脳死

執筆者:Kenneth Maiese, MD, Rutgers University
Reviewed ByMichael C. Levin, MD, College of Medicine, University of Saskatchewan
レビュー/改訂 修正済み 2024年 4月
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(脳死/神経学的基準による死)

脳死の概念は,全ての脳活動が完全に停止しているにもかかわらず,人工呼吸器と薬剤投与によって心肺機能とその他の身体機能を維持できるようになったことから生まれた。脳死/神経学的基準による死(すなわち,全脳機能,特に脳幹機能の完全な停止)を人間の死とするという位置づけは,世界の大半の地域で法的および文化的に受け入れられている。

脳死/神経学的基準による死は,生後37週未満の乳児では判定することができない。

脳死/神経学的基準による死の診断

  • 恒久的な脳機能の喪失(脳幹の機能喪失を含む)を実証するための臨床診断基準の判定を繰り返す

  • 無呼吸テスト

  • ときに脳波検査,脳血管画像検査,またはその両方

医師が脳死を宣言するには(の表を参照)(1),以下の要件を満たさなければならない:

  • 壊滅的かつ恒久的な脳損傷の発生が判明していなければならない。

  • 脳損傷の構造的または代謝的原因が存在していなければならない。

  • 麻酔作用(神経系抑制薬とアルコールを含む)または筋弛緩作用を有する薬剤および違法薬物(特に自己投与されるもの)の使用を除外しなければならない。

  • 低血糖や酸塩基および電解質平衡異常など,可逆的である可能性がある代謝異常を除外しなければならない。

以下のいずれかに該当する場合は,脳死を宣言または考慮してはならず,脳死判定を行ってはならない:

  • 患者が自発呼吸をしている。

  • 患者を覚醒させることができる。

  • 患者が昏睡状態ではない。

  • 脳幹反射が正常である。

脳死の評価を行う医師(例,神経科医,脳神経外科医,集中治療医)は十分な訓練を受ける必要があり,認定資格を有していなければならない。脳死判定は,脳死の原因となりうる脳損傷の発生から少なくとも24時間が経過するまで開始してはならない。

低体温症の場合は,深部体温が36℃未満なら36℃以上まで緩徐に復温して24時間維持する必要がある。収縮期血圧が100mmHg以上,動脈圧が75mmHg以上である必要もある。てんかん重積状態が疑われる場合は,脳波検査を行うべきである。成人では,合併する全ての医学的状態が除外され,必須のテストによる包括的な神経学的診察を完了して初めて,脳死を確定することができる。成人では医師による脳死判定を少なくとも1回は完了しなければならないが,偽陽性のリスクを低減するため,その後に同じ医師または別の独立した医師による脳死判定を少なくとも1回,追加実施することが推奨される。小児については,独立した医師による2回の診察を少なくとも48時間空けて行うよう医師に助言している州もある(1)。

検査項目としては以下のものがある:

  • 瞳孔反応の評価

  • 前庭眼反射,頭位変換眼球反射,角膜反射

  • 無呼吸テスト

ときに脳活動または脳血流がないことを確認するために脳波および脳灌流の検査が用いられることがあり,家族に追加的な証拠を示すのに役立つが,これらの検査は通常は必要ない。これらの検査が適応となるのは,血行動態的に無呼吸テストに耐えられない場合と,施行する神経学的診察を1つに限るのが望ましい場合(例,移植のための臓器採取を可能にする)である。

表&コラム
表&コラム
医学計算ツール(学習用)

診断に関する参考文献

  1. 1.Greer DM, Kirschen MP, Lewis A, et al: Pediatric and adult brain death/death by neurologic criteria consensus guideline: Report of the AAN Guidelines Subcommittee, AAP, CNS, and SCCM.Neurology 101 (24):1112–1132, 2023.doi: 10.1212/WNL.0000000000207740 Epub 2023 Oct 11.

脳死/神経学的基準による死の予後

脳死の診断はその個人の死と同じ意味をもつ。それ以上治療を行っても死を避けられない。

脳死が確認されたら,全ての心肺補助治療を終了させる。換気補助の停止により末期的な不整脈が生じる。末期的な無呼吸中に脊髄反射が起こることがあり,具体的には背中の反り返り,頸部回転,下肢の硬化,上肢の屈曲(いわゆるラザロ徴候)などがみられる。人工呼吸器の停止時に立ち会いを希望する家族には,このような反射運動について説明を行う必要がある。

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