発疹チフスは発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)を原因とするリケッチア症の一種であり、コロモジラミによって伝播しますが、ときにはムササビと接触することによって感染します。
発疹チフスになると、発熱、激しい頭痛、極度の疲労感が現れ、4~6日後に発疹が現れます。
感染症を診断するために、医師は発疹のサンプルを検査し、ときに血液検査を行います。
発疹チフスは抗菌薬で治療します。
コロモジラミが住み着いた衣服を高温で洗濯乾燥すると、感染の拡大を防ぐことにつながります。
リケッチアは他の生物の細胞内でのみ生存できる細菌の一種です。発疹チフスを引き起こす種類のリケッチアは、一般にヒト(宿主)に寄生しています。しかし北米では、これらのリケッチアはムササビにも寄生することができます。
発疹チフスは世界中で発生しています。この感染症は、通常はコロモジラミが媒介し、その糞が人間の皮膚にできた傷や、ときには眼または口の粘膜から体内に入ることで感染します。米国では、人間がムササビに接触した後、発疹チフスにかかることがあります。
この感染症は過去に大流行を引き起こし、多くの人々の命を奪ったため、英語では伝染性チフス(epidemic typhus)と呼ばれるようになりました。このような大流行は現在ではまれですが、近年アフリカで小規模な流行が発生しています。発疹チフスは、戦争や内紛、または極度の貧困地域で生じる人が密集した非衛生的状況で最もたやすく伝播します。
発疹チフスの症状
発疹チフスの症状は、細菌が体内に侵入してから7~14日後に突然現れます。発熱と激しい頭痛、強い疲労感がみられます。発疹は4~6日後に現れます。発疹は通常胸部から始まり、腕や脚に広がります。
ときに、脾臓が腫大します。重症の場合は、血圧が非常に低くなり、腎臓が機能不全に陥り、壊疽(えそ)や肺炎が発生することがあります。
治療しない場合、発疹チフスは致命的に悪化します。死亡率は年齢とともに上昇します。
発疹チフスの診断
医師による評価
発疹の生検と検査
血液検査
発疹チフスの診断は、特に体にコロモジラミが寄生している、またはチフスの流行があった地域に行ったことがある人では、その症状から医師は発疹チフスを疑います。
診断を確定するために、発疹から採取したサンプル(生検)を用いて免疫蛍光染色法を行うことがあります。あるいは、より早く細菌を検出するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法が用いられることもあります。
血液検査を行って、原因となる細菌に対する抗体を検出することもあります。ただし、この検査は1回実施するだけでは十分な結果が得られません。抗体値の上昇を確認するには、1~3週間後に検査を繰り返す必要があります。そのため、抗体検査は病気になった直後の感染症の診断には役立ちませんが、後に診断を確定する助けになります。
発疹チフスの治療
抗菌薬
発疹チフスの治療では通常、ドキシサイクリン(テトラサイクリン系と呼ばれる種類の抗菌薬)を経口で投与します。この抗菌薬は、24~48時間にわたり症状が改善し、発熱がみられなくなるまで服用しますが、7日間以上は服用を継続する必要があります。
10日間以上服用する一部のテトラサイクリン系薬剤は、8歳未満の小児では歯の着色を引き起こす可能性がありますが、すべての年齢の小児でドキシサイクリンの短期間(5~10日間)投与が推奨されており、歯の着色やエナメル質の脆弱化を起こすことなく使用できます(米国疾病予防管理センター[CDC]:ドキシサイクリンと歯の着色に関する研究[Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Research on doxycycline and tooth staining]も参照)。
発疹チフスの予防
シラミを抑制する対策は、感染拡大を防ぐのに役立ちます。例えば、シラミの寄生した衣類および寝具は、熱湯で洗濯して高温で乾燥させるか、ドライクリーニングを行う必要があります。また、ムササビやその巣への接触も避けるべきです。
シラミが寄生している人には、皮膚にリンデンやマラチオン(処方薬)を塗り、シラミを排除します。しかし、コロモジラミは皮膚ではなく、衣類や寝具に生息するため(頭や陰部シラミのように)、通常は衣類や寝具の殺虫処理を行うだけで十分です。寝具類と衣類は、最低でも週1回の頻度でお湯(54℃以上)で洗濯して高温で乾燥させるべきです。洗濯不可能な衣服や品物は、ドライクリーニングするか、ポリ袋に密封して2週間保管します。寝具や衣服は殺虫剤のペルメトリンで殺虫処理することもできます。
ブリル-ジンサー病
ブリル-ジンサー病は発疹チフスの再発であり、初回感染から何年も経過して起こることがあります。
発疹チフスを引き起こした細菌の一部は体内に残ります。免疫機能が低下しているときに再活性化することがあります。
ブリル-ジンサー病の症状はほとんどの場合軽症で、発疹チフスの症状と似ています。発熱が7~10日ほど続き、発疹が現れないこともあります。
ブリル-ジンサー病の診断と治療は、発疹チフスの場合と同様です。



