無月経の主な原因と特徴

原因*

一般的な特徴†

検査

内分泌疾患

甲状腺機能亢進症(甲状腺の活動が過剰になった状態)

温かく湿った皮膚、暑さに耐えられない、大量発汗、食欲亢進、体重減少、眼球の突出、複視、振戦(ふるえ)、頻回の排便

ときに甲状腺の肥大(甲状腺腫)

甲状腺ホルモンを測定する血液検査

甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が不十分になった状態)

寒さに耐えられない、食欲減退、体重増加、皮膚のきめが粗くなり肥厚する、眉毛の脱落、顔のむくみ、まぶたが垂れ下がる、疲労、反応の鈍化、ゆっくりした話し方になる、便秘

甲状腺ホルモンを測定する血液検査

下垂体の病気(プロラクチンを分泌する腫瘍‡や損傷など)

視覚障害および頭痛(特に夜間)

ときに授乳中ではない女性での乳汁分泌(乳汁漏出症)

プロラクチンを測定する血液検査

脳のMRI検査

多嚢胞性卵巣症候群

男性的な特徴の発達(過剰な体毛、声の低音化、筋肉の増加など)

月経不順または月経がない、にきび、体幹回りの過剰な脂肪、うなじの皮膚や、わきの下など皮膚がこすれ合う部分が黒ずみ、厚みが増す

ホルモンを測定する血液検査

卵巣に異常がないか確認する骨盤内超音波検査

早発閉経

ホットフラッシュ、寝汗、腟の乾燥および萎縮などの更年期症状

卵巣の摘出、化学療法、骨盤部(体幹の最下部)への放射線療法などの危険因子

エストロゲンや他のホルモンを測定する血液検査

35歳未満の女性では、組織サンプル(血液など)の染色体検査

通常、卵巣または副腎の腫瘍で男性ホルモン(アンドロゲン)を分泌するもの

男性的な特徴の発達、にきび、性器が男性か女性かはっきりしない性器(性別不明性器

CT検査、MRI検査、または超音波検査

構造的な異常

先天異常

  • 子宮頸管狭窄症(子宮頸部の通路が狭くなった状態)

  • 処女膜閉鎖症(異常な処女膜により腟開口部が完全に閉鎖されている状態)

  • 腟横中隔(組織の壁が腟を横切り、経血の排出を妨げている状態)

  • 生殖器の欠如

原発性無月経

正常な乳房および第二次性徴の発達

周期的に起こる腹痛および腟または子宮の膨隆(経血が排出されずにたまるため)

医師の診察

子宮卵管造影検査(造影剤を子宮と卵管に注入してから行うX線検査)または子宮鏡検査(観察用の管状の機器を腟から挿して子宮を観察する検査)

アッシャーマン症候群(感染や手術による子宮内膜[子宮の内側を覆っている組織]の瘢痕化)

続発性無月経

しばしば、繰り返す流産および不妊症

ソノヒステログラフィー(子宮内に液体を注入してから行う超音波検査)、子宮卵管造影検査、または子宮鏡検査

結果がはっきりしなければ、ときにMRI検査

子宮筋腫

続発性無月経

痛み、性器出血、便秘、繰り返す流産、頻尿や尿意切迫

超音波検査

筋腫の観察が難しい場合や異常にみえる場合は、ときにMRI検査

ポリープ

続発性無月経

性器出血

超音波検査、ソノヒステログラフィー、または子宮鏡検査

視床下部の機能不全の原因となる状態

慢性疾患、特に消化管血液腎臓、または肝臓の疾患

特定の疾患に関連する症状

医師の診察

通常、疾患の種類に応じた様々な検査

過度の運動

しばしば低体重および低体脂肪

医師の診察

HIV感染症脳炎梅毒結核などの感染症

特定の疾患に関連する症状

医師の診察

通常、微生物を特定するための組織サンプルの観察、培養検査、その他の検査

精神障害(うつ病強迫症など)

日常生活からの引きこもり

反応の鈍化または悲しみ

ときに体重増加または体重減少、および睡眠障害または過眠

医師の診察

栄養不良(貧困、摂食障害、過度なダイエットなどによる)

しばしば低体重および低体脂肪または短期間での著しい体重減少

医師の診察

ストレス

ストレスの多いライフイベント、集中力の低下、不安、睡眠の問題(過眠または不眠)

医師の診察

*薬剤も無月経の原因になることがあります(下の表を参照)。

†特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。

‡プロラクチン(乳房からの乳汁の分泌を刺激するホルモン)の血中濃度が高い場合にも、無月経になることがあります。

CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。