徹底的な病歴聴取が基本であり,これを検査で代用することはできない。他の器官系に生じているように見える症状(例,呼吸困難,消化不良)の多くは,しばしば心疾患によって引き起こされるので,病歴聴取の際には徹底的な系統的症状把握(systems review)を行う必要がある。多くの心疾患(例,冠動脈疾患,全身性高血圧,大動脈二尖弁,肥大型心筋症,僧帽弁逸脱症)には遺伝的基盤があるため,家族歴を聴取する。
重篤な心症状としては,胸痛または胸部不快感,呼吸困難,筋力低下,疲労,動悸,ふらつき,卒倒感,失神,浮腫などがある。これらは複数の心疾患で共通してみられる症状であり,また心疾患以外でもよくみられる。