口腔扁平上皮癌

完全なレビュー: 2024年 9月 執筆者:Bradley A. Schiff, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine | 査読者Lawrence R. Lustig, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital
最終更新日: 2024年 9月
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口腔癌とは,口唇の赤唇縁と硬口蓋・軟口蓋の移行部または舌後方3分の1との間にある領域から発生するがんのことである。95%を超える口腔扁平上皮癌患者が喫煙,飲酒,または両方を嗜む。早期の治癒可能な病変が症状を呈することはまれであり,したがって,致死的ながんを予防するには,スクリーニングによる早期発見が必要である。治療は手術,放射線,またはその両方によるが,大半の口腔癌の治療では手術の方が大きな役割を担う。

頭頸部腫瘍の概要も参照のこと。)

口腔扁平上皮癌は米国では毎年約35,000人が罹患する(1)。米国においては,男性におけるがんの3%と女性におけるがんの2%が口腔扁平上皮癌であり,大半が50歳以降に発生している。大半の頭頸部の部位と同様に,扁平上皮癌が最も頻度が高い口腔癌である。

口腔扁平上皮癌の主な危険因子は以下のものである:

  • 喫煙(特に1日に2箱を超える場合)

  • 飲酒

飲酒量が蒸留酒で1日177mL(6オンス),ワインで1日148mL(5オンス),またはビールで1日1065mL(36オンス)を超えると,リスクが劇的に上昇する。多量の喫煙と大量飲酒の組合せは,女性で100倍,男性で38倍リスクを高めると推定されている。

舌の扁平上皮癌も,齲蝕,洗口液の過剰使用,噛みタバコ,またはbetal quidの使用などのあらゆる慢性的刺激によって生じる可能性がある。典型的には口腔-性器接触を介して感染する口腔のヒトパピローマウイルス(HPV)が,一部の口腔癌の病因に関与している可能性があるが,口腔癌でHPVが同定される頻度は中咽頭癌の場合と比べて非常に低く,切除組織におけるHPVの存在は必ずしも因果関係を意味するわけではない。

口腔癌とは,口唇の赤唇縁と硬口蓋・軟口蓋の移行部または舌後方3分の1との間にある領域から発生するがんのことである。口腔内の扁平上皮癌は口底や舌の側面・下面に発生することもある。下唇に生じる口腔扁平上皮癌は通常,太陽光に関連した外側表面のがんである。

総論の参考文献

  1. 1.Siegel RL, Giaquinto AN, Jemal A.Cancer statistics, 2024 [published correction appears in CA Cancer J Clin. 2024 Mar-Apr;74(2):203. doi: 10.3322/caac.21830]. CA Cancer J Clin 2024;74(1):12-49.doi:10.3322/caac.21820

口腔扁平上皮癌の症状と徴候

口腔病変は初めは無症状であり,口腔のスクリーニングの必要性が強調される。病変は紅板症または白板症領域として現れることがあり,外方増殖性であるまたは潰瘍化していることがある。しばしばがんは硬結性で硬く,まくれあがった辺縁(rolled border)を伴う。病変が増大するにつれ,結果として疼痛,構音障害,および嚥下困難が生じることがある。

口腔扁平上皮癌の臨床像
口腔扁平上皮癌

この写真は,口腔粘膜に扁平上皮癌のある患者の口腔内(頬粘膜)の拡大像である。

この写真は,口腔粘膜に扁平上皮癌のある患者の口腔内(頬粘膜)の拡大像である。

CLINICA CLAROS/SCIENCE PHOTO LIBRARY

紅板症および扁平上皮癌

紅板症とは,口腔内に発生するビロード状の病変で発赤があるもの,平坦なもの,びらんを呈しているものを総称する用語である。この画像では,舌上の外方増殖性の扁平上皮癌の周囲に紅板症がある。

紅板症とは,口腔内に発生するビロード状の病変で発赤があるもの,平坦なもの,びらんを呈しているものを総称する用語である。この画像では,舌上の外方増殖性の扁平上皮癌の周囲に紅板症がある。

Image provided by Jonathan A.Ship, DMD.

白板症および扁平上皮癌

白板症とは,口腔内に発生する白色の角化局面を総称する用語である。検査をすれば,大半が良性と判明する。しかしながら,この画像では,舌下面にある白板症病変の1つの中に扁平上皮癌が認められる(矢印)。

白板症とは,口腔内に発生する白色の角化局面を総称する用語である。検査をすれば,大半が良性と判明する。しかしながら,この画像では,舌下面にある白板症病変の1つの中に扁平上皮癌が認められる(矢印)。

Image provided by Jonathan A.Ship, DMD.

口腔扁平上皮癌の診断

  • 生検

  • 重複がんを検出するための内視鏡検査

  • 胸部CTまたはX線および頭頸部CT

大半の病変が普段の診察中に発見される。歯科専門医は日常診療中に慎重に口腔および中咽頭を診察し,異常な領域のブラシ生検を行うことがある。

疑わしい領域は全て生検すべきである。外科医の選択により,切除生検またはブラシ生検が施行できる。

全ての口腔癌患者で,同時に存在する重複がんを除外するために直達喉頭鏡検査および食道鏡検査を行う。通常は頭頸部CTを施行し,胸部CTまたはX線撮影を施行するが,頭頸部の大半の部位の場合と同様に,口腔癌患者の評価でもPET/CTが大きな役割を担う。(の表を参照のこと。)

表&コラム
表&コラム

口腔扁平上皮癌の治療

  • 手術,必要に応じて術後放射線療法または術後化学放射線療法を併用

大半の口腔癌に対して,手術が初期治療の第1選択である。比較的進行している場合,または高リスクの組織学的特徴を有する場合は,術後に放射線療法または化学放射線療法を追加する(1)。

リンパ節転移のリスクが15~20%を超える場合,選択的頸部郭清術が適応となる。確固たるコンセンサスはないが,深達度が約3.5mmを超える病変に対しては,典型的に頸部郭清術が行われる。

ルーチンの外科的再建が,術後の口腔障害を軽減する鍵である;手技は局所組織皮弁術(local tissue flap)から遊離組織移植まで様々である。大きな切除後に言語療法および嚥下リハビリ療法が必要になる場合がある。

放射線療法が代替治療である。化学療法は,一次治療としてルーチンに用いられることはないが,進行したリンパ節転移患者において,放射線と併用するアジュバント療法として推奨される。

口唇の扁平上皮癌の治療法は,術後機能を最大化するための再建を併用した外科的切除である。口唇の広域が前がん性変化を示す場合,口唇を外科的に薄く削るか,または罹患した全ての粘膜をレーザーで除去できる。Mohs手術を用いることができる。その後は,適切なサンスクリーン剤の塗布が推奨される。

治療に関する参考文献

  1. 1.National Cancer Institute: Lip and Oral Cancer Treatment (PDQ)---Health Professional Version.updated June 4, 2024.Accessed July 30, 2024.

口腔扁平上皮癌の予後

舌癌が限局性(リンパ節転移がない)の場合,5年生存率は80%を超える(1)。限局性の口底癌では,5年生存率は約75%である(1)。リンパ節転移は生存率を低下させる。転移はまず所属リンパ節に達し,後に肺に達する。

限局性の口唇癌では,5年生存率は90%を超える(1)。下唇病変の場合,転移はまれである。上唇のがんはより進行が速く転移しやすい傾向がある。

予後に関する参考文献

  1. 1.American Cancer Society medical and editorial content team: Oral Cavity (Mouth) and Oropharyngeal (Throat) Cancer: Survival rates for oral cavity and oropharyngeal cancer.Updated March 1, 2023.Accessed July 30, 2024.

要点

  • 口腔扁平上皮癌に対する主な危険因子は,多量の喫煙および飲酒である。

  • 口腔癌はときに初期には無症状であるため,口腔のスクリーニング(一般的には歯科専門医による)が早期診断に有用である。

  • 同時に存在する重複がんを除外するため,直達喉頭鏡検査および食道鏡検査を施行する。

  • がんが確定すれば,頭頸部CT,胸部画像検査(CTまたはX線),およびときにPET/CTを行う。

  • 通常,初期治療は手術である。

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