを施行した患者では大細胞型NHLの病期診断に骨髄生検は必要ない場合があるが,これは低悪性度NHLまたはT細胞NHLには適用されず,これらでは骨髄生検が標準である。

合併症の検査と予後

血液検査には一般的に,血算と白血球分画,腎機能および肝機能検査(血清クレアチニン,ビリルビン,カルシウム,AST,アルブミン,アルカリホスファターゼ,乳酸脱水素酵素を含む),ならびに尿酸,β2ミクログロブリン,およびビタミンDの測定を含める。血清タンパク質電気泳動によるIgG,IgA,IgMの免疫グロブリン値の測定も行う。

病因の検査

NHL患者では,最初にHIV ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ならびにB型およびC型肝炎ウイルス 肝炎の原因 肝炎とは,びまん性または斑状の壊死を特徴とする肝臓の炎症である。 肝炎には急性の場合と慢性(通常は6カ月以上続く場合と定義される)の場合がある。急性ウイルス性肝炎は,ほとんどの症例で自然に消失するが,慢性肝炎に進行する場合もある。 肝炎の一般的な原因としては以下のものがある: 特定の肝炎ウイルス... さらに読む のスクリーニング検査を施行する。成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)と診断された患者では,ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)(Professional.see sidebar HTLV感染症 HTLV感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む HTLV感染症 )の感染も確認する。

病期分類

限局期(I期)のNHLも確かにあるが,典型的には最初に発見された時点で播種している。

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予後

予後は,リンパ腫の病型および病期と個々の患者因子により異なる。一般に,末梢T細胞またはNK/T細胞リンパ腫の患者はB細胞性NHLの患者より予後不良である。NHLの各亜型内では,腫瘍細胞の生物学的性質の差が予後に関係する。

最も頻用されている予後スコアリングシステムは, びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の予後に関するIPI(国際予後指標)(R-IPI)である。IPIスコアは,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)にのみ使用される。濾胞性リンパ腫(FLIPI)およびマントル細胞リンパ腫(MIPI)に対するスコアリングシステムもある。同様に非ホジキンリンパ腫の他の亜型でも,予後を推定するための計算ツールがオンラインで利用できる。

IPIでは以下の5つの危険因子を考慮する:

危険因子が多いほど,予後は不良である。最高リスク群の患者(危険因子が4または5つの患者)では,現在の5年生存率が50%である。いずれの危険因子もない患者は,治癒率が非常に高い。オリジナルのIPIスコアには,離散変数として5つの因子が採用されている(例,60歳以上 vs 60歳未満)。最近改定された Diffuse Large B-cell Lymphoma Prognosis(IPI24)は,診断後24カ月時点で無病状態にある可能性を計算するもので,連続変数として上記の因子が含まれているほか,リンパ球数も組み込まれている。

治療

細胞型により治療法が大きく異なり,その数があまりにも多いため,ここで詳細な考察はできない。限局期 vs 進行期,およびアグレッシブ vs インドレントで一般化することが可能である。バーキットリンパ腫 バーキットリンパ腫 バーキットリンパ腫は,小児および成人にみられるアグレッシブB細胞リンパ腫である。病型として風土病型(アフリカ人),散発型(非アフリカ人),および免疫不全型がある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。) 古典的バーキットリンパ腫は,中央アフリカで風土病となっており,米国では小児リンパ腫の30%を占めている。アフリカに多い風土病型は,下顎または顔面骨の腫大として現れることが多い。 この写真は,バーキットリンパ腫患者の顎の大きな腫瘍を示す。... さらに読む バーキットリンパ腫 および皮膚T細胞リンパ腫 皮膚T細胞リンパ腫(CTCL) 菌状息肉症およびセザリー症候群は,まれな慢性T細胞リンパ腫で,主に皮膚にみられ,ときにリンパ節に浸潤することがある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。) 菌状息肉症(MF)とセザリー症候群(SS)は,皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の主要な2つの病型である。これらがリンパ腫の全症例に占める割合は5%未満である。 CTCLは発症が潜行性で,ときには,生検を行っても診断困難な慢性のそう痒性発疹として現れることがある。この前駆症状は,最終的にCT... さらに読む 皮膚T細胞リンパ腫(CTCL) については,別の箇所で考察されている。

限局期(I期)

I期の非ホジキンリンパ腫(ほとんどの患者が診断時点でII期からIV期であるため,I期はまれ)では,外照射療法が唯一の初期治療となっている。局所放射線療法で長期の病勢制御が得られる場合があり,I期患者の約40%では治癒も得られる。

I期のリンパ芽球性リンパ腫またはバーキットリンパ腫の患者は,髄膜浸潤予防を伴う強力な多剤併用化学療法で治療する。

進行期(II~IV期)

II~IV期のNHLでは,亜型にかかわらず,大半の患者に化学免疫療法の適応がある。それらの症例では,化学免疫療法のサイクル数を制限するため,または巨大病変の残存部位に対する局所療法を行うために,放射線療法が用いられる場合がある。

インドレントリンパ腫に対する治療は,かなり多い。これらのリンパ腫は治療が成功しやすいものの,確実に治癒を得るのは難しいことから,無症状の患者に対する治療を最初から推奨することはできないが,抗CD20抗体のリツキシマブによる免疫療法の進歩により,こうした患者の一部では免疫療法が単独で施行される場合もある。この戦略により,骨髄抑制を伴う化学療法が必要になる時期を遅らせることができるが,早期の免疫療法のみに全生存期間を延長する効果はないことが示されている。重要臓器にリスクをもたらす症状または巨大病変がある患者は,化学免疫療法で治療する。選択された症例では,放射性標識抗CD20抗体を用いて,周辺の正常臓器に損傷を与えることなく,腫瘍細胞に放射線を照射することができる。

アグレッシブB細胞リンパ腫(例,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の患者に対する標準の薬剤を用いた併用療法は,リツキシマブを追加したシクロホスファミド,ヒドロキシダウノルビシン(ドキソルビシン),ビンクリスチン,およびプレドニゾン(R-CHOP)である。病変の退縮を伴う完全奏効が80%の症例で期待され,全体での治癒率は60%である。これらの結果はIPIスコアにより有意に異なる。診断後24カ月以上の時点で無病状態にある患者の期待余命は,年齢と性別でマッチングした集団と同程度である。この重要な因子は,この患者集団におけるフォローアップ戦略の指針となる可能性がある。

R-CHOPの使用で治癒率が改善しているため,治療終了時にcomplete metabolic response(PETにより判定)を達成した患者に対して自家移植はアジュバント療法として用いられていない。

リンパ腫の再発

治療終了時に寛解に至らなかったか再発したDLBCLまたはマントル細胞NHLの患者は,75歳未満で健康状態が良好であれば,サルベージレジメンによる治療後に自家幹細胞移植を受ける。この治療法では,この患者集団の40%が治癒する可能性がある。この状況では,末梢血白血球フェレーシスによって患者から幹細胞が採取される。若年患者と血中に循環腫瘍細胞を認める患者では,適合する同胞または同胞以外からのドナー幹細胞(同種移植)が非常に効果的となる可能性がある。一般に,高齢では移植合併症の発生率が高いため,患者の年齢が高いほど,同種移植が勧められる可能性は低くなる。

移植に適格でないか,移植後に再発した患者では,サルベージ療法が行われる。この種の治療法は極めて多様で,新薬が開発されることで絶えず変化している。

アグレッシブリンパ腫では,骨髄破壊的治療を伴う移植に適格な患者の30~50%に治癒が期待できる。

インドレントリンパ腫では,自家造血幹細胞移植による治癒は依然として確定していないが,緩和を目的とした二次治療単独よりも寛解が優れている可能性がある。強度を減弱した前処置による同種移植は,一部のインドレントリンパ腫患者で治癒を期待できる選択肢である。

骨髄破壊的前処置による移植を受けた患者の死亡率は,ほとんどの自家移植手技で1~2%まで,またほとんどの同種移植手技で15~20%まで(年齢に依存),劇的に低下している。

治療の合併症

治療が成功したら,患者のプライマリケアチームが実施可能なケア計画を策定するために,がんサバイバーシップクリニックに紹介すべきである。この計画は,患者の併存症とそれまでに受けた治療に特異的なリスクに応じて調整される。

薬物および放射線には晩期合併症がある。治療終了後最初の10年間は,化学療法薬による骨髄損傷のために,骨髄異形成 骨髄異形成および鉄輸送障害による貧血 骨髄異形成症候群では,貧血が顕著であることが多い。この種の貧血は,通常は正球性または大球性であり,二相性(大型と小型)の循環赤血球がみられる。(赤血球産生低下の概要も参照のこと。) 骨髄検査により,赤血球造血の活動性低下,巨赤芽球様,および異形成性変化に加え,ときに環状鉄芽球数の増加が認められる。 治療は悪性腫瘍を標的として行い,増殖因子製剤を使用することが多い。 鉄輸送障害による貧血(無トランスフェリン血症)は極めてまれである。鉄が貯... さらに読む または急性白血病 急性白血病 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む のリスクがある。10年後からは,二次がんのリスクが高まり,特に胸部に放射線照射を受けた患者でそのリスクが高い。

要点

  • 非ホジキンリンパ腫は,リンパ球が関与する一群の悪性腫瘍であり,増殖速度や治療に対する反応に有意なばらつきがある。

  • 通常は診断時点ですでに播種が起きている。

  • 診断および管理には,分子遺伝学的検査と遺伝学的検査が不可欠である。

  • 限局例は放射線療法で治療する。

  • 進行例は,NHLの亜型および病期に応じて免疫療法,化学療法,造血幹細胞移植,またはこれらの併用で治療する。

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