青年期の肥満は,30年前と比較して今や倍増しており,青年クリニック受診の最も多い理由の1つである。肥満成人が青年期も肥満であった割合は3分の1以下であるが,肥満青年は,ほとんどの場合成人になっても肥満のままである。
肥満 肥満 肥満とは,体重が過度に重い状態であり,BMI(body mass index)が30kg/m2以上である場合と定義されている。合併症として,心血管疾患(特に過剰な腹部脂肪のある人),糖尿病,特定のがん,胆石症,脂肪肝,肝硬変,変形性関節症,男女の生殖障害,精神障害,およびBMIが35以上の人での若年死などがある。診断... さらに読む 合併症の大半は成人で発現するが,肥満青年は肥満ではない同世代の者に比べ血圧が高い可能性が高い。肥満に関連するインスリン抵抗性により,青年期の2型 糖尿病 小児および青年における糖尿病 糖尿病にはインスリン分泌の欠乏(1型)または末梢のインスリン抵抗性(2型)が関連し,結果,高血糖が生じる。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および体重減少などがある。診断は血漿血糖値の測定による。治療は病型によって異なるが,血糖降下薬,食事,および運動などである。 (成人の 糖尿病も参照のこと。) 小児の糖尿病の種類は成人のものと同様であるが,心理社会的な問題が異なり,これが治療を複雑にする。... さらに読む の発生頻度が増加している。社会が肥満を恥ずべきものとしていることから,多数の肥満青年の自己評価は低く,ますます運動不足になり社会的に孤立する。
病因
青年で肥満に影響する因子は,成人でみられる因子と同じである。ほとんどの症例は外的因子(例,摂取カロリー過剰および/または質の低い食事)によるものであり,しばしば座位時間の長い生活習慣と関連している。遺伝的影響は多くみられ,今では原因遺伝子が同定されている。( Professional.see also page 肥満およびメタボリックシンドローム 肥満およびメタボリックシンドローム )。
しばしば親は肥満が 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏である。診断は典型的な顔貌,嗄声および言語緩徐,乾燥皮膚などの臨床的特徴,ならびに甲状腺ホルモン低値による。サイロキシン投与などにより管理を行う。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺機能低下症は年齢を問わず生じるが,特に高齢者でよくみられ,その場合症状が軽微で認識しにくい可能性がある。甲状腺機能低下症は以下に分類される: 原発性:甲状腺の疾患に起因する... さらに読む または副腎皮質機能亢進症などの何らかの内分泌疾患の結果ではないかと心配するが,そのような疾患が原因であることはまれである。内分泌疾患によって体重が増加した青年は,通常低身長であり,基礎にある疾患の他の徴候がみられる。
診断
Body mass index
body mass index 診断 肥満とは,体重が過度に重い状態であり,BMI(body mass index)が30kg/m2以上である場合と定義されている。合併症として,心血管疾患(特に過剰な腹部脂肪のある人),糖尿病,特定のがん,胆石症,脂肪肝,肝硬変,変形性関節症,男女の生殖障害,精神障害,およびBMIが35以上の人での若年死などがある。診断... さらに読む (BMI)の算出は身体評価の重要な側面の1つである。BMI値が年齢別かつ男女別の95%パーセンタイル以上である青年を肥満とする。
原発性の内分泌疾患(例,副腎皮質機能亢進症,甲状腺機能低下症)または代謝疾患が原因となることはまれであるが,身長の伸びが著しく遅れている場合は,これらを除外すべきである。低身長で高血圧がある場合は, クッシング症候群 クッシング症候群 クッシング症候群は,血中のコルチゾールまたは関連するコルチコステロイドの慢性高値によって引き起こされる一群の臨床的な異常である。クッシング病は下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)過剰産生に起因するクッシング症候群であり,通常は下垂体腺腫に続発する。典型的な症状および徴候には,満月様顔貌および中心性肥満,紫斑ができやすい,ならびにやせた四肢などがある。診断はコルチコステロイド使用歴または血清コルチゾールの上昇および/または比較的自律的... さらに読む を考慮すべきである。
治療
健康な食生活および運動習慣
多くの治療アプローチがあるにもかかわらず,肥満は最も治療困難な問題の1つであり,長期的な治療成功率は依然として低い。肥満青年に対する介入は,減量の具体的な数値目標ではなく,健康な食生活および運動習慣の確立に焦点を当てるべきである。摂取カロリーの減少は以下の方法により行う:
通常の食物で構成されるバランスの良い食事の確立
食習慣の永続的な変更
カロリー燃焼の増加は以下の方法により行う:
身体活動の増加
肥満青年に対するサマーキャンプは,大幅な減量に有用であるが,努力を継続しなければ,通常は体重が元に戻る。青年が自尊心の低さなどの問題に対処するのを支援するためのカウンセリングが役立つこともある。
減量のための薬剤は,安全性および乱用に対する懸念から青年期では一般的に使用されていない。1つの例外は,肥満青年が2型糖尿病の濃厚な家族歴を有する場合である。そのような青年は,糖尿病を発症するリスクが高い。メトホルミンという薬剤は糖尿病の治療に用いられるが,そのような青年の減量にも有用であり,また糖尿病を発症するリスクの低減にも有用である。