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神経根疾患

(神経根障害)

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

最終査読/改訂年月 2016年 9月
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神経根疾患は,分節性の神経根障害(例,あるデルマトームにおける疼痛または錯感覚,その神経根の支配する筋の筋力低下)をもたらす。診断には,基礎疾患に向けた神経画像検査,電気診断検査,および全身検査を要することがある。治療は原因に応じて異なるが,NSAID,その他の鎮痛薬,およびコルチコステロイドによる症状緩和などがある。

末梢神経系疾患の概要も参照のこと。)

神経根疾患(神経根障害)は,脊柱の内部または隣接部位での神経根への急性または慢性圧迫が引き金となって起こる( 脊髄神経)。

脊髄神経

脊髄神経

病因

最も一般的な原因は以下のものである:

RAまたは変形性関節症による骨変化,特に頸部および腰部における変化も,神経根を個々に圧迫することがある。

より頻度は低いが,癌性髄膜炎では斑状の多神経根性機能障害が生じる。まれに脊髄腫瘤性病変(例,硬膜外膿瘍および腫瘍,脊髄髄膜腫,神経線維腫)が,通常の脊髄機能障害の症状ではなく,神経根症状を呈することがある。

糖尿病は,神経根虚血を生じることにより,胸部または四肢の有痛性神経根障害を引き起こしうる。

抗酸菌(例,結核),真菌(例,ヒストプラズマ症),スピロヘータ(例,ライム病,梅毒)などによる感染症で神経根が侵されることがある。通常,帯状疱疹ウイルスの感染では,対応するデルマトームに感覚消失と特徴的な発疹を伴う有痛性の神経根障害が生じるが,分節性の筋力低下と反射消失を伴う運動神経根障害を生じることもある。サイトメガロウイルスによる多発神経根炎はAIDSの合併症である。

症状と徴候

神経根障害は,当該神経根のレベルに応じた疼痛および髄節性の神経脱落症状からなる特徴的な根性症候群を引き起こす傾向がある( 髄節レベルで分類した一般的な神経根障害の症状)。障害された運動神経根の支配筋に筋力低下および萎縮が生じる;また,線維束性収縮を伴う弛緩がみられることもある。感覚神経根に病変が及ぶと,対応するデルマトームに感覚障害が生じる。分節に対応する深部腱反射は減弱ないし消失する。侵された神経根の分布領域にかけて,電気ショック様の疼痛が放散する。

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髄節レベルで分類した一般的な神経根障害の症状

レベル

症状

C6

僧帽筋陵および肩関節先端の痛み,しばしば母指に放散し,同じ領域に錯感覚および感覚障害を伴う

上腕二頭筋の筋力低下

上腕二頭筋反射および腕橈骨筋反射の低下

C7

肩甲骨および腋窩の痛み,中指に放散する

上腕三頭筋の筋力低下

上腕三頭筋反射の低下

T(いずれも)

胸郭周囲の帯状の異常感覚

L5

殿部,大腿後外側,腓腹部,および足の痛み

前脛骨筋,後脛骨筋,および腓骨筋の筋力低下を伴う下垂足

脛および足背の感覚消失

S1

下肢後面および殿部に沿った痛み

足関節の底屈の障害を伴う内側腓腹筋の筋力低下

アキレス腱反射の消失

腓腹部および足の外側の感覚消失

くも膜下腔を通して神経根に圧力を伝える運動(例,脊椎を動かす,咳嗽,くしゃみ,バルサルバ手技を行う)により疼痛が増悪することがある。

馬尾の病変は腰髄および仙髄の複数の神経根を侵し,両下肢に神経根症状をもたらし,また括約筋および性機能を障害することがある。

脊髄圧迫を示す所見としては以下のものがある:

  • 感覚レベル(脊髄を横切るある水平面より下で感覚が突然変化する)

  • 弛緩性対麻痺または四肢麻痺

  • 圧迫部位以下の反射異常

  • 早期発症の反射低下,その後の反射亢進

  • 括約筋機能障害

診断

  • 神経画像検査

  • ときに電気診断検査

神経根症状には,患部のMRIまたはCTが必要である。MRIが禁忌(例,植込み型ペースメーカーまたはその他の金属が体内に存在するため)でCTにより結論が出ない場合にのみ,脊髄造影が必要になる。撮像領域は症状と徴候により異なる;レベルが明らかでない場合は,電気診断検査により罹患神経根の位置を明らかにする必要があるが,この検査により原因の同定はできない。

画像検査で解剖学的異常が検出されない場合は,髄液検査により感染性または炎症性の原因の有無を確認し,また空腹時血漿血糖を測定して糖尿病の有無を確認する。

治療

  • 原因および疼痛の治療

具体的な原因があれば治療する。

急性疼痛には,適切な鎮痛薬が必要である(例,アセトアミノフェン,NSAID,ときにオピオイド)。炎症が関わる疾患にはNSAIDが特に有用である。筋弛緩薬,鎮静薬,および局所治療により,追加効果が得られることはまれである。非オピオイド鎮痛薬で症状が軽減しない場合は,コルチコステロイドの全身または硬膜外投与が可能であるが,その鎮痛効果は限られ,一時的となる傾向がある。メチルプレドニゾロンを投与することができ,6日間かけて漸減する(24mg,経口,1日1回から開始して,1日4mgずつ減量する)。

慢性疼痛の管理は難しいことがある;アセトアミノフェンおよびNSAIDではしばしば部分的な効果しか得られず,NSAIDの慢性使用はリスクが大きい。オピオイドは依存のリスクが高い。三環系抗うつ薬および抗てんかん薬が効果的となる場合があり,同様に理学療法および精神医療従事者によるコンサルテーションが効果的となる場合もある。一部の少数の患者では,他の全ての治療で効果がなければ代替医療(例,経皮的電気神経刺激,脊椎マニピュレーション,鍼治療,薬用ハーブ)を試すこともある。

要点

  • あるデルマトームの感覚異常(例,疼痛,錯感覚)および/またはある神経根レベルの運動異常(例,筋力低下,萎縮,線維束性収縮,反射低下)など,髄節性の障害を有する患者では,神経根疾患を疑う。

  • 感覚レベル,両側性の弛緩性筋力低下,および/または括約筋機能障害がみられる患者では,脊髄圧迫を疑う。

  • 臨床所見から神経根障害が示唆されれば,MRIまたはCTを施行する。

  • 急性疼痛には鎮痛薬およびときにコルチコステロイドを用い,慢性疼痛には鎮痛薬に加え,その他の薬剤およびその他の治療を考慮する。

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