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ペルオキシソーム病

執筆者:

Matt Demczko

, MD, Mitochondrial Medicine, Children's Hospital of Philadelphia

医学的にレビューされた 2020年 4月
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ペルオキシソームとは、細胞内のごく小さな構造物です。これは、いわば細胞の臓器のようなもので、オルガネラと呼ばれます。ペルオキシソームには、カタラーゼやペルオキシダーゼなどの酵素と呼ばれる化学物質が含まれています。これらの化学物質は、 脂肪酸 脂肪酸 炭水化物、タンパク質、脂肪は、食物の乾燥重量の90%を占め、食物のエネルギーの100%を供給しています。3つともエネルギー(単位はカロリー)を供給しますが、1グラム当たりのエネルギーの量は次のように異なります。 炭水化物とタンパク質は1グラムにつき4キロカロリー 脂肪は1グラムにつき9キロカロリー これらの栄養素はエネルギーを供給する速度も異なります。最も速いのが炭水化物、最も遅いのが脂肪です。... さらに読む や過酸化水素の分解(代謝)を助けます。これらの酵素がうまく機能しないと、脂肪酸と過酸化水素が蓄積し、体の多くの領域に損傷が生じます。

遺伝性疾患 単一遺伝子疾患の遺伝 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域のことです。 染色体は非常に長いDNA鎖からできており、そこには多く(数百~数千)の 遺伝子があります。特定の細胞(例えば、精子と卵子)を除き、人間の正常な細胞には23対の染色体があります。22対の常染色体と1対の性染色体があり、合わせて46本の染色体があります。通常、それぞれの対を構成する染色体は、片方を母親から、もう片方... さらに読む には様々な種類があります。ほとんどのペルオキシソーム病では、患児の両親がともに異常な遺伝子のコピーをもっています。通常、病気の発生には異常な遺伝子のコピーが2つ必要であるため、普通はいずれの親にも疾患は現れていません。一部のペルオキシソーム病は X連鎖性 X連鎖劣性遺伝疾患 X連鎖劣性遺伝疾患 であり、これは男児に異常遺伝子のコピーが1つあるだけで病気が発生することを意味します。

X連鎖性副腎白質ジストロフィー

これは最もよくみられるペルオキシソーム病で、主に脳と脊髄、副腎に影響が現れます。欠陥のある遺伝子はX染色体(性染色体の1つ)上に存在するため、この病気はほぼ常に男児に発生します(図 「X連鎖劣性遺伝疾患 X連鎖劣性遺伝疾患 X連鎖劣性遺伝疾患 」を参照)。

脳型のX連鎖性副腎白質ジストロフィーは、4歳~12歳の間に発生します。患児には注意障害の症状がみられ、やがて深刻な行動障害、認知障害、視覚障害、聴覚障害、運動障害へと進行します。この病型の小児は、診断から数年後に完全介護状態に陥り、死亡します。より軽症の青年型および成人型の症例も診断されています。

副腎脊髄ニューロパチー(AMN)は、これより軽症の病型で、20代または30代に発生します。患者には脚のこわばり、筋力低下、痛みがみられ、徐々に悪化します。神経に問題があると、尿道括約筋(排尿するまで膀胱内に尿を保持しておく筋肉の輪)と性器がうまく機能しなくなります。それに加えて、脳型の症状を呈する患者もいます。

医師は、脳の MRI検査 画像検査 病歴聴取と 神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 脳波検査は、脳の電気的な活動を波形として計測して、紙に印刷したりコンピュータに記録したりする検査法で、痛みを伴わずに容易に行えます。脳波検査は以下の特定に役立つ可能性があります。 けいれん性疾患 睡眠障害 一部の代謝性疾患や脳の構造的異常 さらに読む 画像検査 を行い、血液中に特定の脂肪酸を見つけることで、X連鎖性副腎白質ジストロフィーを診断します。診断は遺伝子配列決定によって確定されます。遺伝性の遺伝子疾患をもつ子どもが生まれるリスクが高いかどうかを判断するために行う検査である、 遺伝子検査 遺伝子スクリーニング 遺伝子スクリーニングは、遺伝する遺伝性疾患をもつ子どもが生まれるリスクが高いかどうかを判断するために行う検査です。遺伝する遺伝性疾患とは、次の世代へ受け継がれる 染色体または遺伝子の病気です。 スクリーニングではカップルの家族歴を評価し、必要に応じて血液や組織のサンプル(頬の内側から採取した細胞など)を分析します。 すべてのカップルが遺伝子スクリーニングを受けることができますが、特に推奨されるのは以下の場合です。... さらに読む も利用できます。

骨髄移植または 幹細胞移植 造血幹細胞移植 幹細胞移植とは、健康な人から幹細胞(未分化細胞)を採取し、重篤な血液疾患がある人にそれを注射することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 幹細胞は未分化の細胞で、分裂しながら、より分化した他の細胞に変わっていきます。幹細胞は以下のものから採取することができます。 生まれてすぐの新生児の臍帯血(母親が提供) 骨髄(骨髄移植) さらに読む が役立つこともあります。副腎に問題がある人には、コルチコステロイドが投与されます。オレイン酸トリグリセリドとエルカ酸トリグリセリドを配合したサプリメント(「ロレンツォオイル」と呼ばれます)は、血中の脂肪酸濃度を正常に戻し、一部の患者に役立つ可能性がありますが、まだ研究中です。

ツェルウェガー症候群(ZS)、新生児副腎白質ジストロフィー、乳児レフサム病(IRD)

これらの3つの病気は、症状が重複しており、体の多くの部分に影響を与えるツェルウェガースペクトラムと呼ばれる疾患群に属します。ツェルウェガー症候群は最も重症の病型で、乳児レフサム病は最も軽症の病型です。

ツェルウェガー症候群と新生児副腎白質ジストロフィーは、乳児期に発生します。レフサム病の発症はそれより遅く、成人期になることもあります。これらの病気の症状として、特徴的な顔貌、脳と脊髄の欠陥、神経を包む組織の破壊(脱髄)、 けいれん発作 小児のけいれん発作 けいれん発作とは、脳の電気的活動が周期的に乱れることで、一時的にいくらかの脳機能障害が起きる現象です。 年長の乳児や幼児にけいれん発作が起きた場合には、全身または体の一部がふるえるなどの典型的な症状が多くの場合みられますが、新生児の場合は、舌なめずりをする、口をもぐもぐさせる、周期的に体がだらんとなるなどの変化しかみられない場合があります。 この病気の診断には脳波検査が用いられ、さらに原因を特定するために血液検査、尿検査、脳の画像検査の... さらに読む (新生児における)、筋肉の張りの低下(筋緊張低下)などがみられることがあります。肝臓は腫れ、腎臓には嚢胞がみられることがあります。また、短い腕と脚、点状軟骨異形成症と呼ばれる特定の骨の異常(長管骨の成長に影響を及ぼします)、白内障、眼内の血管の異常な増殖(網膜症)、難聴のほか、手足の筋力低下、しびれ、痛みがみられることがあります。運動や発話などの身体活動は鈍くなります。

医師は、血液中に特定の脂肪酸を見つけることで、これらの病気を診断します。遺伝子検査も利用できます。

レフサム病

この病気では、フィタン酸という脂肪の代謝産物が組織に蓄積します。フィタン酸が蓄積すると、神経や網膜の損傷、難聴、嗅覚の低下(嗅覚脱失)、けいれんのような動きなどが起こり、骨や皮膚に変化がみられるようになります。症状は一般に20代のときに現れますが、それより遅くなることもあります。

医師は血液検査を行い、フィタン酸の濃度が上昇しているかどうかを判定することで、レフサム病の診断を下します。

レフサム病の治療は、乳製品、牛肉、羊肉、脂肪の多い魚(マグロ、タラ、コダラなど)をはじめとする、フィタン酸を含む食品の摂取を避けることです。プラズマフェレーシスで血液からフィタン酸を取り除く方法も役に立ちます。

肢根型点状軟骨異形成症

医師は、X線検査と血液検査によって、肢根型点状軟骨異形成症を診断します。

肢根型点状軟骨異形成症に対する効果的な治療法はありません。ただし、フィタン酸の血中濃度が高い乳児は、フィタン酸の少ない食事を心がける必要があります。

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