大頭症

執筆者:Simeon A. Boyadjiev Boyd, MD, University of California, Davis
レビュー/改訂 2022年 9月
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大頭症(巨頭症)とは,頭囲が年齢平均値より標準偏差の2倍を超えて大きい状態である(1, 2)。

頭蓋顔面部および筋骨格系の先天異常に関する序論ならびに先天性頭蓋顔面異常の概要も参照のこと。)

大頭症には以下の2つの病型がある:

  • 不均衡型大頭症(disproportionate macrocephaly)

  • 均衡型大頭症(proportionate macrocephaly)

不均衡型大頭症(disproportionate macrocephaly)は,頭部が体格相当の大きさを超えているもので,患児には自閉スペクトラム症,発達障害,および痙攣発作のリスクがある。

均衡型大頭症(proportionate macrocephaly)は,頭部の大きさが体格相当に見えるもの(すなわち,体格が大きいことに伴って頭部が大きいもの)であり,過成長症候群(例,成長ホルモンの過剰分泌)を考慮すべきである。

異常な大頭症は,脳の増大(巨脳症),水頭症,頭蓋骨過形成などに起因することがある。これらの病態は,遺伝性疾患や出生前または出生後に発症した疾患の結果である場合がある(3)。

総論の参考文献

  1. 1.Cogulu O, Aykut A, Kutukculer N, et al: Two cases of macrocephaly and immune deficiency.Clin Dysmorphol 16(2):81–84, 2007.doi: 10.1097/MCD.0b013e3280464ee6

  2. 2.Fenichel, Gerald M: Clinical Pediatric Neurology: A Signs and Symptoms Approach, ed.6.Philadelphia, Saunders/Elsevier, 2009, p.369.

  3. 3.Strassburg HM: Macrocephaly is not always due to hydrocephalus.J Child Neurol 4 Suppl:S32–S40, 1989.doi: 10.1177/0883073889004001s07

診断

  • 出生前では腎超音波検査

  • 出生後では身体診察(頭囲の計測を含む)および頭部MRI

  • 遺伝学的検査

大頭症は,第2トリメスター後期または第3トリメスター早期にルーチンに行われる超音波検査で,ときに出生前に診断される。

出生前の評価には,3世代の家族歴,発達評価と神経学的評価,四肢の非対称性および皮膚病変の診察,ならびに脳MRIを含めるべきである。ときに不均衡型大頭症は家族性であり,他の形成異常,合併症,または発達遅滞の合併はなく,本病型は常染色体顕性(優性)の形式で遺伝するため,少なくとも親の1人には大きい頭囲がみられる。考慮すべき診断としては,神経線維腫症I型脆弱X症候群,Sotos症候群,ライソゾーム病などがある。

たとえ先天異常が単独で存在するように見える場合でも,臨床遺伝専門医が患者の評価を行うべきである。大頭症がみられる患者の評価では,染色体マイクロアレイ解析,特異的遺伝子検査,または広範な遺伝子パネル検査を考慮すべきである。これらの検査で診断に至らない場合には,全エクソーム配列決定が推奨される。

発達面の評価を行って,最大限の発達を得るための介入の必要性を確認すべきである。

治療

  • 外科的修復

現在では,この種の頭蓋顔面異常の大半が機能の回復と美容的外観の改善を目標として外科的に治療されている。治療および管理は,三次医療施設において,その先天異常で生じる全ての症状に対処できる集学的チームによって行われるのが最善である。

二次的合併症(例,頭蓋内圧亢進,弱視,歯列不正,発話困難)は,適切な専門医によって管理されるべきである。

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