脳室上衣腫

執筆者:Renee Gresh, DO, Nemours A.I. duPont Hospital for Children
レビュー/改訂 2019年 7月
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脳室上衣腫は脳室系に生じる増殖速度の遅い中枢神経系腫瘍である。診断はMRIおよび生検に基づく。治療は手術,放射線療法,および化学療法の併用により行う。

脳室上衣腫は小児の中枢神経系腫瘍で3番目に多く(星細胞腫および髄芽腫に次ぐ),小児脳腫瘍の10%を占める。診断時の平均年齢は6歳であるが,脳室上衣腫の約30%は3歳未満の小児に発生する。

脳室上衣腫は脳室系の上衣層に由来する。最大70%までの脳室上衣腫が後頭蓋窩に発生する;後頭蓋窩に発生した本腫瘍は悪性度(high-gradeかlow-grage)を問わず,脳幹へ局所浸潤する傾向がある。

症状と徴候

最初の症状は,典型的には頭蓋内圧亢進に関連するものである。乳児は発達遅滞および易刺激性を呈することがある。

情緒,パーソナリティ,または集中力に変化が生じる場合がある。痙攣,平衡障害および歩行障害,または脊髄圧迫症状(例,背部痛,尿失禁および便失禁)が起こることがある。

診断

  • MRI

  • 生検検体または切除腫瘍全体の組織学的評価

脳室上衣腫の診断はMRIに基づく。

確定診断は,初回来院時に生検または理想的には肉眼的全摘出により得た腫瘍組織を用いて行う。

予後

生存率は年齢および腫瘍の摘出度に依存する:

  • 完全摘出またはほぼ完全摘出:51~80%

  • 切除が90%未満:0~26%

生存した小児には神経脱落症状のリスクがある。

治療

  • 外科的切除,通常次いで放射線療法

  • ときに化学療法

外科的切除が重要であり,摘出度が最も重要な予後因子の1つである。

放射線療法は生存率を高めることが示されており,手術後に施行すべきであるが,放射線療法を受けない脳室上衣腫患者のごく一部は手術単独で治癒する可能性がある。

化学療法は生存率を改善することが明らかに示されているわけではないが,一部の患児では,肉眼的全摘出または二次手術前に腫瘍を縮小させるために使用される場合がある。

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