サルコイドーシスにおける臓器別病変

サルコイドーシスにおける臓器別病変

臓器

推定頻度

備考

> 90%

肺胞中隔ならびに細気管支および気管支の壁に肉芽腫を形成し,びまん性肺疾患を引き起こす

まれに肺動脈および肺静脈が侵される可能性もあり,肺高血圧を引き起こす

しばしば症状を伴わず,胸部画像検査(胸部X線またはCT)で偶然発見される。

多くの患者では自然に消失するが,進行性の肺機能不全を引き起こすこともあり,その結果,身体機能制限,空洞性病変,呼吸不全,およびまれに死に至ることもある

全身

80%

疲労感,慢性疼痛,および線維筋痛症

皮膚

25%

結節性紅斑

  • 下肢前面の赤色または変色した,硬結して圧痛のある結節

  • 欧州系,プエルトリコ系,およびメキシコ系の人々により多くみられる

  • 通常3~6カ月以内に軽快するが,再発することがある

  • 周囲の関節にしばしば炎症がみられる(Löfgren症候群)

  • 予後良好の徴候である可能性がある

  • サルコイドーシスに特徴的な肉芽腫はみられないため,結節性紅斑の生検は不要である

よくみられる皮膚病変:

  • 小斑点

  • 斑状皮疹および丘疹

  • 皮下結節

  • 色素減少

  • 色素沈着

凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス):

  • 鼻,頬,口唇,および耳介に生じる紫色の局面

  • アフリカ系アメリカ人およびプエルトリコ人の患者により多くみられる

  • しばしば肺線維症と関連する

  • 予後不良の徴候である

リンパ節

  • 胸部リンパ節

  • 胸郭外リンパ節

胸部リンパ節:90%

胸郭外リンパ節:15%

ほとんどの患者で肺門部,または縦隔病変

少数の患者で,腹腔内または圧痛を伴うことも伴わないこともある末梢(頸部,腋窩または鼠径部)のリンパ節腫脹

肝臓

12%

通常は無症候性

肝機能検査値は軽度上昇し,造影CTで高吸収病変として出現

まれに,臨床的に有意な胆汁うっ滞または肝硬変がみられる

肝病変のみのサルコイドーシスである場合,サルコイドーシスと肉芽腫性肝炎との区別ははっきりしない

12%

ぶどう膜炎(最も多い)は,霧視,羞明,および流涙を起こす

失明に至ることもある

多くの患者では自然に消失する

結膜炎,虹彩毛様体炎,脈絡網膜炎,涙嚢炎,涙腺への浸潤によるドライアイ,視神経炎,緑内障,または白内障を起こすことがある

眼病変はアフリカ系アメリカ人と,日本人を祖先にもつ患者に多い

疾患早期発見のため毎年のスクリーニングが適応となる

精神

10%

抑うつはよくみられるが,サルコイドーシスの初発症状であるか長引く疾患の経過および頻回の再発に対する反応であるかは不明である

脾臓

10%

通常は無症候性

左上腹部痛および血小板減少を呈するか,超音波またはCTで偶然発見される

神経

< 10%

脳神経障害,特に第7脳神経(顔面神経麻痺を起こす)または第8脳神経(難聴を起こす)の障害

視神経障害および末梢神経障害(よくみられる)

どの脳神経も侵される可能性がある

中枢神経系の神経障害,結節性病変またはびまん性の髄膜の炎症を伴い典型的には小脳および脳幹に生じる

視床下部および下垂体茎への浸潤は,汎下垂体機能低下症を起こす可能性がある

バソプレシン分泌低下症,過食および肥満,ならびに体温調節能力および性欲の変化

上気道

< 10%

鼻粘膜および副鼻腔粘膜に急性および慢性の肉芽腫性炎症がみられ,アレルギー性および感染性の一般的な副鼻腔炎の症状と区別がつかない;凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス)の患者でより多くみられる

喉頭病変は声帯上の結節および嗄声として現れる

気管病変は気管狭窄につながる可能性がある(まれ)

生検で診断を確定する

血液

< 5~30%

リンパ球減少

肉芽腫が骨髄に浸潤することで貧血が生じ,ときに汎血球減少を起こす

Splenic sequestration(脾臓での血球の滞溜)は血小板減少の原因となる

白血球減少

5%

溶骨性または嚢胞性病変,大半が無症状

骨減少症

< 5%

伝導ブロックおよび不整脈(最も多い),ときに突然死を引き起こす(心臓サルコイドーシス

拘束型心筋症(原発性)または5群の肺高血圧症(多因子性)による心不全

一過性の乳頭筋機能不全および心膜炎(まれ)

日本人を祖先にもつ人でより頻度が高く,この集団では心筋症がサルコイドーシス関連死の最多の原因である

口腔

< 5%

無症候性の耳下腺腫脹(最も多い)

口腔乾燥症を伴う耳下腺炎

ぶどう膜炎,両側耳下腺腫脹,顔面麻痺,および慢性発熱を特徴とするHeerfordt症候群(ぶどう膜耳下腺熱)

口腔内凍瘡状狼瘡(びまん浸潤型皮膚サルコイドーシス)では,硬口蓋の変形ならびに,頬,舌,および歯肉病変を来しうる

< 1%

大半の患者において,酵素の上昇を伴うまたは伴わない無症候性の疾患である

ときに潜行性または急性のミオパチーがみられ,筋力低下を伴う

関節

  < 1%

足関節,膝関節,手関節,および肘関節の関節炎(最も多い)

Jaccoud変形または指炎を伴う慢性関節炎を呈することがある

Löfgren症候群(急性移動性多関節炎,結節性紅斑,および肺門リンパ節腫脹の三徴)

< 1%

無症候性高カルシウム尿症(最も多い)

間質性腎炎

慢性高カルシウム尿症による腎結石症および腎石灰化症に起因する慢性腎臓病を生じ,一部の患者では腎代替療法(透析または移植)が必要となる

消化管

まれ

肉芽腫による胃病変(症状を伴わないまたはPPIに反応しない胃炎)が最もよくみられる

各筋肉の肉芽腫病変による中咽頭または食道嚥下困難

まれに,四肢,結腸,または直腸の病変

腹痛を引き起すことがある腸間膜リンパ節腫脹

内分泌

まれ

視床下部および下垂体茎への浸潤は,汎下垂体機能低下症を起こす可能性がある

機能障害を伴わない甲状腺浸潤を引き起こすことがある

高カルシウム血症による続発性副甲状腺機能低下症

胸膜

まれ

リンパ球を含む滲出性胸水が通常両側性に生じる

生殖器

まれ

子宮内膜,卵巣,精巣上体,および精巣の病変に関する症例報告がある

妊孕性への影響はない

妊娠中に軽快し,分娩後に再発することがある

CT = コンピュータ断層撮影;PPI = プロトンポンプ阻害薬

Data from Baughman RP, Teirstein AS, Judson MA, et al.Clinical characteristics of patients in a case control study of sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 2001;164(10 Pt 1):1885-1889.doi:10.1164/ajrccm.164.10.2104046; Carmona EM, Kalra S, Ryu JH.Pulmonary Sarcoidosis: Diagnosis and Treatment. Mayo Clin Proc 2016;91(7):946-954.doi:10.1016/j.mayocp.2016.03.004; and Iannuzzi MC, Fontana JR.Sarcoidosis: clinical presentation, immunopathogenesis, and therapeutics. JAMA 2011;305(4):391-399.doi:10.1001/jama.2011.10

CT = コンピュータ断層撮影;PPI = プロトンポンプ阻害薬

Data from Baughman RP, Teirstein AS, Judson MA, et al.Clinical characteristics of patients in a case control study of sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 2001;164(10 Pt 1):1885-1889.doi:10.1164/ajrccm.164.10.2104046; Carmona EM, Kalra S, Ryu JH.Pulmonary Sarcoidosis: Diagnosis and Treatment. Mayo Clin Proc 2016;91(7):946-954.doi:10.1016/j.mayocp.2016.03.004; and Iannuzzi MC, Fontana JR.Sarcoidosis: clinical presentation, immunopathogenesis, and therapeutics. JAMA 2011;305(4):391-399.doi:10.1001/jama.2011.10

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