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乳頭分泌物

執筆者:

Mary Ann Kosir

, MD, Wayne State University School of Medicine

レビュー/改訂 2020年 9月
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本ページのリソース

乳頭分泌物は妊娠または授乳中でない,特に妊娠可能年齢の女性で一般的な愁訴である。乳頭分泌物は,閉経後女性であっても必ずしも異常ではないが,男性では常に異常である。色に関係なく,自発性で片側性の乳頭分泌物は異常とみなされる。

乳頭分泌物は漿液性(黄色),粘液性(透明で水様性),乳白色,血液性(血性),膿性,複数の色で粘着性,または漿液血性(ピンク色)であることがある。自然に起こることもあれば乳房の触診に反応してのみ起こることがある。

病態生理

病因

多くの場合,乳頭分泌物の原因は良性である(乳頭分泌物の主な原因 乳頭分泌物の主な原因 乳頭分泌物の主な原因 の表を参照)。がん(通常,乳管内癌または浸潤性乳管癌)によるものは,症例の10%未満である。残りは,良性の乳管疾患(例,乳管内乳頭腫,乳管拡張, 線維嚢胞性変化 病因 病因 ),内分泌疾患(例,下垂体腫瘍,甲状腺機能低下症),肝疾患,乳房膿瘍または感染,または特定の薬剤の使用から生じる。これらの原因の中で乳管内乳頭腫がおそらく最も一般的である;乳房腫瘤を認めない血性乳頭分泌物の最も頻度の高い原因でもある。

内分泌系の原因にはプロラクチン濃度の上昇(多くの原因による)が関与する。

評価

病歴

現病歴には以下を含めるべきである:

システムレビュー(review of systems)では,以下のような可能性のある原因を示唆する症状がないか検討すべきである:

既往歴の聴取では,不妊,高血圧,抑うつ,授乳,月経パターン,およびがんの既往だけでなく,慢性腎不全,妊娠,肝疾患,甲状腺疾患などの高プロラクチン血症の原因となりうる病態を対象に含めるべきである。医師は,経口避妊薬,降圧薬(例,メチルドパ,レセルピン,ベラパミル),H2受容体拮抗薬(例,シメチジン,ラニチジン),オピオイドおよびドパミンD2拮抗薬(例,フェノチアジン系薬剤および三環系抗うつ薬を含む多くの向精神薬)などのプロラクチン放出を起こしうる薬剤について具体的に尋ねるべきである。

身体診察

身体診察では乳房に焦点を置く。乳房を視診して,対称性,皮膚の陥凹,紅斑,腫脹,乳頭と皮膚の色の変化,痂皮形成,潰瘍,または乳頭陥没がないか確認する。乳房を触診して,腫瘤および腋窩または鎖骨上部のリンパ節腫脹の所見がないか確認する。自発性の乳頭分泌がなければ,乳頭周囲を系統的に触診して分泌を誘発し,分泌に関連する特定の部位があれば同定する。

乳頭分泌物が単独の乳管に由来するものか複数の乳管に由来するものかを判定するには,明るい照明下で拡大レンズを使用することが役に立つ。

警戒すべき事項(Red Flag)

特定の所見には特に注意が必要である:

  • 自発性の分泌物

  • 年齢40歳以上

  • 片側性の分泌物

  • 血性またはグアヤック法陽性の分泌物

  • 触知可能な腫瘤

  • 男性

所見の解釈

重要な鑑別点を以下に示す:

  • 腫瘤が存在するか

  • 分泌物を片方または両方の乳房に認めるか

  • 分泌物は血性(グアヤック法陽性を含む)であるか

腫瘤が存在する場合は,がんを考慮しなければならない。初診時からがんが両側乳房や複数の乳管を侵していることはまれであるため,両側性かつグアヤック法陰性の分泌物は内分泌系の原因を示唆する。しかしながら,分泌物がグアヤック法で陽性の場合は,両側性であってもがんを考慮しなければならない。

以下のいずれかが存在する場合,乳房疾患の経験が豊富な外科医とのフォローアップが必要である:

  • 乳房腫瘤

  • 血性(またはグアヤック法陽性の)分泌物

  • 自発性で片側性の分泌物

  • マンモグラフィーまたは超音波検査で過去に異常が認められたことがある

他の示唆する所見については, 乳頭分泌物の主な原因 乳頭分泌物の主な原因 乳頭分泌物の主な原因 の表を参照。

検査

内分泌系の原因が疑われる場合は,以下を測定する:

  • プロラクチン濃度

  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)値

分泌物がグアヤック法陽性の場合,以下を行う:

  • 細胞診

触知可能な腫瘤を認める場合,乳房腫瘤同様の評価を行い,通常以下から始める:

  • 超音波検査

嚢胞様病変はときに吸引し,充実性腫瘤および吸引後残存する腫瘍はマンモグラフィーで評価し,その後画像ガイド下に生検を行う。

腫瘤は認めないが,その他の点ではがんが疑われる場合または他の検査が確定的でない場合は以下を行う:

  • マンモグラフィー

異常結果は画像ガイド下生検で評価する。マンモグラフィーと超音波検査で原因が同定されず,分泌物が自発性で単一の乳管または片側乳房から生じる場合は,乳管造影(乳管に造影剤を注入して撮影)を行うことがある。

治療

乳頭分泌物の治療は原因に基づいて行う。

原因が良性で,分泌が持続し不快な場合は,外来で終末乳管を切除することができる。

要点

  • 乳頭分泌物はほとんどの場合良性である。

  • 両側性で複数の乳管から生じるグアヤック法陰性の分泌物は,通常良性で内分泌的病因をもつ。

  • 自発性で片側性の分泌物は診断検査が必要である;このタイプの分泌物は,特に血性(またはグアヤック法陽性)の場合にがんであることがある。

  • 乳房腫瘤,血性(またはグアヤック法陽性)分泌物,マンモグラフィーまたは超音波検査で過去に異常を指摘されている場合は,乳房疾患の経験豊富な外科医によるフォローアップが必要である。

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