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新生児のB型肝炎ウイルス(HBV)感染症

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

レビュー/改訂 2022年 10月
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B型肝炎は肝臓の炎症を引き起こします。

  • 新生児は出生時、または、まれに出生後に感染します。

  • 症状のある新生児には、黄疸、嗜眠、発育不良がみられます。

  • 診断は、一般に血液検査の結果に基づいて下されます。

  • 小児は後年、肝臓に異常をきたすリスクがあります。

  • 新生児を感染から保護するため、B型肝炎ワクチン、ときにB型肝炎免疫グロブリンが投与されます。

母親が感染している場合は、出産の際に感染することがあります。ただし、母親の唾液、便、尿、母乳など、他の出どころから出生後に感染することもあります。

新生児のHBV感染症の症状

B型肝炎ウイルス(HBV)に感染している新生児の大半は、出生した時点で無症状ですが、体内では感染が持続しています。

妊娠中にB型急性肝炎にかかった女性から生まれた新生児の多くは、感染しているかどうかに関係なく出生時の体重が低くなります。

まれに、感染した新生児が B型急性肝炎 B型肝炎(急性) B型急性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、持続期間が数週間から最大で6カ月の肝臓の炎症です。 B型肝炎は、違法薬物の注射を目的として滅菌していない針を共用した場合にみられるように、感染した人の血液などの体液と接触することで感染します。 B型肝炎はウイルス性肝炎の典型的な症状(食欲不振、全身のけん怠感、黄疸など)を引き起こし、劇症肝炎と呼ばれる重症の肝炎も生じることがあります。... さらに読む を発症しますが、これは通常軽度のもので、治療しなくても治ります。このような新生児には、 黄疸 新生児黄疸 黄疸とは、血流中のビリルビンの増加が原因で、皮膚や眼が黄色くなることです。ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成される、黄色い物質です。ビリルビンは血流によって肝臓に運ばれ、胆汁(肝臓で作られる消化液)の一部として肝臓から排泄されるように処理されます。肝臓でのビリルビンの処理において、ビリルビンは抱合と呼ばれる過程で別の化学物質に結合し... さらに読む 新生児黄疸 (皮膚や眼が黄色くなる)、嗜眠、 発育不良 発育不良 発育不良とは、体重増加と体の成長の遅れのことをいい、発達や成熟の遅れにつながります。 病気や適切な栄養をとれないことが原因で発育不良が起こります。 小児の成長曲線、身体診察、健康歴、家庭環境に基づいて診断を下します。 生後1年間の栄養が不足すると、小児に発達の遅れが生じることがあります。 治療法としては、栄養のある食事や病気の治療などがあります。 さらに読む 、腹部の膨隆、粘土色の便がみられます。まれに、感染症が重症化して死に至ることがあります。

新生児のHBV感染症の診断

  • 血液検査

新生児のHBV感染症の予後(経過の見通し)

B型慢性肝炎の長期的な予後は予測できませんが、人生の早い段階での慢性感染は、 慢性肝炎 慢性肝炎の概要 慢性肝炎は、肝臓の炎症が最低6カ月以上持続する病気です。 一般的な原因としては、B型およびC型肝炎ウイルス、特定の薬などがあります。 ほとんどの場合は無症状ですが、全身のけん怠感、食欲不振、疲労などの漠然とした症状がみられることもあります。 慢性肝炎は、肝硬変のほか、最終的には肝臓がんや肝不全に進行することがあります。 診断を確定するために生検が行われることもありますが、慢性肝炎は通常、血液検査の結果に基づいて診断が下されます。 さらに読む 肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。肝硬変はかつては不可逆的と考えられていましたが、最近の科学的証拠から一部の症例では可逆的であることが示唆されています。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的な アルコール乱用、 慢性ウイルス性肝炎、... さらに読む 肝硬変 移植 肝移植 肝移植とは、健康な肝臓またはときに生きている人から肝臓の一部を手術で摘出し、肝臓が機能しなくなった人に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 肝移植は2番目に多い臓器移植です。肝臓が機能しなくなった人々に残された唯一の選択肢です。 完全な形の肝臓は死亡した人からしか提供を受けられませんが、肝臓の一部であれば生きているドナーでも提供できます。移植用の肝臓は摘出後、最長で18時間保存できます。... さらに読む を必要とする末期肝疾患、 肝臓がん 原発性肝臓がん 原発性肝臓がんとは、肝臓から発生するがんのことです。最もよくみられる原発性肝臓がんは 肝細胞がんです。肝臓がんの初期には、通常は漠然とした症状(体重減少、食欲不振、疲労など)しかみられません。そのために診断が遅れることがよくあり、多くの場合、予後(経過の見通し)は不良です。 ( 肝腫瘍の概要も参照のこと。) その他の原発性肝臓がんはまれです。診断には通常、 生検が必要です。この種のがんを発症した人の予後(経過の見込み)は、ほとんどの場合... さらに読む など、その後の肝疾患のリスクを高めることが知られています。

治療と予防

  • 症状を改善する治療と十分な栄養補給

  • ワクチン接種

  • 場合により免疫グロブリン製剤

医師は、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる問題を治療します。患児に十分な栄養を与えることは特に重要です。

感染した母親から生まれた新生児には、B型肝炎に対する抗体製剤であるB型肝炎免疫グロブリンも投与されます。ワクチンの初回接種と免疫グロブリンの投与は、出生後12時間以内に行われます。

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