ネコひっかき病

(ネコひっかき熱)

執筆者:Larry M. Bush, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University;
Maria T. Vazquez-Pertejo, MD, FACP, Wellington Regional Medical Center
Reviewed ByBrenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 2024年 6月 | 修正済み 2025年 7月
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ネコひっかき病は、バルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)というグラム陰性菌によって引き起こされる感染症で、感染したネコにひっかかれたり咬みつかれたりすることで感染し、多くの場合、かさぶたを伴う皮膚の隆起やリンパ節の腫れがみられます。

  • ネコひっかき病の患者には、ひっかかれた部位に赤く、痛みのない隆起ができ、発熱、頭痛、食欲不振、リンパ節の腫れがみられることもあります。

  • 免疫機能が低下している人では、感染が全身に広がり、治療しなければ死亡することもあります。

  • 医師は血液や体液の検査を行って、この細菌が存在しているのかを調べます。

  • 通常は感染した部位を温め、鎮痛薬を使用することで十分ですが、免疫機能が低下している人には抗菌薬が投与されます。

細菌の概要も参照のこと。)

世界中のほとんどのネコ、特に仔猫はバルトネラ属(Bartonella)の細菌に感染しています。感染した猫の大半は血液中に細菌を持っていますが、病気になったり病気の兆候を示したりすることはありません。

ネコへの感染はノミによるものです。ノミは、あるネコから別のネコにバルトネラ(Bartonella)菌を伝播します。ネコに咬まれたりひっかかれたりしてできた傷から人に感染しますが、傷は深刻なものである必要はありません。

また、ネコが人の開いた傷口を舐めることでも感染する可能性があります。

ダニ、シラミ、および蚊も人にこの細菌を感染させることがあります。

小児の感染が最も多くみられます。

ネコひっかき病の症状

ネコが咬んだりひっかいたりした箇所には、約3~10日以内に痛みのない赤い隆起が生じます。この隆起には通常、かさぶたができ、ときに膿が溜まることもあります。

2週間以内(ときに傷が治癒した後)に、傷の近くのリンパ節が腫れて圧痛が生じ、膿で満たされます。発熱、頭痛、食欲不振がみられることもあります。ときに腫れたリンパ節から膿が排出されることもあります。

ネコひっかき病
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この写真には、ネコがひっかいた箇所が赤くなり、かさぶたを伴って隆起している様子が写っています。

CAVALLINI JAMES / BSIP/SCIENCE PHOTO LIBRARY

通常、他の症状はなく、ネコひっかき病は自然に治ります。しかし、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症やエイズなど、免疫機能を低下させる病気がある人では、感染が全身に広がることがあり、治療しなければ死に至る可能性もあります。

ネコひっかき病の診断

  • 血液検査

  • ときに血液培養検査およびPCR検査

  • ときにリンパ節の生検

ネコひっかき病を診断するために、血液中の細菌に対する抗体を測定します。(抗体とは、ネコひっかき病を引き起こす細菌のような特定の異物による攻撃から体を守るために免疫系が作り出すタンパク質のことです。)

非常に重い病気の人や免疫機能が低下している人には、血液サンプルを採取して検査室に送り、細菌を増殖させる検査(培養検査)を行います。あるいは、感染したリンパ節に針を刺して体液のサンプルを採取することもあります。より迅速に細菌を検出するために、このサンプルにPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法という方法を用いて、細菌のDNAの量を増加させます。

診断がはっきりしない場合、特にがんが疑われる場合は、腫れたリンパ節から組織のサンプルを採取して分析することもあります(リンパ節生検)。

ネコひっかき病の治療

  • 加温と鎮痛薬

  • ときに抗菌薬

免疫系が健康な人の場合は、感染した部位を温め、鎮痛薬を服用するだけで通常は十分です。

抗菌薬は通常、必要ありません。しかし、リンパ節の腫れを抑えて症状の持続期間を短縮したり、病気の拡大を防いだりする目的で、ときに抗菌薬のアジスロマイシンを使用することもあります。

免疫機能が低下している人(特にHIV感染者やエイズ患者)感染症が既に他の部位に広がっている場合は、抗菌薬を服用する必要があります。使用する抗菌薬には、アジスロマイシンやドキシサイクリンなどです。これらの抗菌薬は数週間から数カ月間服用する必要があります。

免疫機能が低下している人は、飼っているネコとの接触を控えることで、ネコひっかき病の発症を避けることができます。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。

  1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC): ネコひっかき病:予防法など、ネコひっかき病に関する情報を提供している情報源(Centers for Disease Control and Prevention [CDC]: Cat-Scratch Disease: A resource providing information about cat-scratch disease, including prevention)

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