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喫煙

執筆者:

Judith J. Prochaska

, MD, Department of Medicine, Stanford University

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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喫煙は体のほぼすべての臓器に害を及ぼします。

  • 喫煙により、心臓発作、肺がん、慢性閉塞性肺疾患などの病気のリスクが高まります。

  • ニコチンはタバコに含まれる依存性の強い物質です。

  • ニコチンの使用をやめた人は、離脱期間中イライラし、不安で、悲しく、落ち着きのない状態になることがあります。

禁煙も参照のこと。)

ニコチンはタバコ(紙巻きタバコ、葉巻、パイプタバコ、噛みタバコ、電子タバコ)に含まれる物質で、喫煙者はニコチンに依存します。喫煙用のタバコには、ニコチンに加えて、タールや一酸化炭素のほかにも、ほぼ4000種類の成分が含まれており、その多くは有害です。ニコチンは一部の禁煙補助薬にも有効成分として含まれています。喫煙によって取り込まれた場合、ニコチンはすぐ(10秒以内)に脳に到達するため、非常に依存性が高くなります。一方、経皮パッチの場合、ニコチンはゆっくりと安定して取り込まれるため、依存症は生じません。

ほとんどのニコチン曝露は喫煙によるものですが、小児が誤って食べてしまうこともあります(通常はタバコや灰皿に残っている吸い殻ですが、ニコチンガムやニコチンパッチ、電子タバコ用リキッドの場合もあります)。また、無煙タバコを使用する人もいます。喫煙者のほとんどは紙巻きタバコを吸います。割合は少ないですが、葉巻やパイプを吸う人もいます。

米国でも世界でも、喫煙は依然として予防可能な病気および死亡の主要な原因となっています。長期にわたって喫煙している人の約3分の2が、喫煙で引き起こされた病気が原因で若年死を迎えます。米国では毎年50万人以上がタバコ関連の病気により死亡しています。つまり、米国では5人のうち1人の死亡は喫煙に関連しているのです。喫煙者はがん心疾患肺疾患の原因物質を含む数百もの物質を吸い込むため、喫煙は致命的な行為です。無煙タバコ製品にも毒性物質が含まれているため、喫煙の安全な代替品とはなりません。

また、喫煙は別の危険ももたらしています。米国では、喫煙は意図しない住宅火災の最も一般的な原因です。米国連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency:FEMA)の推定によると、喫煙が関係する住宅火災が毎年約7600件発生しており、それにより約365人の死亡、925人の負傷、および3億2600万ドルの資産損失が生じています。

現在、米国の成人の約15%が喫煙していますが、1960年代半ばには男性の2人に1人、女性の3人に1人が喫煙者でした。しかし、人口増加により、米国における喫煙者の絶対数は約4000万人で、ほとんど変わっていません。タバコは青年や成人に、主に店頭で激しく売り込まれています。毎日、3000人以上の青年が喫煙を試しており、2000人以上の青年および若い成人が毎日喫煙するようになっています。

妊婦および小児

妊娠中の喫煙は、発育中の胎児から酸素を奪い、低出生体重、早産、胎児の死亡を引き起こすことがあります。妊娠中の喫煙はまた、乳児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めます。喫煙は小児の病気です。喫煙者10人のうち9人は、18歳になる前に喫煙を始めますが、それは最も脳が発達する時期です。

症状

喫煙は体のほぼすべての臓器に害を及ぼします。

即時作用

ニコチンは、脳の快楽中枢を活性化させる刺激物質です。喫煙で体内に入ったニコチンは、活力と集中力を増加させたり、食欲を減退させたりします。依存症の人では、喫煙によりニコチンの離脱症状が軽減され、リラックス感が得られることがあります。ニコチンに慣れていない人では、吐き気や紅潮がみられることがあります。

大量のタバコの葉を素手で扱う人は、皮膚からニコチンを吸収し、吐き気、嘔吐、下痢、発汗、脱力感が現れる場合があります。この病気はグリーンタバコ病と呼ばれています。

小児がタバコ製品やニコチンガムを食べたり、電子タバコ用リキッドを摂取したりすると、紙巻きタバコ1本ほどの少量でも、興奮や錯乱に加えて、吐き気や嘔吐、下痢、発汗、脱力感が現れることがあります。しかし、嘔吐により胃内容物が出てしまうということからも、小児で重度または致死的な毒性が現れることはあまりありません。

長期的な影響

喫煙に関係する健康問題のうち主なものは以下の通りです。

喫煙により、脳卒中、肺がん以外のがん(膀胱がん子宮頸がん大腸がん食道がん腎臓がん肝臓がん膵臓がん咽頭がん胃がんなど)、肺炎やその他の呼吸器感染症、喘息骨粗しょう症歯周炎(歯肉の病気)消化性潰瘍疾患白内障勃起障害妊よう性の問題のリスクも高まります。

副流煙

非喫煙者でも他者が吸っているタバコの煙にさらされた場合(受動喫煙または間接喫煙)、喫煙者と同じような病気を発症することがあり、特に繰り返し継続してさらされた場合に発症しやすくなります。公衆衛生局は、受動喫煙に安全なレベルというものはないと結論づけています。

タバコの煙にさらされている小児では、さらされていない小児と比べて学校の病欠日数が多くなります。

無煙タバコ

無煙タバコの毒性は銘柄によって異なります。リスクとしては、心臓と血管の病気、口腔疾患(例えば、がん歯ぐきの退縮歯肉炎歯周病とその結果として生じる問題)、腫瘍などがあります。

電子タバコ

電子タバコ(またはベイプペン)とは、バッテリーと、液体(しばしばニコチンを含む)を加熱するアトマイザーが入ったカートリッジから構成される装置です。電子タバコの長期リスクは不明です。

他の影響

喫煙は他の薬と相互作用を起こすことがあります。作用は主に、喫煙の副産物である肝臓内のタールによるものであり、ニコチンによるものではありません。そのため、ほとんどの作用はニコチン代替療法(NRT)ではみられません。喫煙により、皮膚が乾燥したりしわができたりし、髪の毛が薄くなったり、歯や指が黄色くなったりもします。喫煙者は、喫煙しなかった場合より4~5キログラムほど体重が軽くなる傾向がありますが、禁煙した場合にすべての人の体重が増加するわけではありません。また、喫煙の有害作用は、体重増加のリスクを大幅に上回ります。雇用主にとって、喫煙する従業員は、喫煙しない従業員より平均して毎年5000ドル以上余分に費用がかかります。医療費が高く、仕事の欠勤が多くなるためです。喫煙により失業のリスクが高くなり、再就職先を見つけるのが難しくなります。

離脱症状

ニコチンからの離脱により、ニコチンへの渇望、易刺激性、不安、集中力の低下、落ち着きのなさ、振戦、抑うつ気分、体重増加、頭痛、眠気、胃の不調などの多くの不快な症状が現れることがあります。重度の依存症の人では、離脱は大変厄介です。ニコチンの離脱症状は最初の3日間でピークを迎え、2~4週間で治まりますが、一部の症状(渇望など)はより長く続く場合があります。

診断

  • 喫煙者への問診

医師はタバコの使用について、すべての人に尋ねるよう勧められています。多くの人にとって喫煙は、治療を必要とする依存症となっています。使用する量(1日当たりの喫煙本数[現在および過去])と、起床してからどれくらい早く喫煙するか(30分以内が有用な尺度)の評価は、タバコへの依存およびニコチン嗜癖の重症度を示す指標となります。回答から、禁煙のための薬剤や投与量を選択する上での指針も得られます。

ニコチン中毒は見過ごされることがあります。例えば、見えないところで小児がタバコやニコチンガムを飲み込む場合があります。小児がタバコを口に入れているのを目撃した場合でも、実際にどれくらい飲み込んだのか判断するのが難しいことがあります。グリーンタバコ病の患者は、自分の症状がタバコを素手で扱うことと関連しているとは思わないかもしれません。

治療

  • 症状を改善する治療(対症療法)

  • 禁煙

小児がニコチンを含む製品を食べた場合を除き、緊急の治療が必要なことはほとんどありません。医師は通常、消化管に残る薬物を吸着させるために、活性炭を飲ませます。興奮が激しい小児には、ロラゼパムなどの鎮静薬が投与されることがあります。

禁煙は非常に難しいことが多く、再発は一般的です。禁煙に成功するためには、通常、何度も挑戦しなければなりません。科学的根拠に基づいた治療は、長期的な成功の可能性を2倍以上に高めます。

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