副鼻腔癌

執筆者:Bradley A. Schiff, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine
レビュー/改訂 2021年 1月
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副鼻腔癌はまれである。通常は扁平上皮癌であるが,腺癌の場合もあり,上顎洞および篩骨洞に最も多く発生する。大半の症例では原因不明であり,症状は遅れて発生し,生存率は一般に低い。

頭頸部腫瘍の概要も参照のこと。)

副鼻腔癌は,米国ではまれであるが,日本および南アフリカのバンツー族ではより一般的である。40歳以上の男性に最も多く発生する。

原因は不明であるが,慢性副鼻腔炎は原因ではないと考えられている。ヒトパピローマウイルス(HPV)およびエプスタイン-バーウイルス(EBV)が一部の症例で役割を果たしている可能性がある。危険因子としては以下のものがある:

  • 特定の種類の木材,革,または金属粉塵の定期的な吸入

  • 喫煙

症状と徴候

副鼻腔にはがんが増殖する空間があるため,通常はがんがかなり進行するまで症状が発生しない。がんによって隣接する構造に局所的な圧力がかかる結果,以下の症状が生じる:

  • 疼痛

  • 鼻閉および鼻漏

  • 鼻出血

  • 複視

  • 耳痛または耳閉感

  • 顔面の錯感覚

  • 患側副鼻腔下の上顎歯の動揺

ときに口腔または鼻腔から腫瘍が見える。

診断

  • 内視鏡検査と生検

  • CTおよびMRI

腫瘍の位置を特定し病期分類に役立てるために,内視鏡検査,CT,およびMRIが最も多く用いられる。生検により細胞の種類が確定する。脳,顔面,頸部,肺,およびリンパ節への腫瘍の広がりについての評価を含む病期分類が,治療の決定に役立つ。

予後

早期に治療するほど,予後は良好となる。予後は組織型によっても異なる。生存率は向上しているが,一般に低いままである。全体で,約40%の患者に再発がみられ,5年生存率は約60%である。

治療

  • 手術

  • しばしば放射線療法

  • ときに化学療法

大半の早期副鼻腔癌に対する治療は,完全な外科的切除である。手術手技,特に内視鏡的手技の最近の進歩により,ときに腫瘍の完全切除,周辺組織の温存,および再建が可能である。再発のリスクが高い場合,術後に放射線療法を行う。外科的切除が現実的でない,または過度の合併症を引き起こすと考えられる場合,放射線療法および化学療法の併用療法が用いられることがある。一部の症例では,腫瘍を縮小するために化学療法が用いられ,腫瘍が化学療法によく反応すれば,外科的に切除する。反応しない場合は,放射線療法で腫瘍を治療できる。

より詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. National Cancer Institute’s Summary: Paranasal Sinus and Nasal Cavity Cancer Treatment

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