結節性多発動脈炎(PAN)

(多発動脈炎、結節性動脈周囲炎)

執筆者:Alexandra Villa-Forte, MD, MPH, Cleveland Clinic
Reviewed ByBrian F. Mandell, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 12月
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結節性多発動脈炎は血管炎の一種で、中型の動脈に炎症が起きます。

  • あらゆる臓器が侵される可能性がありますが、通常、肺は侵されません。

  • 結節性多発動脈炎は、急速に死に至ることもあれば、徐々に発生することもあります。

  • 症状は、どの臓器が侵されるかによって異なります。

  • 侵された臓器の生検や血管の動脈造影検査により、診断を確定できます。

  • コルチコステロイド、免疫機能を抑える別の薬剤、またはその両方で迅速に治療すると効果的です。

血管炎の概要も参照のこと。)

結節性多発動脈炎はほとんどの場合、中年期(通常は50代)に発生しますが、どの年齢層でも発生する可能性があります。これはまれな病気です。

結節性多発動脈炎の原因は明らかではありませんが、ときに特定のウイルス感染症(例えばB型肝炎やまれにC型肝炎)や薬が誘因になって起こったように思われることがあります。結節性多発動脈炎の患者の約20%が、B型肝炎またはC型肝炎にかかっています。結節性多発動脈炎の一部は、アデノシン二リン酸(ADA2)遺伝子との関連性があります。また、ユビキチン様修飾酵素1(UBA1)遺伝子の変異を原因に起こるVEXAS(液胞、E1酵素、X連鎖性、自己炎症性、体性)症候群というまれな炎症性疾患がある患者の一部では、結節性多発動脈炎がみられます。この病気は薬によって引き起こされることもありますが、ほとんどの場合、誘因は特定できません。

最も侵されることが多いのは、腎臓、皮膚、神経、関節、筋肉、消化管です。肝臓や心臓が侵されることはあまり多くありません。

結節性多発動脈炎の症状

結節性多発動脈炎は、初期には軽いこともありますが、急速に悪化して数カ月以内に死に至ることもあれば、体を衰弱させる慢性疾患として徐々に発生することもあります。あらゆる臓器また複数の臓器も侵されることがあります。ただし、通常、肺は侵されません。症状は、どの臓器がどの程度侵されているかによって異なります。ときには、ただ1つの臓器(例えば、腸)や神経だけが侵されることがあります。最初にだるさと疲労を感じ、発熱がみられることがあります。食欲がなくなり、体重が減ることもあります。寝汗と全身の衰弱がよくみられる症状です。

その他の症状は、ある臓器に血液を運ぶ動脈が損傷し、その臓器が正常に機能するための十分な血液を受け取っていない場合に現れます。したがって、症状は以下に示すように、影響を受ける臓器によって異なります。

  • 関節: 筋肉の痛み、圧痛、筋力低下、関節痛(よくみられる)、関節の炎症(関節炎)

  • 腎臓:高血圧、血尿のほか、ときに腎不全(それに伴って有害物質が血液中に蓄積し、尿が作られる量が低下する)

  • 消化管: 激痛、血の混じった下痢、吐き気、嘔吐、腸の裂傷(穿孔)

  • 心臓: 胸痛(狭心症)、心臓発作心不全

  • 脳:頭痛けいれん発作脳卒中

  • 神経: 部分的なしびれ、ピリピリ感、筋力低下、または手や足の麻痺

  • 肝臓: 肝障害

  • 皮膚: 手足の指が青くまたは赤く変色する、ときに皮膚のびらん

  • 性器: 精巣の痛み、圧痛、炎症(精巣炎

ときには、臓器の損傷が元に戻らないことがあり、その機能が部分的に、または完全に失われます。弱くなった動脈が破裂し、内出血を引き起こすことがあります。炎症を治療してから長期間経過した後に、心臓発作などの問題が起こることがあります。

結節性多発動脈炎の診断

  • 医師による評価

  • 血液検査

  • 生検

  • 動脈造影検査

結節性多発動脈炎は診断が難しいことがあります。患者に症状と血液検査結果の特定の組合せがみられたとき、医師は結節性多発動脈炎を疑います。例えば、それまでは健康であった中年の患者に、原因不明の発熱、特定のパターンの神経損傷の証拠(例えば、足を上げたり手首を曲げたりするのが難しい)、皮膚のただれ、腹痛や脚の痛み、関節や筋肉の痛み、急速に発生する高血圧などの様々な組合せが認められれば、医師はこの病気を疑うことがあります。

結節性多発動脈炎の診断を確定するために、病変のある臓器から小さなサンプルを採取して顕微鏡で調べたり(生検)、血管のX線検査(動脈造影検査)を行ったりすることがあります。動脈造影検査では、X線画像に写る物質(放射線不透過性の造影剤)を注射した後にX線検査を行います。ときにはMRアンギオグラフィー検査を行って、侵された動脈壁の狭窄や拡張(動脈瘤)といった異常がないか調べることがあります。ただし、MRアンギオグラフィー検査によって診断が確定される可能性は、血管造影検査よりも低くなります。

神経が侵されているかどうかを確認し、ときに筋肉や神経の生検を行う部位を選ぶのに役立てるため、筋電図検査や神経伝導検査を行うことがあります。

結節性多発動脈炎の治療

  • コルチコステロイド

  • その他の免疫抑制薬

  • 必要に応じて症状や基礎疾患にある原因の治療

結節性多発動脈炎の治療の目的は損傷の発生を防ぐことですが、治療しても、すでに生じた損傷はしばしば回復できません。治療は障害の重症度によって異なります。この病気を誘発した可能性のある薬はすべて使用を中止します。

プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドの高用量投与は、結節性多発動脈炎の悪化を防ぐことができるため、患者の不快感の改善に役立ちます。治療の目標は、症状のない期間(寛解期)に至ることです。多くの患者はコルチコステロイドによる長期治療を必要とし、長期治療にはかなりの副作用があるため、いったん症状が沈静化すれば、医師は用量を減らします。

コルチコステロイドで炎症が十分に抑えられない場合、シクロホスファミドなどの免疫の働きを抑える薬(免疫抑制薬)をコルチコステロイドと併用することがあります。コルチコステロイドや別の免疫抑制薬を長期間服用すると、感染症に対する抵抗力が弱まります。したがって、これらの治療を受けている患者は感染症のリスクが増しており、感染症は、すぐに気づいて治療しなければ、重篤化する場合や死に至る場合があります。

高血圧のコントロールのために行うものなど、その他の治療が、内臓の損傷を防ぐためにしばしば必要になります。

B型肝炎がある患者は、コルチコステロイドと抗ウイルス薬で治療を行います。

結節性多発動脈炎の予後(経過の見通し)

治療しない場合、結節性多発動脈炎の患者が5年生存する確率は15%未満です。治療する場合は、結節性多発動脈炎の患者が5年生存する確率は80%以上です。腎臓、消化管、脳、または神経が侵されている患者は、予後が不良です。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こうした情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。

  1. 血管炎財団(Vasculitis Foundation): 結節性多発動脈炎の概要 医師の見つけ方、研究についての学び方、患者擁護団体への参加方法など、結節性多発動脈炎の患者向けの情報を提供しています。

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