好酸球性筋膜炎

執筆者:Kinanah Yaseen, MD, Cleveland Clinic
Reviewed ByKaren McKoy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 修正済み 2024年 11月
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好酸球性筋膜炎は,腕および脚に対称性に生じ急速に進行する腫脹および硬結を特徴とする,まれな疾患である。診断は皮膚および筋膜の生検による。治療はコルチコステロイドによる。

好酸球性筋膜炎の原因は不明であるが,激しい運動もしくは外傷,ボレリア症,または特定の薬剤および物質への曝露によって誘発される可能性がある(1)。報告症例の最大10%において,再生不良性貧血や多発性骨髄腫など血液疾患との関連が認められる(2)。

本疾患はほとんどの場合,中年の男性に生じるが,女性および小児にも生じることがある。

参考文献

  1. 1.Antic M, Lautenschlager S, Itin PH.Eosinophilic fasciitis 30 years after - what do we really know?Report of 11 patients and review of the literature. Dermatology.2006;213(2):93-101.doi:10.1159/000093847

  2. 2.Lakhanpal S, Ginsburg WW, Michet CJ, Doyle JA, Moore SB.Eosinophilic fasciitis: clinical spectrum and therapeutic response in 52 cases. Semin Arthritis Rheum.1988;17(4):221-231.doi:10.1016/0049-0172(88)90008-x

好酸球性筋膜炎の症状と徴候

初発症状は皮膚および皮下組織の疼痛,腫脹,および炎症であり,続いて硬結が出現し,特徴的なオレンジの皮のような形状を呈し,表在静脈に沿って縦走する線状の陥凹(groove sign)が生じる(これは四肢の前面で最も顕著である)。顔面および体幹が侵されることはまれである。

腕および脚の運動制限が通常は潜行性に生じる。筋膜の硬結および肥厚に続き一般的に拘縮が進行するが,腱,滑膜,および筋肉が侵されることもある。全身性強皮症とは異なり,好酸球性筋膜炎は指趾(肢端部)は侵さない。筋力は障害されないが,筋肉痛および関節炎が生じることがある。手根管症候群も生じることがある。

内臓が侵されることはまれである(1)。

疲労感および体重減少がよくみられる。

症状と徴候に関する参考文献

  1. 1.Lakhanpal S, Ginsburg WW, Michet CJ, Doyle JA, Moore SB.Eosinophilic fasciitis: clinical spectrum and therapeutic response in 52 cases. Semin Arthritis Rheum.1988;17(4):221-231.doi:10.1016/0049-0172(88)90008-x

好酸球性筋膜炎の診断

  • 生検

典型的な症状のある患者では好酸球性筋膜炎を疑うべきである。皮膚症状は全身性強皮症を示唆している場合があるが,全身性強皮症の患者では通常,遠位の皮膚病変,レイノー症候群,毛細血管顕微鏡検査での爪郭の異常変化(毛細血管ループの拡張,毛細血管の脱落,および爪周囲出血など),および内臓の変化(例,食道運動障害)もみられる。これらの臨床像は,好酸球性筋膜炎では通常みられない。

好酸球性筋膜炎の診断は生検により確定されるが,その際筋膜および隣接する筋線維を含むように十分深く生検を行う必要がある。特徴的所見は筋膜の炎症であり,炎症は好酸球を伴うことも伴わないこともある。

血液検査は診断に有用ではないが,血算では通常,好酸球増多(活動初期)が示され,血清タンパク質電気泳動では約3分の1の患者で多クローン性高ガンマグロブリン血症が示される。しかしながら,そのような患者はリスクの低い単クローン性免疫グロブリン血症であると考えられ,明らかな造血器腫瘍に進行することはまれである(1)。

MRIでは,特異的ではないが,肥厚した筋膜が認められることがある(表層にある筋線維において炎症と関連する信号強度の増加を伴う)。

診断に関する参考文献

  1. 1.Mazori DR, Kassamali B, Min MS, et al: Characteristics and outcomes of eosinophilic fasciitis-associated monoclonal gammopathy. JAMA Dermatol 157(12):1508-1509, 2021.doi:10.1001/jamadermatol.2021.4302

好酸球性筋膜炎の治療

  • 経口プレドニゾン

  • メトトレキサート

大半の患者は高用量のプレドニゾン(40~60mg,1日1回に続いて,筋膜炎が消失し次第,5~10mg,1日1回まで漸減する)に速やかに反応する。治療の指針となるランダム化試験は十分に実施されていないが,コルチコステロイドとメトトレキサートの併用の方がコルチコステロイド単独より完全な反応が得られる可能性が高いことが観察データから示されている(1)。メトトレキサートの禁忌がある場合は,アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチルなどの他の薬剤を使用することができる。

理学療法が屈曲拘縮に役立つことがある。

ときに血液の合併症が生じるため,血算によるモニタリングが推奨される。

筋収縮および手根管の外科的な解放が必要になることがある。

免疫抑制療法を併用する場合は,Pneumocystis jiroveciiなどの日和見感染症に対する予防措置(ニューモシスチス肺炎の予防を参照)を講じるとともに,一般的な感染症(例,レンサ球菌性肺炎インフルエンザCOVID-19)に対するワクチンを接種しておくべきである。

治療に関する参考文献

  1. 1.Mango RL, Bugdayli K, Crowson CS, et al.Baseline characteristics and long-term outcomes of eosinophilic fasciitis in 89 patients seen at a single center over 20 years. Int J Rheum Dis.2020;23(2):233-239.doi:10.1111/1756-185X.13770

好酸球性筋膜炎の予後

長期的な転帰は様々であるが,好酸球性筋膜炎は治療後自然治癒することが多い。

要点

  • 患者は対称性で痛みを伴う腫脹,ならびに特徴的なオレンジの皮のような外観の腕および下肢の硬結を生じる。

  • 皮膚症状は全身性強皮症を示唆している場合があるが,好酸球性筋膜炎の患者には通常,レイノー症候群,遠位の皮膚病変,または内臓の変化(例,食道運動障害)はみられない。

  • 筋膜および隣接する筋線維を含む生検で診断を確定する。

  • プレドニゾンに加えてメトトレキサートまたは他の免疫抑制薬(メトトレキサートが使用できない場合)により治療する。

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