心室細動(VF)

執筆者:L. Brent Mitchell, MD, Libin Cardiovascular Institute of Alberta, University of Calgary
レビュー/改訂 2021年 1月
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心室細動では,心室が非協調的に震動し,有効な収縮は発生しない。直ちに失神を来し,数分以内に死亡する。治療は,即時の除細動を含めた心肺蘇生による。

不整脈の概要も参照のこと。)

心室細動(VF)は複数の微小な興奮波によるリエントリー性の電気活動を原因とし,心電図上では超高速の基線の動揺として出現し,動揺のタイミングと形態は不規則である。

VFは心停止状態にある患者の約70%でみられる調律であり,したがって多くの疾患における最終的な事象である。全体的に,VFを呈するほとんどの患者は基礎心疾患を有する(典型的には虚血性心筋症であるが,肥大型もしくは拡張型心筋症,不整脈源性右室異形成症[ARVD],またはブルガダ症候群のこともある)。いずれの疾患でもVFのリスクは,電解質異常,アシドーシス,低酸素血症,虚血により上昇する。

乳児および小児では,心室細動はかなりまれであり,心停止の形態としては心静止の方がより多くみられる。

心室細動の治療

  • 除細動

  • 植込み型除細動器

心室細動の治療は除細動を含めた心肺蘇生術による。直ちに(3分以内)施行された除細動の成功率は,当初から極めて重度のポンプ不全がなければ,約95%である。そうでない場合,たとえ直ちに施行された除細動でも成功率はわずか30%であり,蘇生できた患者もほとんどが退院前にポンプ不全で死亡する。

可逆的または一過性の原因がみられないVF患者では,将来VFや突然死を起こすリスクが高い。このような患者の大半には植込み型除細動器が必要であり,その多くには,その後の心室頻拍およびVFの発生頻度を低下させるための抗不整脈薬の併用が必要である。

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