適切なトレーニングと教育を受けた健康な人たちにとっては、ダイビングは比較的安全なレクリエーション活動です。全国のダイビング団体によるダイビング安全講座が、幅広く利用でき、ダイビング関連の障害を予防したり、そのリスクを低下させたりするのに役立ちます。
安全予防措置
ダイバーは圧外傷と減圧症のリスクを最小限にする予防措置を取る必要があります。リスクを減らすために行うべきことは以下の通りです。
いろいろな空隙の圧を均衡させる(例えば、フェイスマスク[鼻からマスクに空気を送り込む]や中耳[あくびをする、唾を飲み込むなど]の圧の均衡)。
浮上中は息止めを避けていつも通り呼吸を行い、浮上速度は毎秒15センチメートル以下に抑える。この速度であれば、過剰な窒素を徐々に排出し、気体が充満した空隙(肺や副鼻腔など)を空にできる。
ダイブテーブルまたはダイブコンピュータで定められている潜水深度と時間に従って、必要なすべての停止を行う。
水深約4.6メートル地点で、3~5分間の安全停止を行う。
潜水後15~24時間は飛行機に乗らない。
その他のダイビングのリスクを減らすには、特定のダイビング条件を把握して避ける必要があります。
視界不良
過剰な努力を要する潮流
低温
単独でのダイビング
レクリエーショナルドラッグや鎮静薬の使用後や飲酒の後
低温は特に危険で、低体温症が急激に発現すると判断力および手先の器用さが損なわれます。低温の影響を受けやすい人の場合、低体温症によって致死的な心不整脈が起きる場合もあります。単独でのダイビングは勧められません。
レクリエーショナルドラッグや鎮静薬およびアルコールは、水深の深い所では予測できない不意の作用を生じる場合があるため、量の多少を問わず、決して摂取すべきではありません。鎮静作用のない処方薬がレジャーダイビングの妨げとなることはほとんどありません。
ダイビングの妨げとなる状況
ダイビングは激しい運動となりうるため、平均以上の有酸素能力(激しい運動を行う能力)が必要とされ、心臓や肺に病気がある場合はダイビングを行わないようにします。意識、敏捷性、または判断力を損ないうる疾患、例えば、けいれん発作やインスリン治療中の糖尿病(低血糖を生じうるため)などは、一般にダイビングの妨げとなります。糖尿病のダイバーのための特別プロラムが確立されています。何か疑問があれば、医師に相談すべきです。自然気胸になったことがある人はダイビングをしてはいけません。
従来のガイドラインでは、10歳未満でのダイビングは推奨されませんが、8歳でダイビングを教え始めるプログラムがあり、うまく運用されています。大半のダイビングインストラクターは子どもにダイビングを教えるガイドラインに精通しています。ダイビングをはじめようとする人は、自身の体力や、ダイビング中の事故やけがのリスクを高める要因について、ダイビングに精通した医師の評価を受けるとよいでしょう。
職業ダイバーは、骨のX線検査や心肺機能、運動負荷試験、聴力検査、視力検査といった医学的な検査を追加で受けるようにします。さらに十分な潜水訓練を積むことが必須です。
ダイビングの妨げとなりうる医学的疾患
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
ダイバーズアラートネットワーク(Divers Alert Network):24時間緊急ホットライン、+1-919-684-9111
デューク潜水医学(Duke Dive Medicine):医師による24時間救急相談、+1-919-684-8111