肥満は青年で増加しており,米国では青年の約5人に1人が肥満である(1)。青年期の肥満は成人期まで持続する傾向がある。
肥満合併症の大半は成人で発現するが,肥満のある青年は肥満ではない同世代の者と比べて高血圧を有する可能性が高い。肥満に関連するインスリン抵抗性により,青年期の2型糖尿病の発生頻度が増加している。社会が肥満を恥ずべきものとしていることから,肥満のある青年の多くは,嘲笑やいじめを受け,その結果ますます運動不足になり社会的に孤立する。
(成人の肥満も参照のこと。)
参考文献
1.Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Childhood Obesity Facts.Accessed September 17, 2024.
青年期の肥満の病因
青年期の肥満には多くの環境因子が関連しており,具体的には健康に関する様々な社会的決定因子,グリセミック指数の高い食品の遍在性,健康的な食品を入手できない状況,デジタルおよび電子媒体の使用に伴う座位習慣,睡眠障害などがある。遺伝因子が主要な役割を果たしているようであり,特異的な遺伝子多型が研究されている。
内分泌疾患は肥満のまれな原因であり,考えられる基礎疾患としては甲状腺機能低下症,偽性副甲状腺機能低下症,コルチゾール過剰,成長ホルモン欠損症などがある。内分泌疾患によって体重が増加した青年では,通常は基礎疾患の他の徴候がみられる。
青年期の肥満の診断
病歴聴取および身体診察
BMI(body mass index)
適応があれば,併存症または内分泌疾患の評価
臨床的な定義としては以下のものがある(パーセンタイルは年齢および性別が同じ小児および青年と比較した場合である)(1):
過体重:BMIが85パーセンタイル以上95パーセンタイル未満
肥満:BMIが95パーセンタイル以上
2度肥満:95パーセンタイルの120%以上140%未満またはBMIが35kg/m2以上40kg/m2未満(年齢と性別に基づくいずれか低い方)
3度肥満:95パーセンタイルの140%以上またはBMIが40kg/m2以上(年齢と性別に基づくいずれか低い方)
BMIは臨床診療における指標として一般的に用いられているが,その値は筋肉量,骨密度,全体的な身体組成,人種差,性差のいずれも考慮されていないため,判断を誤る可能性がある。
原発性の内分泌疾患(例,コルチゾール過剰,甲状腺機能低下症)または代謝疾患が原因となることはまれであるが,身長の伸びが著しく遅れている場合は,これらを除外すべきである。低身長の小児に高血圧がみられる場合は,クッシング症候群を考慮すべきである。
合併症(例,糖尿病,高血圧,脂質異常症,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,精神疾患)が診断されたか疑われる場合は,臨床検査,追加検査,または専門医への紹介を行う。
診断に関する参考文献
1.Hampl SE, Hassink SG, Skinner AC, et al.Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Treatment of Children and Adolescents With Obesity [published correction appears in Pediatrics. 2024 Jan 1;153(1):e2023064612. doi:10.1542/peds.2023-064612]. Pediatrics.2023;151(2):e2022060640.doi:10.1542/peds.2022-060640
青年期の肥満の治療
行動および生活習慣の是正
12歳以上でBMIが95パーセンタイル以上の青年には,減量薬を考慮してもよい
BMIが95パーセンタイルの120%以上である13歳以上の青年では,減量・代謝改善手術のための評価
肥満の全ての小児および青年には,栄養,身体活動,および健康にかかわる行動を対象とした健康および生活習慣の集中的な改善戦略を授けるべきである。
12歳以上で肥満(BMIが年齢および性別の95パーセンタイル以上)の青年には,減量のための薬剤を勧めてもよい(1)。
2度または3度の肥満(BMIが年齢および性別の95パーセンタイルの120%以上または140%以上)のある13歳以上の青年は,減量・代謝改善手術の評価のために紹介してもよい(1)。
治療に関する参考文献
1.Hampl SE, Hassink SG, Skinner AC, et al.Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Treatment of Children and Adolescents With Obesity [published correction appears in Pediatrics. 2024 Jan 1;153(1):e2023064612. doi: 10.1542/peds.2023-064612]. Pediatrics.2023;151(2):e2022060640.doi:10.1542/peds.2022-060640



