ロッキー山紅斑熱(RMSF)

(紅斑熱、マダニ熱、マダニチフス)

執筆者:William A. Petri, Jr, MD, PhD, University of Virginia School of Medicine
Reviewed ByBrenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 修正済み 2024年 1月
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ロッキー山紅斑熱は死に至ることのあるリケッチア感染症の一種で、イヌダニや森林ダニが媒介します。感染すると、発疹や頭痛、高熱が生じます。

  • 感染したマダニに咬まれることで感染します。

  • 重度の頭痛、悪寒、極度の疲労感、筋肉痛が起こり、通常はその数日後に発疹がみられます。

  • マダニに咬まれ、特徴的な症状が現れた場合は、直ちに抗菌薬が投与されます。

  • マダニに咬まれないようにすることが、この感染症を防ぐ最も良い方法です。

ロッキー山紅斑熱は、ロッキー山紅斑熱リケッチア(Rickettsia rickettsii)という細菌によって引き起こされます。リケッチアは他の生物の細胞内でのみ生存できる細菌の一種です。

ロッキー山紅斑熱は、おそらく米国で最も多くみられるリケッチア感染症です。ロッキー山脈がまたがる州で最初に認識されましたが、米国本土の大半で発生しています。米国では南東部と中南部(ノースカロライナ州、オクラホマ州、アーカンソー州、テネシー州、ミズーリ州)で最も多く発生しています。また中南米でもみられます。

ロッキー山紅斑熱は、主にダニの成虫の活動が活発化し、人がダニの生息している地域を訪れる機会が多い3月~9月にかけて発生します。南部の州では、年間を通して発症することもあります。この感染症は、マダニの生息地域で長時間を過ごす人や15歳未満の小児に多く発症します。

マダニは、感染した哺乳動物を吸血することによってこれらのリケッチアに感染します。感染した雌のマダニはリケッチアをその子孫にも伝播します。人間への感染は、森林ダニやイヌダニに咬まれることによって広がります。リケッチア感染症は、おそらくヒトからヒトに直接伝播することはありません。

リケッチアは、血管の内側を覆う細胞内で生存し、増殖します。皮膚や皮下、脳、肺、心臓、腎臓、肝臓、脾臓の血管に感染がよくみられます。感染した小さな血管が血栓によって詰まることがあります。

知っていますか?

  • ロッキー山紅斑熱の症状が現れた人の多くはマダニに咬まれたことを覚えていません。

ロッキー山紅斑熱の症状

ロッキー山紅斑熱の症状には、一般に重度の頭痛、悪寒、極度の疲労、筋肉痛などがあります。マダニに咬まれてから3~12日後に症状が突然現れます。症状が早く始まるほど、感染症の重症度は高くなります。高熱が数日以内に現れ、重症の感染症では2~3週間持続します。空せきが出ることもあります。吐き気や嘔吐も多くみられます。

ほとんどの患者の場合、熱が出てから1~6日後までに手首、手のひら、足首、足の裏、前腕に発疹が現れ、急速に頸部、顔面、わきの下、殿部、胴体に拡大します。発疹は初めのうちは平らでピンク色をしていますが、やがて色が濃くなり、少し隆起してきます。かゆみはありません。例えば入浴などで、体が温まると発疹が明らかになります。その約4日後に、皮膚内の出血によって小さな紫色の部分が現れ(点状出血)、重症の場合は、皮膚の各部が壊死して黒くなり、壊疽(えそ)を起こしていることが分かります。

ロッキー山紅斑熱に罹患しても発疹が現れない人もいます。

ロッキー山紅斑熱が進行すると、以下のような他の症状が現れることがあります。

  • 不穏(落ち着きがないこと)、不眠、せん妄、ときに昏睡(脳の血管に症状がある場合)

  • 腹痛

  • 気道の炎症(肺臓炎)、肺炎

  • 心臓の損傷

  • 貧血

  • 重度の低血圧と死亡(まれ、感染症が重度の場合に起こる)

ロッキー山紅斑熱の診断

  • 医師による評価

  • 発疹の生検と検査

  • 血液検査

以下の2つの条件を満たす場合、医師はロッキー山紅斑熱を疑います。

  • 西半球の森林のある地域に居住している

  • 発疹の有無やマダニに咬まれたかどうかに関わらず、春、夏、または秋に発熱、頭痛、筋肉痛がみられる

この病気は常にマダニを介して広がりますが、多くの人がマダニに咬まれたことを覚えていません。

ロッキー山紅斑熱の確認には、通常検査が必要です。しかし、利用できる検査ではすぐに細菌を検出できなかったり、処理に時間がかかったりする場合があるため、ロッキー山紅斑熱が疑われる場合は、検査結果が出る前に治療を開始します。

診断を確定するために、通常は発疹から採取したサンプルを蛍光抗体法で検査します(生検)。  免疫蛍光抗体法では、細菌が作り出す異物(抗原)を蛍光染料で標識し、異物の検出と特定を容易にします。

血液検査を行って、原因となる細菌に対する抗体を検出することもあります。しかし、そのような検査では、症状が現れてから7~10日ほど経過するまで、抗体を検出することができません。この時期より前に行われた抗体検査は陰性になることがあります。そのため、医師は通常、抗体の値の上昇を確認するために、数週間空けて2回検査を行います。そのため、この検査は患者の発症直後に感染症を診断する役には立ちませんが、後に診断を確定する助けになります。それに加えて、より早く細菌を検出するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法が用いられることもあります。

ロッキー山紅斑熱の治療

  • 抗菌薬

臨床検査の結果が出ていなくても、症状と感染したマダニに接触した可能性があり、ロッキー山紅斑熱が疑われる場合は、即座に抗菌薬が処方されます。抗菌薬による早期の治療により、死亡率は低下しています。

通常はテトラサイクリンと呼ばれる抗菌薬の一種であるドキシサイクリンを使用します。抗菌薬は感染症が軽度の場合は経口投与し、重症の場合は静脈内投与します。この抗菌薬は、24~48時間にわたり症状が改善し、発熱がみられなくなるまで服用しますが、7日間以上は服用を継続する必要があります。

10日間以上服用する一部のテトラサイクリン系薬剤は、8歳未満の小児では歯の着色を引き起こす可能性がありますが、すべての年齢の小児でドキシサイクリンの短期間(5~10日間)投与が米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)やその他の専門家によって推奨されており、歯の着色やエナメル質の脆弱化を起こすことなく使用できます(米国疾病予防管理センター[CDC]:ドキシサイクリンと歯の着色に関する研究[Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Research on doxycycline and tooth staining]も参照)。

マダニに咬まれたことがあっても症状がない人には、通常は抗菌薬は処方されません。その代わり、医師はどのような症状であっても現れたらすぐに報告するようお願いすることがあります。

妊娠中の女性は、ロッキー山紅斑熱の治療にドキシサイクリンを服用することのリスクと利益の可能性について医師と相談するべきです。

ロッキー山紅斑熱の予防

ロッキー山紅斑熱に対するワクチンはないため、マダニに咬まれないこと、刺されたら付着しているマダニをすぐに除去することが最善の予防法です。

皮膚へのマダニの接触を防止するには以下の方法があります。

  • 道の上を歩く

  • ズボンのすそを長靴や靴下に入れる

  • 長袖の衣服を着る

  • ジエチルトルアミド(DEET)を含む防虫剤を皮膚に適用する

幼児での毒性反応が報告されているため、幼児へのDEETの適用は慎重に行うべきです。衣服にペルメトリンを使用するとマダニを効果的に死滅させることができます。マダニによる感染の流行地域では、特に毛が生えている箇所や小児では、マダニが付着していないかを頻繁に確認することが不可欠です。

マダニが感染を伝播するには、平均して24時間吸着する必要があるため、マダニが付着していないかを頻繁に確認することが感染の予防に役立ちます。血を吸って膨らんだマダニは、指でつぶしてしまうとマダニがもっている病気に感染する可能性があるため、つぶさないように慎重に取り除く必要があります。マダニの体の部分を強く挟んだりつぶしたりしてはいけません。小さなピンセットでマダニの頭部をつまみ、少しずつ引き抜きます。マダニが吸着していた部位はアルコールでふいてください。ワセリンや火のついたマッチ、その他の刺激物は効果的ではないため、マダニの除去には使わないようにします。

生息域からマダニをすべて除去する実用的な手段はありません。しかし、マダニを運ぶ動物にとって生息に向かない環境にすることで、マダニの数を減少させられることがあります。例えば、薪の山や落ち葉、枯れ枝を取り除き、家の周り(特に遊び場)の背の高い草や藪を刈ることで、ネズミが住みにくい環境を作るとよいでしょう。ネズミはそのような場所に隠れたり、巣を作ったりすることがあるためです。

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