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ギラン-バレー症候群 (GBS)

(急性特発性多発神経炎;急性炎症性脱髄性多発根神経炎)

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

最終査読/改訂年月 2019年 9月
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ギラン-バレー症候群は,急性で,通常は急速に進行するが自然治癒する炎症性多発神経障害であり,筋力低下および軽度の遠位部感覚消失を特徴とする。原因は自己免疫性であると考えられている。診断は臨床的に行う。治療法としては,免疫グロブリン静注療法,血漿交換などがあり,重症例では機械的人工換気も行う。

病因

原因は完全にはわかっていないが,自己免疫によるものと考えられている。

ギラン-バレー症候群は,約3分の2の患者では,ごく普通の感染症,手術,またはワクチン接種から5日~3週間後に始まる。50%以上の患者では感染症が引き金となり,最も頻度の高い病原体としては以下のものがある:

1976年の豚インフルエンザワクチン接種計画後に集団発生があったが,両者の関連性は確認バイアスに起因する疑似的なものであることが後に証明された。

免疫チェックポイント阻害薬の有害作用として,ギラン-バレー症候群に類似する症候群がある。

症状と徴候

ほとんどの患者では弛緩性の筋力低下が優勢である;弛緩性筋力低下は,常に感覚異常よりも著明で,近位部で最も顕著となることがある。錯感覚を伴う比較的対称性の筋力低下が通常は下肢から始まり上肢へと進行するが,ときに上肢または頭部から始まることもある。90%の患者では,筋力低下は通常3~4週目に最大となる。深部腱反射は消失する。通常,括約筋は侵されない筋力低下は,様々な期間(典型的には数週間)にわたり同じ水準で持続し,その後軽快する。

重症患者の半数超では,顔面および中咽頭の筋力が低下する。脱水および低栄養が起こりうる。5~10%では,気管挿管および機械的人工換気を要するほどの重度の呼吸麻痺が生じる。

少数の患者(変異型である可能性がある)には生命を脅かす重大な自律神経機能不全が生じ,それにより血圧変動,抗利尿ホルモン不適合分泌,不整脈,消化管内容物うっ滞,尿閉,および瞳孔の変化が引き起こされる。

まれな亜型(フィッシャー症候群,またはMiller-Fisher症候群)では,眼筋麻痺,運動失調,および反射消失のみが生じることもある。

診断

  • 臨床的評価

  • 電気診断検査

  • 髄液検査

ギラン-バレー症候群の診断は主として臨床的に行う。

鑑別診断

検査

感染症ならびに免疫機能障害の検査(肝炎およびHIVの検査を含む),さらに血清タンパク質電気泳動を行う。

ギラン-バレー症候群が疑われる場合は,患者を入院させ,電気診断検査(神経伝導検査および筋電図検査),髄液検査,ならびに6~8時間毎の努力肺活量測定によるモニタリングを行うべきである。3分の2の患者では,初回の電気診断検査で神経伝導速度の遅延および節性脱髄を示す所見が検出される;しかしながら,結果が正常であっても診断が除外されるわけではなく,治療を遅らせてはならない。

髄液検査でタンパク細胞解離(タンパク質が増加するにもかかわらず白血球数は正常)を認めることがあるが,この所見は最初の1週間はみられないこともあり,また10%の患者では出現しない。

まれに,頸髄圧迫―特に多発神経障害(反射低下の原因または寄与因子となる)が共存する場合および延髄障害が著明でない場合―がギラン-バレー症候群に類似することがあり,そのような症例では,MRIを施行すべきである。

予後

治療

  • 集中的な支持療法

  • 免疫グロブリン静注療法(IVIG)または血漿交換

ギラン-バレー症候群は医学的な緊急事態であり,生命機能の継続的なモニタリングとサポートが必要で,これらは典型的には集中治療室で行われる。必要に応じて呼吸補助が行えるよう,努力肺活量を頻回に測定すべきである;肺活量が15mL/kg未満であれば,気管挿管が適応となる。首を曲げて枕から頭を起こすことができないというのは,もう1つの危険徴候である;これは,横隔神経(横隔膜)の減弱と同時にしばしば生じる。

経口水分補給が困難であれば,輸液を行い,少なくとも1~1.5L/日の尿量を維持できるようにする。外傷および床上安静による圧力から四肢を保護すべきである。

温熱療法は疼痛の軽減に役立ち,理学療法の早期開始を可能にする。不動状態は強直および拘縮の原因となりうるため,回避すべきである。全可動域にわたる関節の他動運動を速やかに開始し,急性症状が治まったところで自動運動を開始すべきである。低分子ヘパリン(LMWH)は,寝たきりの患者の深部静脈血栓症を予防するのに役立つ。いくつかのランダム化試験およびメタアナリシスでは,LMWHは低用量の未分画ヘパリン(典型的には5000単位を1日2回投与)より効果的であり,出血リスクは同等であると報告されている。

早期から免疫グロブリン2g/kgを1~2日かけて静注するか,あるいはより速度を落として400mg/kg,静注,1日1回で5日間投与するのが選択すべき治療法であり,発症から最長1カ月間にわたって,いくらかの効果が得られる。

血漿交換 血漿交換 アフェレーシスとは,機器を用いて血液中の血球と水溶性成分を分離する処理のことを指す。アフェレーシスは,供血者に対してしばしば行われ,様々な患者の輸血に用いるべく全血を遠心分離して個々の成分(例,特定の重力に応じて赤血球,血小板,および血漿)を分取する。アフェレーシスは様々な疾患に対する治療目的でも用いられる(1)。 治療目的のアフェレーシスとしては,血漿交換や血球除去などがある。... さらに読む は早期に行えば有用であり,IVIGが無効の場合に用いられる。血漿交換は比較的安全であり,疾患の経過および入院期間を短縮し,死亡リスクおよび永続的な麻痺の発生率を低減する。血漿交換は以前に投与されたあらゆるIVIGを除去し,その効果を打ち消すため,IVIG投与中または投与直後に血漿交換を行うべきではない。IVIG投与中止後少なくとも2~3日待つことが推奨される。

パール&ピットフォール

  • コルチコステロイドはギラン-バレー症候群の転帰を悪化させうるため,投与しない。

コルチコステロイドは転帰を改善させることはなく,悪化させる可能性がある。

要点

  • ギラン-バレー症候群は,典型的には上行性,比較的対称性の弛緩性筋力低下に始まる。

  • まず,病歴および診察結果に基づいて,同様の症状を引き起こすその他の疾患(例,重症筋無力症,ボツリヌス症,ダニ麻痺症,ウエストナイルウイルス感染症,代謝性神経障害;米国外ではポリオ)と鑑別する。

  • 診断は主に臨床的に行うが,電気診断検査および髄液検査を施行する。

  • 約70%の患者は完全に回復するが,2~5%は慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーを発症する。

  • 集中的な支持療法が回復の鍵である。

  • 始めにIVIGを試し,効果がなければ血漿交換を行う。

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