再発性多発軟骨炎

執筆者:Kinanah Yaseen, MD, Cleveland Clinic
Reviewed ByKaren McKoy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 修正済み 2024年 11月
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再発性多発軟骨炎は,まれな免疫性疾患であり,繰り返す炎症を特徴とし,主に耳介および鼻の軟骨を侵すが,眼,気管気管支,心臓弁,腎臓,関節,皮膚,および血管を侵す可能性もある。診断は,臨床所見,検査所見,画像所見のほか,まれに生検所見の組合せに基づく。治療は重症度に基づき,通常は抗炎症薬,コルチコステロイド,およびときに他の免疫抑制薬を必要とする。

再発性多発軟骨炎は男性と女性を均等に侵す;通常,発症は中年期である(1)。

関節リウマチ全身性血管炎全身性エリテマトーデス(SLE),その他の全身性リウマチ性疾患を伴う場合は,自己免疫性の病因を示唆する。

参考文献

  1. 1.Hazra N, Dregan A, Charlton J, Gulliford MC, D'Cruz DP.Incidence and mortality of relapsing polychondritis in the UK: a population-based cohort study. Rheumatology (Oxford).2015;54(12):2181-2187.doi:10.1093/rheumatology/kev240

再発性多発軟骨炎の症状と徴候

急性疼痛,紅斑,および腫脹が,耳介軟骨とその周辺組織に最もよく生じ,最終的にはカリフラワー耳や垂れ耳と表現される耳軟骨の変形に至ることがある。

鼻軟骨の炎症が次に多くみられる症状であり,ときに鞍鼻変形を引き起こし,その後に関節痛から対称性または非対称性の非変形性関節炎まで様々な関節炎(大小の関節を侵し,肋骨肋軟骨移行部および膝関節に好発)が続く(1)。

その他の臨床像としては以下の部位の炎症がある:

  • 眼(例,角膜炎,上強膜炎,強膜炎,虹彩炎)

  • 喉頭,気管,または気管支の軟骨組織(嗄声,咳嗽,喉頭軟骨部の圧痛を引き起こし,軟骨病変が重度の場合は呼吸困難を引き起こす)

  • 中耳および内耳(伝音難聴,感音難聴,または混合難聴につながる)

  • 心血管系(例,大動脈弁逆流症,僧帽弁逆流症,心膜炎,心筋炎,大動脈瘤,大動脈炎)

  • まれに腎臓

  • まれに皮膚(例,急性熱性好中球性皮膚症の皮膚症状,白血球破砕性血管炎)

急性炎症の発作は数日から数カ月で治癒し,数年にわたって再発する。

再発性多発軟骨炎の臨床像
再発性多発軟骨炎(耳)
再発性多発軟骨炎(耳)

耳の軟骨部(耳介)が赤紫色になり腫脹している。

耳の軟骨部(耳介)が赤紫色になり腫脹している。

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進行例では支持軟骨の破壊に至ることがあり,垂れ耳,鞍鼻,漏斗胸,ならびに視覚,聴覚,および前庭の異常を来す。気管障害は,呼吸困難,肺炎,または気管虚脱にさえ至ることがある。

再発性多発軟骨炎は他の自己免疫疾患,例えば炎症性腸疾患,脊椎関節症,全身性血管炎(例,ベーチェット病大型血管炎)(2)やMAGIC(mouth and genital ulcers with inflamed cartilage)症候群(3)などとオーバーラップすることがあるほか,骨髄異形成症候群などのがんとオーバーラップすることもある。再発性多発軟骨炎の一部の患者は,VEXAS(vacuoles, E1 enzyme, X-linked, autoinflammatory, somatic)症候群を合併しており,これは欠損タンパク質の細胞内破壊に関与するE1活性化酵素をコードするUBA1遺伝子の変異によって引き起こされるまれな疾患として2020年に認識された(4)。VEXAS症候群は主に,再発性多発軟骨炎,スウィート症候群,大赤血球症,および繰り返す発熱の既往がある高齢男性で報告されている。

症状と徴候に関する参考文献

  1. 1.Ferrada M, Rimland CA, Quinn K, et al.Defining Clinical Subgroups in Relapsing Polychondritis: A Prospective Observational Cohort Study. Arthritis Rheumatol.2020;72(8):1396-1402.doi:10.1002/art.41270

  2. 2.Tomelleri A, Campochiaro C, Sartorelli S, et al.Large-vessel Vasculitis Affecting the Aorta and its Branches in Relapsing Polychondritis: Case Series and Systematic Review of the Literature. J Rheumatol.2020;47(12):1780-1784.doi:10.3899/jrheum.190862

  3. 3.Luo Y, Bolek EC, Quinn KA, et al.A prospective observational cohort study and systematic review of 40 patients with mouth and genital ulcers with inflamed cartilage (MAGIC) syndrome. Semin Arthritis Rheum.2022;52:151924.doi:10.1016/j.semarthrit.2021.10.007

  4. 4.Beck DB, Ferrada MA, Sikora KA, et al.Somatic Mutations in UBA1 and Severe Adult-Onset Autoinflammatory Disease. N Engl J Med.2020;383(27):2628-2638.doi:10.1056/NEJMoa2026834

再発性多発軟骨炎の診断

  • 臨床的特徴

  • まれに生検

再発性多発軟骨炎は主に,感染症や多発血管炎性肉芽腫症などの起こりうる他の類似疾患を除外した上で臨床的に診断する。

臨床検査は特異度が低いが,他疾患の除外に役立てるために行う。関節液検査では,炎症性変化はないか軽度である。血液検査では,貧血(正球性または大球性),白血球増多,および赤血球沈降速度(赤沈)亢進またはγグロブリン高値のほか,最大25%の患者ではリウマトイド因子陽性または抗核抗体(ANA)がみられることがある。腎機能の異常は,糸球体腎炎の合併を示唆している場合がある。主にプロテアーゼ3に反応する抗好中球細胞質抗体(ANCA)の陽性は,軟骨炎を引き起こすことがある多発血管炎性肉芽腫症を示唆している可能性がある。コラーゲンII抗体は再発性多発軟骨炎に対して感度も特異度も低い。

気道の病変が疑われる場合は,直達喉頭鏡検査,完全な肺機能検査,呼気の胸部CT,および気管支鏡検査などにより,上気道および下気道の評価を実施すべきである。大動脈基部および上行大動脈を評価するために,ベースラインの心エコー検査を考慮してもよい。

炎症を起こした軟骨の生検が診断の確定に必要になることはまれである。

VEXAS症候群の診断は,骨髄検査で骨髄系細胞および赤芽球系前駆細胞に細胞質内空胞が認められることから示唆され,遺伝子検査でUBA1遺伝子変異が認められれば確定する。

再発性多発軟骨炎の治療

  • 軽度の耳鼻科疾患に対して非ステロイド系抗炎症薬(NSAID),ジアフェニルスルホン(ダプソン),またはコルヒチン

  • コルチコステロイド

  • ときにメトトレキサートまたは他の免疫抑制薬(例,シクロスポリン,シクロホスファミド,腫瘍壊死因子阻害薬,アバタセプト,インターロイキン6阻害薬)

臓器または生命を脅かす症状を伴わない軽度の再発性の耳鼻科疾患は,抗炎症用量の非ステロイド系抗炎症薬,コルヒチン(0.6mgを1日2回),またはジアフェニルスルホン(ダプソン)(50~100mgを1日1回経口投与)に反応することがある。NSAIDまたはジアフェニルスルホン(ダプソン)に患者が十分に反応しない場合は,コルチコステロイドが必要になることがある。中等症の患者でコルチコステロイドに抵抗性を示す場合は,低用量のメトトレキサート(例,15~25mg,週1回)を考慮してもよい。

重症例では,シクロスポリン,シクロホスファミド,腫瘍壊死因子阻害薬,アバタセプト,インターロイキン6(IL-6)阻害薬など,他の免疫抑制薬が必要になることがある(1)。

これらの治療法はいずれも,ランダム化試験で検討されておらず,死亡率の低下も示されていない。

免疫抑制療法を併用する場合は,Pneumocystis jiroveciiなどの日和見感染症に対する予防措置(ニューモシスチス肺炎の予防を参照)を講じるとともに,一般的な感染症(例,レンサ球菌性肺炎インフルエンザCOVID-19)に対するワクチンを接種しておくべきである。長期のコルチコステロイド療法を受けている患者には骨粗鬆症の予防を行うべきである。

気管の狭小化により吸気性喘鳴が生じる場合,気管切開またはステントが必要になることがある。気管障害および気管狭小化のために気管挿管が技術的に困難な場合がある;また,気管内の処置は,声門または声門下にさらなる炎症を引き起こすことにより,麻酔後の生命を脅かす悪化につながる可能性がある。したがって,気管挿管はできる限り避けるべきである(例,代わりに局所麻酔および区域麻酔を用いる)。気管挿管が避けられない場合は,緊急の輪状甲状靱帯切開の必要性を考慮すべきである。

より広範囲の気管気管支の虚脱では気管再建が必要になることがある。

眼疾患はときに治療抵抗性のことがあり(特に強膜が侵される場合),予後は不良である。

治療に関する参考文献

  1. 1.Moulis G, Pugnet G, Costedoat-Chalumeau N, et al.Efficacy and safety of biologics in relapsing polychondritis: a French national multicentre study. Ann Rheum Dis.2018;77(8):1172-1178.doi:10.1136/annrheumdis-2017-212705

再発性多発軟骨炎の予後

死亡率は新しい治療法により減少している。死亡は典型的には喉頭および気管の構造の崩壊または心血管系合併症(太い血管の動脈瘤,心臓の弁閉鎖不全,または全身性血管炎など)によるものである。

VEXAS症候群の患者では,骨髄異形成症候群や多発性骨髄腫などの造血器腫瘍が発生することがある。予後は予断を許さない。

要点

  • 耳介軟骨もしくは鼻軟骨の炎症がみられる場合,再発性多発軟骨炎を考慮する(特に,気道軟骨炎もしくは説明のつかない関節炎,眼の炎症,または聴覚もしくは前庭の機能障害と一致する症状および徴候を伴う場合)。

  • 確定診断に必要な場合のみ,罹患軟骨の生検を行う。

  • 軽度の耳鼻科疾患は非ステロイド系抗炎症薬,コルヒチン,またはジアフェニルスルホン(ダプソン)で治療する。

  • より重症の症例はコルチコステロイド,およびときにメトトレキサートまたは他の免疫抑制薬により治療する。

  • 気管挿管が必要な場合は,緊急の輪状甲状靱帯切開が必要になる可能性を予想しておくこと。

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