感染症が起こる仕組み

完全なレビュー: 2024年 7月 執筆者:Larry M. Bush, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University | Maria T. Vazquez-Pertejo, MD, FACP, Wellington Regional Medical Center | 査読者Brenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
最終更新日: 2024年 7月
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感染症は微生物が体内に侵入し、増殖することによって起こります。は数多くあります(「感染症の基礎知識」も参照)。

以下は、微生物が体内に侵入する方法の一部です。

  • 口、眼、または鼻から

  • 性的接触を介して

  • けがの傷や咬み傷を介して

  • 汚染された医療器具を介して

汚染された水を飲んだり、汚染された食物を食べたりすることで、微生物を摂取することがあります。胞子や塵、他の人のせきやくしゃみによって飛散した微生物に汚染された飛沫を吸い込むこともあります。汚染された物(ドアノブなど)を取り扱ったり、感染者に直接触れたりした後、自身の目、鼻、口に触れることもあります。

血液、精液、便などの体液を介して広がる微生物もあります。そのため、感染したパートナーとの性的接触によって微生物が体内に侵入することがあります。また、身の回りの世話や医療サービスを提供中に、非性的に体液に接触をすることで侵入することもあります。

人や動物による咬み傷、その他の皮膚を貫通する傷から微生物が体内に侵入することもあります。感染した昆虫やマダニに咬まれることで病気が広がることがあります。

しかし、体内に留置される医療器具(カテーテル、人工関節人工心臓弁など)に微生物が付着していることもあります。医療器具が何かのはずみで汚染されていれば、その器具を体内に入れる時点で微生物が付着している可能性があります。また、体内の別の部位から血流に乗って感染性の微生物が運ばれ、体内に埋めこまれた医療器具にすみつく場合もあります。こうした人工物には人体の持つような防御能がないことから、微生物は容易に増殖して病気を引き起こします。

体内に侵入した後、微生物は増殖して感染を引き起こします。    増殖を開始した後、次の3つのうちの1つが起こる可能性があります。

  • 微生物が増殖を続け、体の防御機構を圧倒する

  • 均衡状態に達し、慢性感染の状態となる

  • 治療の有無にかかわらず、体が侵入してきた微生物を殺して排除する

大半の微生物は、体の細胞に付着することによって侵入を開始します。どの微生物が人体のどの細胞に付着するかは、ちょうど「鍵と鍵穴」の関係のように決まっています。微生物が細胞の表面に付着すると、そこを足場にして微生物が組織に侵入できるようになります。

微生物が侵入部位の近くにとどまるか、別の部位にまで広がるかは、その微生物が毒素や酵素といった物質をつくるかどうかなどの以下の条件によって変わってきます。

病気を引き起こす微生物の多くは、自ら引き起こした病気(毒性)を強め、人体の防御機構に抵抗しようとする性質をもっています。その性質には以下のようなものがあります。

  • 毒素

  • 酵素

  • 人体の防御機構を妨げる方法

毒素や酵素の生産

体内に侵入する微生物の中には、毒素を作るものがあります。毒素は、生物に害を及ぼす化学物質です。毒素には、ある種の殺虫剤のように人工的に作られたものもあれば、特定の微生物によって作られた天然のものもあります。例えば、傷口に感染した 破傷風菌(はしょうふうきん)という細菌は、破傷風の原因となる毒素を作ります。また微生物が体外でつくる毒素により起きる病気もあります。例えば、食べものの中でブドウ球菌という細菌が毒素を作り出すと、ブドウ球菌が死滅していても、その食べものを口にした人は食中毒になることがあります。多くの毒素には、特定の細胞(標的細胞)の表面上にある分子とだけ結合する部分があります。毒物は破傷風中毒性ショック症候群ボツリヌス症炭疽コレラなどの病気では、毒素が中心的な役割を果たします。

細菌の中には人体の組織を破壊する酵素を作り出せるものがあり、その作用により組織内での感染の拡大を速めています。また他の細菌は、細胞内に侵入したり、細胞間を通過したりするための酵素を産生します。

人体の防御機構の妨害

以下のように、人体の防御機構を妨げる仕組みをもった微生物もいます。

  • 微生物を特異的に攻撃する能力をもつ抗体B細胞T細胞白血球の一種)が体内で作り出されるプロセスを妨害する

  • 防御抗体を破壊する

  • 防御機構である白血球に食べられないように莢膜(きょうまく)という外皮で身を包む(例えば、クリプトコッカス[Cryptococcus]という真菌は肺に侵入した後、人体の防御機構に耐えるために莢膜をさらに厚くします)

  • 血液中を流れる物質によって破壊(溶解)されにくくする

  • 抗菌薬の作用に対抗する物質をつくり出す

一部の細菌は、バイオフィルムと呼ばれる粘液の層を産生し、その中に生息しています。バイオフィルムは、細胞の他、静脈カテーテル、縫合糸、人工関節、骨折部を所定の位置に保持する金具(ピン、スクリュー、ロッド、プレートなど)、医療用の埋没物や機器などの異物に細菌が付着するのを助けます。バイオフィルムは、細菌が免疫細胞に取り込まれたり、抗菌薬によって死滅したりするのを防ぎます。

当初は人体の防御機構を妨害できない微生物が、時間の経過とともにその仕組みを発達させることもあります。例えば、ペニシリンに何度もさらされた微生物の中にはその抗菌薬に耐性をもつようになるものがあります(薬剤耐性と呼ばれます)。

免疫系の機能不全

免疫系が十分に機能していないと(易感染性と呼びます)、感染症にかかりやすくなります。以下の理由で免疫系が正常に機能しないことがあります。

  • 免疫機能が損なわれる遺伝性の病気(免疫不全症)がある

  • 後天的に発症した病気(HIV感染症やがん)により、免疫系の機能が低下している

  • 免疫機能を抑える薬剤(コルチコステロイドなどの免疫抑制薬)を使用する必要がある(臓器移植後の拒絶反応を予防する薬剤や炎症を抑える薬剤など)

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