チクングニア熱ワクチンは、海外への旅行や研究室での勤務によりチクングニアウイルスへの曝露リスクが高まる人におけるチクングニア熱の予防に役立ちます。
チクングニア熱はヤブカによって伝播されます。チクングニア熱ワクチンには、同じくヤブカにより伝播するデング熱、黄熱病、ジカウイルス感染症に対する予防効果はありません。
（免疫化の基礎知識も参照）
ワクチンの種類
米国で使用可能なチクングニア熱ワクチンは2種類あります。
1つのチクングニア熱ワクチンは弱毒化生ワクチンであり、病原性を弱めて（弱毒化）はいますが、まだ生きているチクングニアウイルスを含有していることを意味します。このウイルスは弱毒化されているため、チクングニア熱を引き起こすことはありませんが、人の免疫系に強い反応を誘発します（能動免疫化を参照）。
もう一方のチクングニア熱ワクチンは組み換え型ワクチンであり、チクングニアウイルスの特定の成分（タンパク質など）のみを含有しています。このワクチンには、研究室で製造され、他の物質と再結合した無害な種類のチクングニアウイルスのタンパク質が含まれています。その後、感染した場合に、体内の免疫系はタンパク質を認識し、これと闘うことができるようになります。
チクングニア熱ワクチンの用量および推奨事項
チクングニア熱ワクチンは筋肉内に1回注射します。
このワクチンを接種すべき人
チクングニア熱の大流行が発生している国または地域に旅行する人には、チクングニア熱ワクチンが推奨されます。
チクングニア熱ワクチンは，チクングニアウイルスを取り扱う，またはこのウイルスに曝露する可能性がある研究室の職員にも推奨されます。
さらに、大流行は発生していないが、過去5年以内に人から人へのチクングニアウイルス感染が発生したという根拠がある国または地域に旅行する以下の人々も、チクングニア熱ワクチンの接種を検討するのがよいでしょう。
組み換え型ワクチンの場合のみ：65歳以上で、特に基礎疾患（免疫機能の低下など）があり、蚊に対して中程度の曝露が起こることが予想される人（中程度の曝露には、合計2週間以上にわたり屋内外で蚊に曝露されると予想される旅行者が含まれる）
そのような地域に合計6ヵ月以上滞在する人
このワクチンを接種すべきでない人
チクングニア熱ワクチンに含まれるいずれかの成分に対して、生命を脅かす重篤なアレルギー反応（アナフィラキシー反応など）を起こしたことがある人は、このワクチンを接種するべきではありません。
病気（HIV感染症など）によって免疫機能が低下している人や、免疫系を抑制する薬（コルチコステロイドや化学療法など）を使用する必要がある人は、このワクチンを接種するべきではありません。
妊婦は分娩後までワクチンを接種すべきではありません。しかし、妊娠中にチクングニアウイルスに曝露されることを避けられない場合、感染のリスクに対するワクチン接種の潜在的な利益とリスクについて医師と話し合うべきです。妊婦がワクチン接種を受けることを選択した場合、妊娠第2期または第3期前半にワクチン接種を受けることが推奨されています。このワクチンは妊娠第1期または妊娠第3期後期には投与されません。
授乳中の人に対しての推奨事項は妊娠中のものと同様です。しかし、大流行時など、チクングニア感染症のリスクが高い場合は、ワクチンが投与されることがあります。この場合、授乳中の人は、授乳から乳児が得る利益に対する感染症のリスクについて医師と話し合うべきです。
弱毒化生ワクチンは、60歳以上の人には使用すべきではありません。
チクングニア熱ワクチンの副作用
