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神経根疾患

(神経根障害)

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

最終査読/改訂年月 2019年 9月
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神経根疾患は,分節性の神経根障害(例,あるデルマトームにおける疼痛または錯感覚,その神経根の支配する筋の筋力低下)をもたらす。診断には,基礎疾患に向けた神経画像検査,電気診断検査,および全身検査を要することがある。治療法は原因に応じて異なるが,非ステロイド系抗炎症薬,その他の鎮痛薬,およびコルチコステロイドによる症状緩和などがある。

脊髄神経根

脊髄神経

病因

最も一般的な原因は以下のものである:

関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチ(RA)は,主に関節を侵す慢性の全身性自己免疫疾患である。RAは,サイトカイン,ケモカイン,およびメタロプロテアーゼを介した損傷を引き起こす。特徴として,末梢関節(例,手関節,中手指節関節)に対称性に炎症が生じ,結果として関節構造が進行性に破壊される(通常は全身症状を伴う)。診断は特異的な臨床所見,臨床検査結果,および画像所見に基づく。治療としては,薬物療法,理学療法,およびときに手術を行う。疾患修飾性抗リウマチ薬は症状のコ... さらに読む 関節リウマチ(RA) (RA)または変形性関節症 変形性関節症(OA) 変形性関節症は,関節軟骨の破綻および潜在的な減少,加えて骨肥大(骨棘形成)など他の関節変化を特徴とする慢性の関節症である。症状としては,活動によって増悪するまたは誘発される徐々に発生する疼痛,覚醒時および安静後に30分未満続くこわばりなどのほか,ときに関節の腫脹がみられる。診断はX線によって確定する。治療には,理学療法,リハビリテーション,患者教育,および薬剤などがある。 変形性関節症(OA)は最もよくみられる関節疾患であり,40代およ... さらに読む 変形性関節症(OA) による骨変化,特に頸部および腰部における変化も,神経根を個々に圧迫することがある。

より頻度は低いが,がん性髄膜炎では斑状の多神経根性機能障害が生じる。まれに脊髄腫瘤性病変(例,硬膜外膿瘍 脊髄硬膜外膿瘍 脊髄硬膜外膿瘍は,硬膜外腔に脊髄の機械的圧迫につながりうる膿の蓄積が生じた状態である。診断はMRIまたは(MRIが施行できない場合は)脊髄造影とその後のCTによる。治療は抗菌薬のほか,ときに膿瘍ドレナージによる。 (脊髄疾患の概要も参照のこと。) 脊髄硬膜外膿瘍は通常,胸椎または腰椎領域に生じる。基礎疾患としてしばしば感染症があり,その部位は離れている(例,心内膜炎,皮膚のせつ,歯の膿瘍)こともあれば,近接している(例,化膿性脊椎炎,褥... さらに読む および腫瘍 脊髄腫瘍 脊髄腫瘍は,脊髄実質に発生して直接組織を破壊することもあれば,脊髄実質外に発生して脊髄または神経根を圧迫することも多い。症状としては,脊髄または脊髄神経根に関連する進行性の背部痛および神経脱落症状などがみられる。診断はMRIによる。治療法としては,コルチコステロイド,外科的切除,放射線療法などがある。 (脊髄疾患の概要も参照のこと。) 脊髄腫瘍は髄内腫瘍(脊髄実質内)または髄外腫瘍(脊髄実質外)として発生する。... さらに読む 脊髄髄膜腫 髄外腫瘍 脊髄腫瘍は,脊髄実質に発生して直接組織を破壊することもあれば,脊髄実質外に発生して脊髄または神経根を圧迫することも多い。症状としては,脊髄または脊髄神経根に関連する進行性の背部痛および神経脱落症状などがみられる。診断はMRIによる。治療法としては,コルチコステロイド,外科的切除,放射線療法などがある。 (脊髄疾患の概要も参照のこと。) 脊髄腫瘍は髄内腫瘍(脊髄実質内)または髄外腫瘍(脊髄実質外)として発生する。... さらに読む 神経線維腫 神経線維腫症 神経線維腫症とは,互いに臨床像に重複がみられるが遺伝学的原因は明確に異なることが判明している,いくつかの関連疾患を総称する用語である。中枢または末梢神経を侵す様々な種類の良性または悪性腫瘍が発生し,しばしば皮膚の色素沈着斑がみられ,ときにその他の臨床像を呈する。診断は臨床的に行う。特異的な治療法はないが,良性腫瘍は外科的に切除することがで... さらに読む 神経線維腫症 )が,通常の脊髄機能障害の症状 症状と徴候 脊髄疾患は永続的な重度の神経機能障害を引き起こす可能性がある。評価および治療が迅速であれば,そのような身体障害を回避または最小化することが可能になる場合もある。 脊髄疾患は通常,以下のような脊髄外の病態の結果として発生する: 脊柱管狭窄症による圧迫 椎間板ヘルニア 腫瘍 さらに読む ではなく,神経根症状を呈することがある。

抗酸菌(例,結核 結核 結核は,しばしば初感染から一定期間の潜伏期を経て発症する慢性進行性の抗酸菌感染症である。結核は肺を侵すことが最も多い。症状としては,湿性咳嗽,発熱,体重減少,倦怠感などがある。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。... さらに読む 結核 ),真菌(例,ヒストプラズマ症 ヒストプラズマ症 ヒストプラズマ症は,Histoplasma capsulatumにより引き起こされる肺および播種性感染症であり,しばしば慢性に経過し,無症状の初感染に続いて発症するのが通常である。症状は,肺炎症状または非特異的慢性疾患症状である。診断は,喀痰中もしくは組織中の菌の同定,または特異的な血清および尿抗原検査による。治療が必要な場合は,アムホテリシンBまたはアゾール系薬剤を使用する。... さらに読む ヒストプラズマ症 ),スピロヘータ(例,ライム病 ライム病 ライム病は,スピロヘータの一種であるBorrelia属細菌によって引き起こされるダニ媒介性感染症である。初期症状に遊走性紅斑があり,数週間から数カ月後には神経,心臓,または関節の異常が続発することがある。病初期では主に臨床所見から診断するが,疾患後期に発生する心臓合併症,神経系合併症,およびリウマチ性合併症の診断には血清学的検査が役立つ可能性がある。治療はドキシサイクリンやセフトリアキソンなどの抗菌薬による。... さらに読む ライム病 梅毒 梅毒 梅毒は,スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)によって引き起こされる疾患で,臨床的に3つの病期に区別され,それらの間には無症状の潜伏期がみられることを特徴とする。一般的な臨床像としては,陰部潰瘍,皮膚病変,髄膜炎,大動脈疾患,神経症候群などがある。診断は血清学的検査のほか,梅毒の病期に基づいて選択される補助的検査による。第1選択の薬剤はペニシリンである。... さらに読む 梅毒 )などによる感染症で神経根が侵されることがある。通常,帯状疱疹ウイルスの感染 帯状疱疹 帯状疱疹は,水痘帯状疱疹ウイルスが後根神経節で潜伏状態から再活性化される際に生じる感染症である。症状は通常,侵された皮膚分節に沿った疼痛から始まり,その後小水疱が2~3日以内に生じ,通常はこれが診断の決め手となる。治療は,皮膚病変発現後72時間以内に抗ウイルス薬を投与することによる。 (ヘルペスウイルス感染症の概要を参照のこと。) 水痘と帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)により引き起こされるが,水痘は同ウイルスに... さらに読む 帯状疱疹 では,対応するデルマトームに感覚消失と特徴的な発疹を伴う有痛性の神経根障害が生じるが,分節性の筋力低下と反射消失を伴う運動神経根障害を生じることもある。サイトメガロウイルスによる多発神経根炎はAIDSの合併症である。

症状と徴候

神経根障害は,当該神経根のレベルに応じた疼痛および髄節性の神経脱落症状から成る特徴的な根性症候群を引き起こす傾向がある(髄節レベルで分類した一般的な神経根障害の症状 髄節レベルで分類した一般的な神経根障害の症状 神経根疾患は,分節性の神経根障害(例,あるデルマトームにおける疼痛または錯感覚,その神経根の支配する筋の筋力低下)をもたらす。診断には,基礎疾患に向けた神経画像検査,電気診断検査,および全身検査を要することがある。治療法は原因に応じて異なるが,非ステロイド系抗炎症薬,その他の鎮痛薬,およびコルチコステロイドによる症状緩和などがある。 (末梢神経系疾患の概要も参照のこと。) 神経根疾患(神経根障害)は,脊柱の内部または隣接部位での神経根へ... さらに読む の表を参照)。障害された運動神経根の支配筋に筋力低下および萎縮が生じる;また,線維束性収縮を伴う弛緩がみられることもある。感覚神経根に病変が及ぶと,対応するデルマトームに感覚障害が生じる。分節に対応する深部腱反射は減弱ないし消失する。侵された神経根の分布領域にかけて,電気ショック様の疼痛が放散する。

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くも膜下腔を通して神経根に圧力を伝える運動(例,脊椎を動かす,咳嗽,くしゃみ,バルサルバ手技を行う)により疼痛が増悪することがある。

馬尾の病変は腰髄および仙髄の複数の神経根を侵し,両下肢に神経根症状をもたらし,また括約筋および性機能を障害することがある。

  • 感覚レベル(脊髄を横切るある水平面より下で感覚が突然変化する)

  • 弛緩性対麻痺または四肢麻痺

  • 圧迫部位以下の反射異常

  • 早期発症の反射低下,その後の反射亢進

  • 括約筋機能障害

診断

  • 神経画像検査

  • ときに電気診断検査

神経根症状には,患部のMRIまたはCTが必要である。MRIが禁忌(例,植込み型ペースメーカーまたはその他の金属が体内に存在するため)でCTにより結論が出ない場合にのみ,脊髄造影が必要になる。撮像領域は症状と徴候により異なる;レベルが明らかでない場合は,電気診断検査により罹患神経根の位置を明らかにする必要があるが,この検査により原因の同定はできない。

治療

  • 原因および疼痛の治療

  • 手術(最後の手段として)

神経根疾患に具体的な原因があれば治療する。

急性疼痛には,適切な鎮痛薬が必要である(例,アセトアミノフェン,非ステロイド系抗炎症薬[NSAID],ときにオピオイド)。炎症が関わる疾患にはNSAIDが特に有用である。筋弛緩薬,鎮静薬,および局所治療により,追加効果が得られることはまれである。非オピオイド鎮痛薬で症状が軽減しない場合は,コルチコステロイドの全身または硬膜外投与が可能であるが,その鎮痛効果は限られ,一時的となる傾向がある。メチルプレドニゾロンを投与することができ,6日間かけて漸減する(24mg,経口,1日1回から開始して,1日4mgずつ減量する)。

慢性疼痛の管理 治療 慢性疼痛とは,3カ月間を超えて持続もしくは再発する,または急性組織損傷の回復後1カ月を超えて持続する,または治癒に至らない病変に随伴する疼痛である。原因としては,慢性疾患(例,がん,関節炎,糖尿病),損傷(例,椎間板ヘルニア,靱帯断裂),多くの原発性疼痛疾患(例,神経障害性疼痛,線維筋痛症,慢性頭痛)などがある。様々な薬剤と心理学的治療が用いられる。 (線維筋痛症も参照のこと。)... さらに読む は難しいことがある;アセトアミノフェンおよびNSAIDではしばしば部分的な効果しか得られず,NSAIDの慢性使用はリスクが大きい。オピオイドは依存のリスクが高い。三環系抗うつ薬および抗てんかん薬が効果的となる場合があり,同様に理学療法および精神医療従事者によるコンサルテーションが効果的となる場合もある。一部の少数の患者では,他の全ての治療で効果がなければ代替医療(例,経皮的電気神経刺激 電気刺激 疼痛および炎症の治療の目的は,運動を促進し,筋肉や関節の協調運動能力を向上させることである。薬剤を使用しない治療法としては,運動療法,温熱,冷却,電気刺激,頸椎牽引,マッサージ,鍼治療などがある。これらの治療法は,筋肉,腱,および靱帯の多くの疾患に用いられている(Professional.see table 薬剤を使用しない疼痛治療の適応)。処方者は以下の項目を記載しなければならない:... さらに読む 脊椎マニピュレーション カイロプラクティック カイロプラクティック(マニピュレーションや身体をベースにした実践の1つ)では,脊椎および他の関節面の構造の関係と,それらと神経系の相互作用が健康の維持や回復への鍵と考えられている。この関係を回復する主な方法は脊椎,他の関節および軟部組織のマニピュレーションである。カイロプラクティックの施術者は,理学療法(例,温熱療法,寒冷療法,電気刺激療法,リハビリテーション),マッサージや指圧を行ったり,運動,人間工学的手段,または生活習慣の変更を勧... さらに読む 鍼治療 鍼治療 中国伝統医学の鍼治療は欧米で最も広く受け入れられている補完療法の1つであり,統合医療の一部であることが多い。通常は皮膚および皮下組織に細い針を刺すことで身体の特定の部位を刺激する。これら特定の部位を刺激することで,エネルギーの経路に沿って気(普遍的な生命力)の流れに影響を与え,バランスが回復すると考えられている。 一般的に施術による痛みはないが,チクチクとした感覚が生じることがある。ときには,針をねじったり針を暖めたり,またはその他の方... さらに読む 薬用ハーブ 栄養補助食品の概要 栄養補助食品は広く入手可能であり,比較的安価であり,医療従事者への相談なく購入できることなどから,全ての補完代替療法の中で最もよく用いられている。 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)による栄養補助食品の法的規制は医薬品とは異なる。FDAは品質管理および優良な製造工程を規制するが,有効成分の... さらに読む )を試すこともある。疼痛が難治性の場合は,外科的減圧が必要になることがある。

要点

  • あるデルマトームの感覚異常(例,疼痛,錯感覚)および/またはある神経根レベルの運動異常(例,筋力低下,萎縮,線維束性収縮,反射低下)など,髄節性の障害を有する患者では,神経根疾患を疑う。

  • 感覚レベル,両側性の弛緩性筋力低下,および/または括約筋機能障害がみられる患者では,脊髄圧迫を疑う。

  • 臨床所見から神経根障害が示唆されれば,MRIまたはCTを施行する。

  • 急性疼痛には鎮痛薬およびときにコルチコステロイドを用い,慢性疼痛には鎮痛薬に加え,その他の薬剤およびその他の治療を考慮する。

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