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虚血性大腸炎

執筆者:

Parswa Ansari

, MD, Hofstra Northwell-Lenox Hill Hospital, New York

レビュー/改訂 2021年 9月
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本ページのリソース

虚血性大腸炎は、血流が絶たれたために起こる大腸の損傷です。

  • 腹痛と血便がよくみられます。

  • 通常はCT検査が行われ、ときに大腸内視鏡検査が行われます。

  • 大半の人は、静脈から水分を補給(輸液)しながら、絶食することで回復しますが、手術が必要な人もわずかにいます。

虚血性大腸炎は、大腸に血液を送る動脈の血流が阻害されることで起こります。血流が減少した原因については分からないことも多いのですが、心臓や血管の病気のある人、大動脈の手術を受けた人、血液が凝固しやすい問題がある人に比較的多くみられます。虚血性大腸炎は主に60歳以上の人に発生します。

血流が減少することで、大腸壁の粘膜やその内側の層の損傷が起こり、大腸粘膜に潰瘍(かいよう)が生じて出血する場合もあります。

虚血性大腸炎の症状

通常は腹痛があります。左側が痛むことが多いのですが、腹部のどこでも痛みが現れる可能性があります。軟便がよくみられ、しばしば一緒に赤暗色のかたまりが出ることがあります。ときに便を伴わず鮮血のみが排泄される場合もあります。微熱(通常は37.7℃未満)がよくみられます。

虚血性大腸炎の診断

  • CT検査またはときに大腸内視鏡検査

通常は CT検査 消化管のCT検査とMRI検査 CT検査( CT検査)とMRI検査( MRI検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。通常、虫垂や憩室などの炎症( 虫垂炎や 憩室炎など)も検出できます。ときに、X線照射や手術のガイド役としてこれらの検査を用いることもあります。 消化管のCT検査とMRI検査では、造影剤(画像検査に写る物質)を投与して、... さらに読む やときに 大腸内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。 口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。 肛門から挿入する内視鏡検査では、直腸(肛門鏡検査)、大腸下部と直腸と肛門(S状結腸内視鏡検査)、大腸全体と直腸と肛門(大腸内視鏡検査)が観察できま... さらに読む (観察用の柔軟な管状の機器による大腸の検査)が行われ、虚血性大腸炎とその他の炎症(感染症や 炎症性腸疾患 炎症性腸疾患(IBD)の概要 炎症性腸疾患とは、腸に炎症が起き、しばしば腹痛と下痢が繰り返し起こる病気です。 炎症性腸疾患としては、主に以下の2種類の病気があります。 クローン病 潰瘍性大腸炎 この2つの病気には多くの共通点があり、ときに判別が難しいことがあります。しかし2つの病気にはいくつかの違いがあります。例えば、クローン病は消化管のほぼすべての部分に起こりうるの... さらに読む など)が判別されます。

虚血性大腸炎の予後(経過の見通し)

虚血性大腸炎のほぼすべての患者が1~2週間で改善し回復します。しかし、血液供給の阻害がより重度またはより長期間にわたる場合は、大腸の患部を手術で切除しなければならないことがあります。まれに、回復しても、後に患部に瘢痕(はんこん)組織が生じることがあります。

虚血性大腸炎の治療

  • 輸液

  • 抗菌薬

  • まれに手術による修復

瘢痕組織が生じた場合は、手術による修復が必要になる可能性があります。

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