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妄想性パーソナリティ障害(PPD)

執筆者:

Lois Choi-Kain

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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妄想性パーソナリティ障害は,他者の動機を悪意のあるものと解釈する,他者に対する根拠のない不信および疑念の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は認知行動療法による。

パーソナリティ障害の概要も参照のこと。)

妄想性パーソナリティ障害患者は他者を信用せず,何の根拠もない,または不十分な根拠しかない場合でも,他者が自分に害をなそうとしている,または自分を欺こうとしていると考える。

一般人口の0.4~5.1%および臨床集団の9.7%が妄想性パーソナリティ障害を有していると推定されている。家族内で有病率が高いことを示す若干のエビデンスがある。一部のエビデンスから,この障害と小児期の情緒的および/または身体的虐待や犯罪被害との関連性が示唆されている。

併存症がよくみられる。妄想性パーソナリティ障害が単独の診断であることはまれである。よくみられる併存症には思考障害(例,統合失調症),不安症(例,社交恐怖症[社交不安症]),心的外傷後ストレス障害アルコール使用障害,または他のパーソナリティ障害(例,境界性)がある。

症状と徴候

妄想性パーソナリティ障害患者は,他者が自分を利用する,裏切る,または害する計画を立てていると疑う。患者は,いかなるときでも,理由もなく自分が攻撃されるかもしれないと感じている。証拠がほとんどないか全くない場合でも,自分の疑念および考えを主張し続ける。

しばしば,このような患者は他者が自分を大きく,取り返しのつかないほど傷つけたと考えている。患者は潜在的な侮辱,軽蔑,脅し,および不忠がないか非常に警戒しており,発言および行動に隠れた意味がないか探る。自分の疑念を裏付ける証拠を探して他者を詳細に吟味する。例えば,手伝いの申し出を,自分が1人で仕事をすることができないことを暗示していると誤解することがある。なんらかの形で侮辱された,または傷つけられたと考える場合,患者は自分を傷つけた相手を許さない。傷つけられたと感じて反応し,反撃したり,怒ったりする傾向がある。他者を信用しないため,自律性をもち,主導権を握っていなければならないと感じる。

このような患者は,他者に秘密を打ち明けたり,他者と親密な関係を築いたりすることをためらうが,それは情報が自分に不利な形で使われるのではないかと懸念するためである。患者は友人の誠実さおよび配偶者またはパートナーの貞節を疑う。極端に嫉妬深い場合があり,自分の嫉妬を正当化するために,配偶者またはパートナーの活動および動機について絶えず問いただすことがある。

このため,妄想性パーソナリティ障害患者は付き合うのが困難な場合がある。他者が患者に対し否定的に反応すると,その反応を自分の本来の疑念を裏付けるものととらえる。

診断

  • 診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

妄想性パーソナリティ障害の診断を下すには,以下の4つ以上により示される,他者に対する持続的な不信および猜疑心が認められる必要がある。

  • 他者が自分を利用している,傷つけている,または裏切っているという根拠のない疑念

  • 友人および同僚の信頼性について根拠のない疑いにとらわれている

  • 情報が自分に不利に使われるのではないかと考え,他者に秘密を打ち明けたがらない

  • 悪意のない言葉または出来事に誹謗,敵意,または脅迫的意味が隠されていると誤解する

  • 侮辱,中傷,または軽蔑に対して恨みを抱く

  • 自分の性格または評判が非難されたと考えやすく,性急に怒りをもって反応したり,反撃したりする

  • 自分の配偶者またはパートナーが不貞を働いているという根拠のない疑念を繰り返し抱く

また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

鑑別診断

妄想性パーソナリティ障害は,他者に関するパラノイアが全般的であること(例,対照的に,境界性パーソナリティ障害ではパラノイアはより一過性である)および以下に示す各障害の中核的特徴により,他のパーソナリティ障害と鑑別できる:

  • シゾイド:無関心(妄想性パーソナリティ障害では不信)

  • 統合失調型:風変わりな考え,発話,および行動

  • 境界性:依存性

  • 自己愛性:誇大性

  • 反社会性:搾取

  • 回避性:拒絶に対する恐れ

妄想性パーソナリティ障害は,妄想性障害(被害型),統合失調症,および精神病的特徴をもつ気分障害との鑑別が可能であるが,それはこれらの障害では精神病症状のエピソード(例,妄想,幻覚)が顕著だからである。

治療

  • 認知行動療法

妄想性パーソナリティ障害の一般的治療は全てのパーソナリティ障害に対するものと同じである。

妄想性パーソナリティ障害に有効であることが証明された治療法はない。

患者の疑念および不信の程度が全体的に高いことから信頼関係(rapport[ラポール])の確立が困難となる。患者の疑念についてなんらかの妥当性を認めることで,患者と医師の協力関係が促進されることがある。この協力関係により,患者は認知行動療法に参加したり,特定の症状の治療のために処方される薬剤(例,抗うつ薬,非定型抗精神病薬)を進んで服用したりできるようになることがある。非定型抗精神病薬は不安を緩和するのに有用な場合がある。

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