素行症

執筆者:Josephine Elia, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University
Reviewed ByAlicia R. Pekarsky, MD, State University of New York Upstate Medical University, Upstate Golisano Children's Hospital
レビュー/改訂 修正済み 2025年 10月
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やさしくわかる病気事典

素行症は、他者の基本的な権利を侵害する行動を繰り返し起こす病気です。

  • 素行症の小児は、わがままで他者への思いやりがなく、罪悪感にさいなまされることなく、人をいじめたり、他者の持ち物に損害を与えたり、嘘をついたり、盗んだりします。

  • 診断は現在と過去の小児の行動に基づいて下されます。

  • 精神療法が助けになることもありますが、最も効果的な治療法は、リスクのある環境から小児を引き離し、代わりに精神衛生施設などの厳格に統制された環境におくことです。

小児の正常な行動は多彩です。ほかの小児より行儀よく振る舞う子どももいます。小児が年齢にふさわしくないやり方で、規則を破ったり他者の権利を侵害したりする行動をしつこく繰り返す場合にのみ、素行症と診断されます。

素行症は小児期の後期や青年期の初期に始まるのが通常で、女子より男子ではるかに多くみられます。

遺伝的要因や環境が素行症の発症に影響を与えると考えられています。素行症の小児の多くには、物質使用症注意欠如多動症気分症統合失調症反社会性パーソナリティ症などの精神疾患をもつ親がいます。しかし、良好に機能している健全な家庭の小児でも素行症を発症することがあります。都市部に住んでいること、両親が貧困状態であるか離婚していることが、小児と青年の素行症と関連していることが報告されています。

小児における素行症の症状

一般的に素行症の小児には以下の特徴がみられます。

  • わがままである。

  • 他者とうまく付き合うことができない。

  • 罪悪感が欠落している。

  • 他者の感情や幸せに関心を示さない。

  • 他者の行動を脅しであると間違って捉え、攻撃的に反応する傾向がある。

  • いじめや脅迫に加わったり、頻繁にけんかをしたりする。

  • 動物に対して残酷である。

  • 物を壊す(特に放火による)。

  • 嘘をつく、窃盗を行う。

素行症は男児と女児で病状が異なる傾向があります。女児の場合は、男児ほど体を使った攻撃性を表さない傾向があります。その代わり女児は、典型的には家出をしたり、嘘をついたり、ときに性風俗の仕事をしたりすることがあります。男児の場合は、けんかをしたり、盗みをしたり、破壊行為をしたりする傾向があります。素行症の人は全員、違法薬物を使用する可能性が高いです。(物質使用症も参照のこと。)

重大な規則違反を犯すことが多く、家出や頻繁な無断欠席などを起こします。違法薬物を使用したり、学校で問題を起こしたりする可能性が高いです。自殺を考えることもあり、これは患児の安全を守るため、深刻に受け止めなければなりません。

素行症の小児は、うつ病注意欠如多動症、または学習症などの他の疾患も併せもっていることがあります。

素行症の小児の約3分の2は、成人するまでに不適切な行動をしなくなります。素行症が始まった時期が早いほど、問題行動が長引く傾向があります。問題行動が成人期まで続くと、法的なトラブルを起こしたり、慢性的に他者の権利を侵害したりすることが多くなり、しばしば反社会性パーソナリティ症と診断されます。このような成人の中には、気分症不安症、その他の精神疾患を発症する者もいます。

小児における素行症の診断

  • 標準的な精神医学的診断基準に基づく医師(または行動療法の専門家)による評価

  • 患児の行動の(しばしば親または教師による)説明

素行症の診断は小児の行動に基づいて下されます。症状または行動(例、罪悪感がない、共感しない、および無神経な行動)は、人間関係、学校、または職場での機能を損なうほど問題である必要があります。

社会的環境も考慮されます。非常にストレスの多い環境(戦禍を受けた地域や政情不安定な地域、または人口密度が高く低所得の都心部など)に適応している間に起こった違法行為は、素行症とみなされません。

医師は小児に他の精神疾患や学習症がないか確認します。

小児における素行症の治療

  • 多くの場合、患児をリスクのある環境から引き離し、厳格に統制された環境におく

  • 精神療法

素行症の小児や青年が自分の行動に間違いを感じていることはめったにないため、素行症の治療は非常に困難です。そのため、行動を改めるよう叱ったり強く促しても効果はないため、そのようなことは避けるべきです。多くの場合、症状が重篤な小児や青年に対する最も効果的な治療法は、リスクのある環境から引き離して、精神衛生施設や青少年保護施設などの厳格に統制された環境におくことです。

精神療法によって小児の自尊心や自己制御が改善し、自分の行動をうまくコントロールできるようになることがあります。

ほかの病気がある場合には、それを治療します。とりわけ注意欠如多動症うつ病のような疾患が併存している場合には、特定の薬剤が一定の効果をもたらすことがあります。このような疾患を治療することで、素行症の症状が軽減する可能性があります。学習症に対しては、それぞれの小児に合うよう入念に調整した教育を行うことが最も有用な治療法になります。

素行症の予後

小児および青年における素行症の破壊的行動は通常、成人期早期に消失します。しかしながら、ときに成人期まで持続することがあります。これらの症例の多くは、反社会的パーソナリティ症の基準に合致します。

素行症が早期に発症すると転帰は不良です。

素行症の小児および青年では、身体疾患およびその他の精神疾患の発生率が高い傾向があります。後に気分症または不安症身体症状または関連疾患,物質関連疾患、または成人期早期発症の精神病性障害が発生することもあります。

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