突然の視力障害の主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

診断のアプローチ†

眼痛を伴わない突然の視力障害

片眼に突然、短時間の視力障害が現れ、一過性脳虚血発作に至る(一過性黒内障と呼ばれる)

片眼の失明(数分から数時間持続)

医師の診察

脳のMRIまたはCT検査

頸動脈の超音波検査

心エコー検査(心臓の超音波検査)

心電図検査

心臓のリズムの継続的なモニタリング

網膜中心動脈(網膜に血液を供給する動脈)の閉塞

ほぼ瞬間的に、片眼の視力が完全に喪失する

動脈硬化の危険因子(高血圧、脂質異常症、タバコ喫煙など)のある人にみられる

医師の診察

血液検査による赤沈、C反応性タンパク質の濃度、血小板数の測定

ときに、脳のMRIまたはCT検査

頸動脈の超音波検査

心エコー検査(心臓の超音波検査)

心電図検査

心臓のリズムの継続的なモニタリング(ホルター心電計)

網膜中心静脈(網膜から血液を排出する動脈)の閉塞

この病気の危険因子(糖尿病、高血圧、過度に血栓ができやすい素因、鎌状赤血球症など)をもつ人にみられる

医師の診察のみ

硝子体出血(硝子体[眼球後部を満たすゼリー状の物質]への出血)

視野にほこり、糸くず、もしくはクモの巣のようなものがみえる(飛蚊症がある)人、または硝子体出血の危険因子(糖尿病、網膜の裂け、鎌状赤血球症、眼のけがなど)がある人にみられる

通常、(1~数箇所にとどまらず)視野全体に及ぶ視力障害

医師(通常は眼科医)による診察

ときに、網膜の超音波検査

巨細胞性(側頭)動脈炎(頭部、首、上半身の太い動脈の炎症で、視神経への血流を妨げる病気)

ときに、頭痛、髪を束ねるときの痛み、または噛むときの顎もしくは舌の痛み

ときに、腕または脚の大きな筋肉のうずきや硬直(リウマチ性多発筋痛症)

赤沈、C反応性タンパク質の濃度、血小板数の測定

側頭動脈の生検

虚血性視神経症(視神経への血液供給が妨げられることによる視神経の損傷)

この病気の危険因子(糖尿病や高血圧など)がある人、または極度の低血圧のエピソード(ときに失神の原因になりうる)がある人にみられる

医師の診察

赤沈、C反応性タンパク質の濃度、血小板数の測定

ときに、側頭動脈の生検

ときに、頸動脈のドプラ検査(首の静脈の超音波検査)および心エコー検査(心臓の超音波検査)

黄斑出血(加齢黄斑変性による、黄斑[網膜の中で光への感受性が最も高い部分]への出血)

通常、加齢黄斑変性があると分かっている人、または血管疾患の危険因子(高血圧、タバコ喫煙、脂質異常症など)がある人にみられる

医師の診察のみ

眼性片頭痛(視力に影響を及ぼす片頭痛)

チラチラする光または不規則な光の点がゆっくり視野を横切る現象が、約10~20分続く

ときに、視野中央のかすみ

ときに、視覚障害に続いて頭痛

しばしば、若い人または片頭痛があると分かっている人にみられる

医師の診察のみ

網膜の剥離

突然、どこからともなく稲妻、スポットライト、または星のようなものがピカッと光るのが見え(光視症)、それが繰り返し起こる

眼の一部の領域の視力障害。通常は眼の端の視野(周辺視野)が影響を受ける

カーテンのように視野を横切る視力障害

ときに、網膜剥離の危険因子(最近の眼のけが、最近の眼の手術、高度の近視など)がある人にみられる

医師の診察

ときに、眼の超音波検査

脳卒中または一過性脳虚血発作

通常、両眼の視野の同じ部分が欠ける

このような病気の危険因子(高血圧、動脈硬化、糖尿病、脂質異常症、タバコ喫煙など)がある人にみられる

ときに、話し方が不明瞭になる、眼球運動の異常、筋力低下、歩行困難

医師の診察

脳のMRIまたはCT検査

心電図検査

頸動脈の超音波検査

心エコー検査(心臓の超音波検査)

心臓のリズムの継続的なモニタリング

眼痛を伴う突然の視力障害

閉塞隅角緑内障

眼がひどくうずき、赤くなる

頭痛、吐き気、嘔吐、光への過敏

光輪視(光の周りに虹のような輪が見える)などの視覚障害

眼の内部の圧の測定(眼圧検査)

眼から液体が排出される通路を特殊なレンズで観察する(眼科医による隅角鏡検査)

角膜潰瘍(通常は細菌またはウイルスの感染症による)

しばしば、角膜に灰色がかった斑点がみられ、その後、ただれて痛みを伴うようになる

眼のうずきまたは異物感

眼が赤くなり、涙目になる

光に対する過敏性

ときに、眼にけがをした後に感染が生じた人またはコンタクトレンズをはめたまま眠った人にみられる

医師の診察

潰瘍から採取したサンプルの培養(眼科医が行う)

眼内炎

激しい眼痛、眼が赤くなる

光に対する過敏性

飛蚊症

まぶたが腫れる

ときに、眼の手術後、最近の眼のけが、眼の中の異物(例えば、金づちを金属に打ち付けた後)、眼の表面の真菌または細菌感染

直ちに眼科医の診察

眼科医による、眼の中から採取した液体の培養

多発性硬化症に関連する視神経炎(視神経の炎症)

通常、軽度の痛みがあり、眼を動かしたときに悪化する

視力障害(視力低下または失明)

まぶたと角膜は正常に見える

医師の診察

しばしば、MRI検査

*特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。

†医師の診察は必ず行われるものであり、これがこの列に記載されるのは、検査を一切することなく医師の診察だけで診断ができることがある場合だけです。 眼科医の診察が特に必要な場合は、別に記載します。

CT = コンピュータ断層撮影、赤沈 = 赤血球沈降速度、MRI = 磁気共鳴画像。