レット症候群

執筆者:Ai Sakonju, MD, SUNY Upstate Medical University
Reviewed ByAlicia R. Pekarsky, MD, State University of New York Upstate Medical University, Upstate Golisano Children's Hospital
レビュー/改訂 修正済み 2025年 10月
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レット症候群は、遺伝的問題によって引き起こされるまれな神経発達症で、ほぼ女児だけにみられ、生後6カ月間正常な発達がみられた後、発達に異常が現れます。

  • レット症候群は遺伝子の変異によって引き起こされます。

  • 症状としては、正常な発達が最初にみられた後、言語と社会的な技能が低下します。

  • 診断は、医師が小児の早期の発育と発達を観察した結果と、遺伝子検査の結果に基づいて下されます。

  • 治療では、症状の管理と教育的支援を中心とした集学的アプローチを行います。

レット症候群は、大半が女児に発生する、まれな遺伝性の神経発達症です。男子が罹患すると、出生前に死亡することが多いため、男子で患者が特定される頻度は女子よりはるかに少ないです。レット症候群の女児は、多くの場合、出生前も分娩時にも異常がなく、正期産で生まれます。

レット症候群は脳の発達に必要な一つまたは複数の遺伝子の変異によって引き起こされます。

この症候群は、対人関係の障害、言語能力の欠如、手の反復動作などを引き起こします。社会的技能とコミュニケーションの面で問題があるなど、多くの症状が自閉スペクトラム症の症状と似ていますが、レット症候群は別の病気です。

レット症候群の症状

レット症候群の女児は、生後6カ月から18カ月のある時期までは正常に発達しているように見えます。

レット症候群を発症すると、頭囲と脳の成長が遅れ、言語能力が悪化します。病状が進行するにつれて、典型的なレット症候群の小児には、手洗いのような動きや手をねじるような動きが繰り返しみられるようになります。意図的な手の動きができなくなり、歩行障害が現れ、そして体幹運動がぎこちなくなります。社会的技能が悪化します。呼吸障害が起こることがあります。知的能力障害が現れ、通常は重度です。けいれん発作がしばしば起こり、次第に運動が障害されることもあります。後になって脊柱側弯症が生じることがあり、しばしば心臓の異常もみられます。成長が遅れることがあり、体重の維持が困難な傾向があります。

治療を行わなくても、小児期の後期や青年期の初期に対人関係とコミュニケーションにおけるわずかな改善がみられることがありますが、言語障害と手の動作の問題は続きます。

レット症候群の診断

  • 医師による評価

  • 遺伝子検査

レット症候群の診断は、幼少期の成長や発達を遂げていく過程で医師が症状を観察し、確立された基準を満たしていることを確認することで下されます。小児の身体および神経学的状態を継続的に評価します。

診断を確定するために遺伝子の異常またはその他の遺伝子に対する遺伝子検査が行われます。

レット症候群の治療

  • 医療チームの支援

  • 特別な教育的支援

  • 症状の管理

  • けいれん発作と手の動作の問題に対する治療として、抗てんかん薬と行動面の異常を抑える薬剤

  • 場合によりトロフィネチド(trofinetide

レット症候群には根治的な治療法がありません。

レット症候群の子どもには、理学療法士、作業療法士、言語療法士を含む医療チームによるサポートが最善です。多くのレット症候群の人は、広範囲に及ぶ社会的ケアとサポートに加え、特別な教育プログラムが必要になります。

医師は、けいれん発作と手の動作の問題のコントロール、呼吸症状の緩和、または運動障害の軽減を目的として、薬剤を使用することがあります。

トロフィネチド(trofinetide)は、成人と2歳以上の小児におけるレット症候群の治療に使用できる薬剤です。脳の成長と発達を助け、運動能力、コミュニケーション、対人関係を改善します。

脊柱側弯症の進行と心臓の異常をモニタリングするために、定期的な再評価が必要です。

体重維持を補助する栄養サポートが必要になることもあります。

米国では、米国個別障害者教育法(Individuals with Disabilities Education Act:IDEA)は、公立学校に対して、レット症候群の小児と青年に適切な教育を無償で提供することを義務づけています。教育は極力制限がなく、可能な限り包括的な環境で行わなくてはなりません。つまり、障害のある小児が障害のない小児と交流する機会や、その地域にある施設などの資源を同等に使う機会を、あらゆる場面で与えられる教育環境です。障害をもつアメリカ人法(Americans with Disability Act)リハビリテーション法第504条(Section 504 of the Rehabilitation Act)にも、学校やその他の公共施設における配慮に関しての規定があります。

レット症候群の予後(経過の見通し)

余命を含めた長期的な予後(経過の見通し)は様々です。しかし、医療チームの支援があれば、通常は成人まで良好な状態で生存できます。けいれん発作がどのくらいうまくコントロールされているか、歩行能力や栄養が保たれているかなど、多くの要因が予後に影響します。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こうした情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。

  1. 国際レット症候群財団(International Rett Syndrome Foundation):

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