髄芽腫

執筆者:Renee Gresh, DO, Nemours A.I. duPont Hospital for Children
レビュー/改訂 2019年 7月
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髄芽腫は浸潤性で急速に増殖する小児中枢神経系腫瘍であり,後頭蓋窩(脳幹と小脳を含む)に生じる。診断はMRIおよび生検/腫瘍切除に基づく。治療は手術,放射線療法,化学療法の併用により行う。

髄芽腫は小児で最もよくみられる後頭蓋窩の悪性腫瘍であり,小児の中枢神経系腫瘍としては2番目に多い(全体の約20%)。3~4歳および8~10歳の二峰性のピークを示すが,小児期を通じて生じる可能性がある。髄芽腫は未分化神経外胚葉性腫瘍(PNET)の一種である。

ほとんどの患者で髄芽腫の病因は不明であるが,髄芽腫は特定の症候群(例,Gorlin症候群,Turcot症候群)で発生することがある。

症状と徴候

患児は,嘔吐,頭痛,悪心,視覚変化(例,複視),および不安定歩行または巧緻運動障害を呈することが多い。

診断

  • MRI

  • 生検検体または切除腫瘍全体の組織学的評価

ガドリニウム造影MRIは,髄芽腫が疑われる場合の初期評価で選択すべき検査である。確定診断は,初回来院時に生検または理想的には肉眼的全摘出により得た腫瘍組織を用いて行う。

髄芽腫では,初期診断が確立した後は,病期診断およびリスク群の判定が極めて重要である。

病期診断検査としては以下のものがある:

  • 脊椎全体のMRI

  • 髄液細胞診用の腰椎穿刺

  • 残存腫瘍評価のための術後MRI

リスク評価は残存腫瘍の量と病変の進展を示す所見に基づいて行う。

  • 高リスク:術後残存病変が1.5cm2以上または顕微鏡的もしくは肉眼的播種性病変が認められる。

  • 平均リスク:術後残存病変が1.5cm2未満で,播種が認められない。

予後

予後は,腫瘍の病期,組織型,および生物学的(例,組織学的,細胞遺伝学的,分子生物学的)パラメータと患者の年齢に依存するが,一般に以下のことが言える:

  • 3歳未満:5年無病生存率は,腫瘍が高リスクの場合50~60%,平均的リスクの場合80%である。

  • 3歳以上:予後はより不良であり,その理由の1つとして,診断時に最高40%の患児で播種が起きていることが挙げられる。生存した小児には長期の重度神経認知障害(例,記憶,言語学習,および遂行機能)のリスクがある。

治療

  • 手術,放射線療法,および化学療法

髄芽腫の治療には,手術,放射線療法,および化学療法などがある。3歳未満の患児の一部で化学療法単独による治癒が示されている。自家造血幹細胞移植も一部の患児の治療に用いられることがある。典型的には併用療法で最良の長期生存が得られる。

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