結膜炎は、細菌、ウイルス、または化学物質への反応によって引き起こされます。
症状は様々ですが、眼の炎症や目やになどがみられることがあります。
診断は通常、眼の外観に基づいて下されます。
感染は、出生後に点眼薬または眼軟膏を使用することで予防できることがあります。
感染症の治療には抗菌薬や抗菌薬軟膏が使用されます。
眼の内部の構造
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(新生児の感染症の概要 新生児の感染症の概要 感染症はどの年齢の人にも発生しますが、新生児、特に 早産児は免疫系が未発達で感染症になりやすいため、特に大きな懸念事項となります。特定の防御 抗体が胎盤(胎児に栄養を供給する器官)を介して母親から胎児に移行するとはいえ、胎児の血液中の抗体のレベルは感染症を阻止できるほど高くないためです。... さらに読む と 感染性結膜炎 感染性結膜炎 感染性結膜炎とは、通常はウイルスまたは細菌によって結膜に炎症が起きる病気です。 細菌やウイルスが結膜に感染を引き起こします。 目が赤くなるほか、流涙(りゅうるい)または目やにがよくみられる症状で、光に過敏になる人もいます。 衛生対策を行うことで、他方の眼や他の人に感染が広がるのを防ぐことができます。 細菌性結膜炎には、しばしば、抗菌薬の点眼薬が投与されます。 さらに読む も参照のこと。)
新生児の結膜炎の原因
新生児の結膜炎は、感染または眼に入った化学物質への反応によって引き起こされます(後者は化学性結膜炎と呼ばれます)。感染症は、 細菌 細菌の概要 細菌は、顕微鏡で見ることができる大きさの単細胞生物です。地球の最も初期の段階から存在している生命体の1つです。数千種類の細菌が存在し、世界中のあらゆる環境で生存しています。土壌、海水、地中深くはもちろん、放射性廃棄物の中で生きている細菌すら報告されています。多くの細菌は、人間や動物の皮膚、気道、口、消化管、尿路、生殖器の表面や内部で、何の... さらに読む または ウイルス ウイルス感染症の概要 ウイルスは、核酸( DNAかRNAのどちらか一方)と、それを覆うタンパク質の膜で構成されています。ウイルスが増殖するには、生きた細胞を必要とします。ウイルス感染症は、無症状(明らかな症状はない)から重症の病気まで、幅広い病態を引き起こします。 ウイルスへの感染は、ウイルスを飲み込んだり、吸い込んだり、虫に刺されたりするか、性的な接触を通じ... さらに読む によって引き起こされます。
母親の腟に特定の細菌が存在する場合、分娩中にそれが新生児に感染することがあります。そのような細菌の例として、 クラミジア クラミジア感染症とその他の非淋菌感染症 クラミジアによる感染症としては、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)という細菌によって引き起こされる尿道、子宮頸部、直腸の性感染症などがあります。この種の細菌は、白眼の部分を覆う膜(結膜)やのどにも感染することがあります。ウレアプラズマ属(Ureaplasma)やマイコプラズマ属(Mycoplasma)などの他の細菌が尿道の感染症を引き起こすこともあります。... さらに読む 、 肺炎球菌 レンサ球菌感染症 レンサ球菌感染症は、レンサ球菌属(Streptococcus)の細菌によって引き起こされる感染症です。これらの グラム陽性の球状細菌(球菌)(図「 細菌の形状」を参照)は、レンサ球菌咽頭炎、肺炎のほか、創傷、皮膚、心臓弁、血流の感染症など、多くの病態を引き起こします。 種類の異なる菌株が異なった経路で拡大し、例えば、せきやくしゃみ、感染が生じた傷や褥瘡(床ずれ)、経腟分娩(母親から新生児へ)を介して感染します。... さらに読む 、 インフルエンザ菌 インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症 グラム陰性細菌の一種であるインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)は、気道の感染症を引き起こし、それが他の臓器に広がることもあります。 この感染症はくしゃみ、せき、接触によって広がります。 この細菌は中耳の感染症や副鼻腔炎のほかにも、髄膜炎や喉頭蓋炎、さらには呼吸器感染症など、より重篤な感染症を引き起こします。 血液や感染組織のサンプル中でこの細菌が特定されれば、診断が確定します。... さらに読む 、 淋菌 淋菌感染症 淋菌感染症(淋病)は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という細菌によって引き起こされる性感染症で、尿道、子宮頸部、直腸、のどの粘膜や、眼の前部を覆う膜(結膜と角膜)を侵します。 通常は性的接触により感染します。 通常は、陰茎や腟から分泌物が生じたり、頻尿になったり、急に尿意を催したりします。 まれに、淋菌が関節、皮膚、心臓に感染することもあります。... さらに読む などが挙げられます。
化学性結膜炎は、感染予防のために新生児に投与される点眼薬に対する反応です。
新生児の結膜炎の症状
結膜炎の症状は、感染症の原因によって異なります。
クラミジアによる結膜炎は通常、生後5~14日目に始まりますが、遅ければ6週目以降にやっと現れることもあります。新生児のまぶたは腫れ、多量の膿を含む水っぽい目やにが出ます。この感染症は、ときに重症化します。
淋菌による結膜炎は通常、生後2~5日目に始まります。新生児のまぶたには重い炎症がみられ、化膿性の目やにがみられます。治療しないと、失明することもあります。
点眼薬などの化学物質による結膜炎は、通常、点眼から6~8時間以内に始まり、2~4日以内に自然に消失します。
その他の細菌による結膜炎は、生後4日目から数週間で始まります。
新生児の結膜炎の診断
目やにの検査
医師は新生児の症状と眼の外観を評価します。
目やにのサンプルが検査室に送られ、そこで原因微生物が特定されます。
新生児の結膜炎の予防
米国では、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による結膜炎の予防のため、出生後にすべての新生児でエリスロマイシンの軟膏または点眼薬が左右の眼に投与されます。他の国では、硝酸銀、テトラサイクリン、またはポビドンヨードが使用されることもあります。ポビドンヨードを除き、これらの物質でクラミジア(Chlamydia)による結膜炎を予防することはできません。
淋菌感染症の治療を受けていない女性から生まれた新生児は、まだ病気ではなくてもセフトリアキソンという抗菌薬の単回注射を受ける必要があります。
新生児の結膜炎の治療
抗菌薬
クラミジア(Chlamydia)による結膜炎の場合、エリスロマイシンまたはアジスロマイシンという抗菌薬が経口投与されます。
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による結膜炎の場合、入院させて、セフトリアキソンまたはセフォタキシムという抗菌薬を静脈内に注射します。
他の細菌による結膜炎には、ポリミキシン + バシトラシン、エリスロマイシン、またはテトラサイクリンを含む軟膏が使用されます。