青年におけるセクシュアリティとジェンダー

執筆者:Sarah M. Bagley, MD, MSc, Boston University Chobanian & Avedisian School of Medicine
Reviewed ByAlicia R. Pekarsky, MD, State University of New York Upstate Medical University, Upstate Golisano Children's Hospital
レビュー/改訂 修正済み 2024年 11月
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青年期は身体的,認知的心理的に急速な発達がみられる時期である。ティーンエイジャーには社会的関係が大きな関心事になり,しばしば自身の性的発達を探求し始める。

健全なセクシュアリティに関する教育では,親とプライマリケア医が大きな役割を果たす(1)。学校やときに地域団体も性教育プログラムを提供している。

青年にとっては,セクシュアリティに関する質問,心配,または誤解について気軽に話ができる適切な大人がいることが有益となる。トピックとしては,身体像,解剖,月経,自慰,勃起,夢精,オルガスム,性行為などが考えられる。このような話し合いは,青年が当惑している場合や自分が正常かどうか疑問に思っている場合に安心感を与えることができる。話し合いでは,セクシュアリティの肯定的な側面と潜在的なリスクの両方に焦点を置くことができる。

青年には,性の健康に関する信頼できる情報源を紹介すべきである。また,健全な対人関係を築き,危険な状況を回避することについても助言すべきである。性の健康に関する情報源,性的関係,または性的経験に関する問題として,以下のものがある:

  • 健全な性的態度と性的関係の促進

  • 誤解を招く情報源や有害となりうる情報源(例,一部のソーシャルメディアまたはインターネットの情報源,ポルノ)を認識して回避する

  • 性的加害者である可能性がある人とのコミュニケーションや面会

  • 自身の性的画像の提供を強要されている,あるいは意図せず共有されている感覚(例,セクスティング)

  • 性行為を強要されている感覚

  • パートナーからの心理的,身体的,または性的暴力

  • 知人や面識のない個人による性的虐待

青年にはさらに,以下を含めて,性の健康の医学的側面に関する教育を行うべきである:

人間が経験する要素の中でも,セクシュアリティとそれに伴う全ての感情や経験ほど,身体的,認知的,情緒的側面を全面的に動員するものはほとんどない。性に関する健康教育を通じて,青年がセクシュアリティ,性的指向,およびジェンダーアイデンティティを健全な背景で捉えるよう支援するとともに,話し合いをもって率直な回答を得るための環境を提供することが極めて重要である。青年とその親には,セクシュアリティに対する自らの態度についてオープンに話し合うよう奨励すべきである。

青年には,必要に応じて助けを求める方法についての情報源を紹介すべきである。

総論の参考文献

  1. 1.American Academy of Pediatrics.Adolescent Sexual Health AAP Policy Statements.Accessed October 2, 2024.

青年における性的指向およびジェンダーアイデンティティ

性的指向とジェンダーアイデンティティは,多くの青年にとっての関心事である。そうした自分の側面を探求するのを心地よく感じる青年もいる一方で,自分の性的指向やジェンダーアイデンティティが友人や家族に明らかになることに苦悩したり躊躇したりし,自分が受け入れられないのではないかと恐れる青年もいる。そのような懸念は(特に社会的受容が非常に重要な時期に)重度の苦痛を引き起こす可能性がある。ときに現実となる,親から見捨てられるという恐れにより,青年と親のコミュニケーションから正直さが失われたり,十分なコミュニケーションがとれなくなったりすることがある。場合によっては,そのような青年は友人からいじめを受けていることもある。他者からの身体的暴力の脅しは真剣に受け止め,学校関係者か他の権威者に報告すべきである。青年における情緒的発達には,医師,友人,および家族の支えが最も大きな助けになる。

医師および性教育の専門家は,青年の性的指向やジェンダーアイデンティティについて憶測で対応してはならず,自由回答式の質問で問診するとともに,性教育と医学的ケアを提供するべきである。

ジェンダーアイデンティティの発達は早い時期から,しばしば青年期前から始まる。一部の小児および青年では,出生時に指定されたセックスが自身のジェンダーアイデンティティと一致しない。

ジェンダーアイデンティティに関係する用語の定義としては,以下のものがある:

  • セックス(sex):男性と女性を区別するために通常用いられる特性によって定義される;セックスとは,出生時に身体的に明らかになる身体的および生物学的特性を特に指すもので,しばしば「出生時に指定された男性(assigned male at birth:AMAB)」と「出生時に指定された女性(assigned female at birth:AFAB)」というフレーズで表現される。

  • ジェンダーアイデンティティ(gender identity):自分は男性,女性,またはそれ以外の何かであるという内的感覚であり,出生時に指定されたセックスや性的な特徴と一致する場合もあれば,一致しない場合もある

  • ジェンダー表現(gender expression):ジェンダーアイデンティティまたはジェンダー役割の側面を表現している衣服,身体的外観,ならびにその他の外見的な提示および行動のこと

  • 性別不合(gender incongruence):自身のジェンダーアイデンティティと出生時に指定されたセックスに基づき期待されるジェンダーが相容れないという感覚を顕著かつ持続的に体験している状態

  • 性別違和(gender dysphoria):個人のジェンダーアイデンティティと出生時に指定されたセックスとの不一致に関連して不快感または苦痛が生じている状態。

性別違和の可能性がある患者には,適切な評価とケアが提供されるべきであり,その中にはジェンダーアイデンティティを尊重する性別適合ケア(gender-affirming care)が含まれる場合がある。

青年における性感染症(STI)

米国では,特定のSTIの有病率が青年および若年成人で最も高くなっている(1)。クラミジア感染症および淋菌感染症の発生率は青年期および若年成人期の女性で最も高く,多くの女性がこの時期にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染する。

青年期早期に性行為を開始する青年は,STIのリスクが比較的高い。ほかに以下のような青年もSTIのリスクが高い:

  • 拘留施設で生活している人

  • STIクリニックを受診している人

  • 商業的な性的搾取を受けている人,サバイバルセックス(生存のための取引きとしての性行為)をしている人,および薬物,金銭,食料,または住居と引き換えに性行為をしている人

  • 男性と性行為をする若年男性(YMSM)

  • トランスジェンダーの若年者

  • 障害,物質乱用,または精神疾患のある若年者

  • 無防備な性行為をしている人

その他の寄与因子としては,複数のセックスパートナー,安全な性行為に関する教育の欠如,無防備な性行為(バリア保護具を一貫して正しく使用しない),持続期間の短い性的関係を次々ともつこと,複数のパートナーと同時に性的関係をもつこと,社会経済的状況の不良,医療アクセスに対する複数の障害などがある。

医師はSTIの予防,スクリーニング,症状,および治療について青年にカウンセリングを行うべきである。必要に応じて,STIに対するルーチンのスクリーニングを行うべきである。

STIに関する参考文献

  1. 1.Workowski KA, Bachmann LH, Chan PA, et al.Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep.2021;70(4):1-187.Published 2021 Jul 23.doi:10.15585/mmwr.rr7004a1

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